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勇者とバナナと練乳と  作者: フェフオウフコポォ
旅の始まりとバナナ

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23話 温水洗浄機能付きなアレを試すよ

 下ネタが出てきます。

 お昼時とかに見ちゃダメ!! 絶対!!




 温水洗浄機能付き便座


 それは魔具である。

 魔性の道具である。


 一度使えば離れる事は叶わず、存在しない世界に行ってしまえば、再度使う日を夢にまで見てしまう代物。

 ぶっちゃけ長年今の生活を営んでいればオマルとコエダメにも慣れてしまう。だが、やはり排泄の処理というのは生活の充実という観点から見れば、非常に重要な問題だ。


 そう。俺は【建物創作:序】の能力で、この世界には無かった物を作り上げてしまっている。


 太陽光発電とか、電力を蓄えるバッテリーとか、上下水道とかよくわからんが、なんか機能しているっぽ。つまり、温水洗浄機能付き便座が稼働しているのだ。


 何故機能しているのかは謎だが『ナイス!俺の不思議パワー』とだけ言っておこう。

 それで十分だ。


「コレがご主人様の言う『真価』の部屋っスか?」

「そう……これは非常に危険な代物……使ったら病みつきになり、二度と離れる事ができなくなってしまう便座なのだよ。」


 便座を前に俺はアンネに語る。


「えっ!? コレ洗面器じゃなくて便器なんですか!?」


 後ろから現場監督がなかなかスリリングな使い方を提案してくれてきた。

 残念だが、そんな使い方はゴメンこうむる。


 俺は使用方法を説明すべく、服を着たまま座ったり実演を交えて使い方を説明する。

 男は小であってもちゃんと座る。

 そうすると汚れにくい。OK?


 そして使い終わった後のメインイベントとして、お尻のマーク、そして女性用のビデのボタンを押すとお湯が出て洗い流してくれる事も説明した。


 その時、俺を違和感が襲う。


 不思議なもので服を着ていても便座に座ると便意を催して来るのだ。

 折角の機会なので夢にまでみた便座の実地試験に挑むことにする。



 ゴメン!

 俺ちょっと使うわ!


 全員を追い出してドアを締め、そして鍵をしっかりとかけて腰を落ち着けると訪れる静寂。


 ……うわぁ。


 なんかドアの前に4人も人がいて様子を伺っているかと思うと……腹に力を入れにくい。


 力を入れた拍子に、ブゥっ! とか爆音鳴らしたら……向こうも気まずいだろうし、 プ~~~ウ? とか後半上がるタイプの疑問形を発して、向こうから返答があったらもう生きていけない。


 そう考えると、現状が非常に危機的な状況であるように思え、ケツ筋が無意識に締まる。


 なにせ、元男とはいえ現美少女が3人もトイレの前に居るのだ。

 ここはアレダ。使用したフリをして終わらせよう。そうしよう。恥ずかしい。


 ……だが、甘かった。


 便器の使い方は魂に染みついていた。



 『おい! オマエっ! 俺はもう出ていいはずだろ!? 早く出せよっ! もういい!! かまうことはないっ! イケっ! 全軍突撃だーーーっ!!!』


 そう叫び声を上げた腸内のブツが、俺の直腸に対して一斉攻撃を始めたのだ。

 突然の予期せぬ襲撃。


「こ、これは……も、モウダメダっ! 耐えられないっ!」


 瞬時に考えを切り替える。

 どちらにしろ出るのなら思いきりだ。それが日本男児だ。


「……ええいままよ! 俺の生き様を見せてやるわっ! ええい、くらえぃっ!!」


 俺は直腸への攻撃を受け止め、そして、全力でケツ筋に籠められていた力を開放し、そして攻撃の後押しをすべく腹筋に全力を込める。


 勢いよく出た。


 屁が。


 その屁は、まさか便器内で反響した。音を反射し増幅しやすい形である便器は、屁音を増強しまるでホーンの如く鳴り響いたのだ。


 ポァーーーンっ!


 まるでラッパの音。

 世界の終末にはトランペッターがラッパを吹き鳴らすという。

 その終末に相応しいとも思える程の音量で、澄んだ音が大きく鳴り響いていた。


 一瞬の静寂。

 やがて、扉の向こうから聞こえてくる


「っグ!」

「エフンエフン!」


 という音。


 それは、誰かが笑いを堪えたが堪えきれず漏れたような音。

 それに、笑いを誤魔化すように咳払いをした音だった。


 ラッパの音に呼応するように奏でられたその音を耳にして、俺は吹っ切れた。


 もう、なにも怖くない。

 取り繕う必要もない。


 ならば、限界を超えてみよう。


 そう心に決意した瞬間。先駆者であったガスが一斉放射されたことで、動き出していた本体が全軍をもっての進軍を始めていた。


「ふんっ!!」


 腹に力を込め全力でそれの後押しをする。



 長い――


 長いよ――


 長すぎるよ――



 一体いつまで進軍すれば気がすむんだ!


