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勇者とバナナと練乳と  作者: フェフオウフコポォ
旅の始まりとバナナ

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27話 次の目的地が決まったよ

 あまりにいたたまれない状況になり思わず飛び出してきてしまった。


 勢いで飛び出してしまったが、このままだと残された方は気まずい。

 もちろん出た方も気まずいのだが、気まずいと気まずいがマッチングしたら、それはもう超気まずくなるのは自明の理。


 すぐに冷静になりオッサンとしての経験を活かして考える。

 そして何もかもをごまかす為にバナナを買って帰る事にした。

 バナナを食わせれば、きっと大丈夫だ。

 なぜなら、バナナがパないからだ。

 実体験で理解している。

 アレはパない。

 だからOK。


 市場に向かいバナナを物色する。

 野菜なんかも売っているので色々見ていると目を引く野菜があった。


 キュウリ。


 目を引いたキュウリ。

 昨日はみんな、あんまり野菜を食べていなかった。

 キュウリは軽く洗ってそのまま齧れる楽な野菜だ。

 がっしりと太く。食べ応えもありそう。イボイボもちょっとある。うん。野趣あふれるキュウリだ。買おう。


 マンゴーも安く売っていた。マンゴーも美味しいから、買おうか悩んだが、今日のデザートは破壊力の分かっているバナナにするべきと考え、やっぱりバナナを購入した。


 こうして手に入れたバナナとキュウリを持ちながら、こっそりと帰る。


「た……ただいま帰りましたー……」


 可能な限り音を立てないように気配を限りなく小さくして静かに部屋のドアを開ける。

 すると、3人はなにやら会議をしていたようだ。

 すぐにみんな気が付き、アンネが足早に近づいてきて軽く咳払いをして姿勢を正した。


「んんっコホン……先ほどは大変失礼いたしました。ご主人様。

 私もどうやら混乱してしまっていたようでして。」

「い、いや、いいんだ。うん。俺の方こそ急に飛び出してゴメン。」


 アンネは俺が買ってきたバナナに気が付いた。だがニッコリと微笑みながら、バナナを見ていない雰囲気で言葉を続ける。


「さぁ、ご主人様。まずは報告をさせてくださいな。あっせん所に行って色々と詰めて参りましたので。」

「お、おう!」


 上機嫌なアンネの話を聞くに、アンネはまず苦労人のオッサンに建物の対価が低すぎる旨クレームをつけたらしい。もちろんこの件については俺の拇印が押されていてケリがついているから反故にはしないが、今後、同様の施設を望む場合には最低でも10倍以上の対価を用意されない限り、全て断る形で話をつけてきたのだと。

 また昨日の居酒屋で話していた『街を作りましょう案件』に対して、俺がGOサインを出した時にあっせん所を動かしやすいように色々ぼかしながら協力を得る為の頭出しをしてきたらしい。


 具体的には、動き始めた時に労働力を確保を出来るように仕事の出し方の指導をしてもらったり、人員の融通や、労働者に受け入れられやすい依頼文句などの確認だとか。

 その他、帰りの道すがらダイヤを購入してきた店に寄ってダイヤの産出地の確認も終わったらしい。


 どうにもダイヤの産出地は、サカナウ・マーイの国とは逆の山に面したヤー・マノサッチという国の付近で産出されているという話だ。


「後……これは余談なのですが、このアリエナイの国では、また税金が上がるらしいですよ?

 そもそもの物価の高さについても、どうやらこの税金の影響が大きいらしく、クロウニンさんは税金が発展に対するさまたげになっていると嘆いていました……どうにもわざとらしく、意味ありげに『宰相がそれで私腹を肥やしていている可能性が高い……どうにかならんかなぁ』と呟いておりました。

 どうにもその言葉から御主人様にどうにかしてほしいという感じがしたように思いましたが……いかが致しますか?」


「うん。それは知らん。」

「そう言うと思いました。実際私達は、もう別の国に向かう気ですからね。」


 もう旅立つのか~。

 ペンションがまだ払ったお金の分の半分も泊まってないから、少しもったいない。

 大金も入って余裕あるから特に問題無いけど……貧乏性的にはちょっと……ね。


 そう内心渋っているとアンネが言葉を続ける。


「ヤー・マノサッチの国は農業が盛んな国で、小麦だけでなく『米』の生産もあり、銘酒の里とも言われてますし、後『マツタケ』という貴重なキノコが大変美味なんだそうです。」


 俺はその響きを聞き『すぐ移動しよう!』と言いたくなった。


 別にマツタケが気になったわけじゃない。

 マツタケに魔力付与してとか考えてない。

 マツタケ食わせるとか考えてない。

 あ、米。

 うん、米が気になっただけ!


 色々言ってしまいたい衝動を我慢し、話しているアンネの言葉を聞く。


「ただし、ヤー・マノサッチの国は『ヤーマンッバ』と呼ばれる民族で構成されているそうで、俗に『戦闘民族』と呼ばれており、よそ者に対してはかなり厳しい態度に出てくるそうです。」


 俺は妙に身体から力が抜けるのを隠せなかった。

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