 だがいいさ。止まらないならば止まるまで続けてやるさ。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」


 叫び声と共に、腹に力を込めれるだけ込め、そして己の限界に挑戦する。


 そして程なく終わりを迎えた。

 切れのいい進軍を終え、やりきったことの爽快感を感じつつも、本当の至福に向けて動き始める。


 そう。待ちにまった洗浄ごほうびの時間だ。


 俺は、何年ぶりとも分からない洗浄ごほうびに、一度ゴクリと息を飲む。

 そしてお尻マークのボタンを押した。


 ――チョワワワワー


 温水がケツに直撃した。


 ああ、なんという幸福か

 嗚呼、なんという至福か。


 これぞまさしく快感。

 快楽がここにある。


 両の眼を閉じて、温水を十分に堪能する。

 夢うつつの心地の中、ボタンを押して洗浄ごほうびを止めた。


 そして当然あるはずの物を求め俺の右手が動く。

 だが、右手は無情に空を切った。


 ……トイレットペーパーがない。


 俺は考えた。

 真剣に考えた。


 そして泣く泣く『洗浄したから大丈夫』と納得し、ズボンを上げた。

 ケツが気持ちしっとりとしている。

 だが仕方ない。


 立ち上がって一度だけ振り返り戦績を確認する。


「なんだ蛇か」


 そう呟き、水を流す。

 すると蛇はゆっくり、ゆっくりとその姿を消して行った。


 綺麗に跡形もなくなり、俺は満足しドアを開ける。


 全員、直立不動で待っていた。

 現場監督までも、気をつけの姿勢と思える程に直立不動だ。


 だが……誰もが俺と目を合わせようとしない。


 その様子から、俺は皆の気遣いに応えるべく口を開く。


「ポァーン。」

「グッ!」


 俺の呟きは、あのアンネですら大きく目を逸らし、自分の肩に口を当ててまでして声を抑える程の破壊力を持っていたようだ。


 尚、アンネ以外の三人は、吹き出し小さく咳込みながら震えている。


 いいんだ。

 俺はもう満足だ。

 満足したんだ。だからいいんだ。


「……一階のトイレには何の問題もなかった……OKだ。」

「そうですか。それはよかったです。」


 流石のアンネ。

 すでに顔は冷静。いつもの顔に戻っている。


 ただ現場監督は俺の声すらダメだったようで、俺の言葉を聞いてまたも吹き出した。

 その吹き出しれにつられてアンネもまた肩に口を当て堪え始める。


 俺は何も気にせず前を向く。


「それじゃあ2階も確認しようじゃないか。

 そうだ。現場監督、何か木片でいい、端材をくれないか?」


 現場監督は色々堪えながら木片を取りに行った。

 2階のトイレの前に移動し、誰も喋らない沈黙のまま現場監督が戻ってくるのを待つ。

 こういった事は、時間さえ経てば誰しも落ち着くものだ。


 ほどなく現場監督が戻ってきて俺の目を見ないようにしながら木片を渡してきた。


 俺は木片を受けとり【建物創作:序】でトイレットペーパーを作れないか試す。

 すると、みるみる変化しトイレットペーパーが4つできあがった。


「これは使用後に尻を拭くのに使えば良い。」


 そう言ってアンネにトイレットペーパーを渡す。

 アンネが俺の尻を一瞬見た気がした。


 気にしない。


 アンネにトイレに入り用を足すよう促す。


 アンネはドアを閉めながら若干戸惑い気味に振り返った。


「あの、ご主人様? ……実際にはしなくてもいいんですよね? 機能を試すだけで良いんですよね?」

「うむ……かまわん。だが、だ。機能を試すというのであれば、それは実際に使用するのが正しいとは思わんか? だからこそ、出来るのであれば実際に使用するに越したことはない。」


 プレッシャーだけかけておいた。

 アンネがトイレのドアを閉めたので、しばし待つ。



 待つ。



 ……小か?



 そう思っているとドアの向こうから


「ひゃああああ!!」


 と声が上がった!

 その声を聴いて俺は理解した。至福の瞬間を試したのだと。

 すかさず声に応える。


「強弱の調整もできるぞ! ムーブもある! 一通り試すんだ!」


 『ご主人様命令』だ。

 すると中から俺の命令に従って試さざるをえなかったのかアンネの声が返ってくる。


「ひゃあああああ! ……ぁあ? ……あぁ~~……」


 しばらくの後、一通り試し終えたのか、少しだけ顔を赤くしたアンネがゆっくりドアを開いて出てきた。


「これは……確かに……危険ッス。」


 その表情に俺は大きく頷く。

 そして、ニンニンとイモート、最後に現場監督にも温水洗浄機能付き便座を経験させるのだった。


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