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勇者とバナナと練乳と  作者: フェフオウフコポォ
旅の始まりとバナナ

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18/58

18話 (同意なく)装備を整えるよ。


 3人が恍惚に飲みこまれて失神している間に、アンネとイモートが買ってきてくれた素材が沢山あったので【武具防具創作:序】のスキルも試す事にした。

 なにせ美女が3人色っぽい表情で気を失っているのだから、この状況で手持無沙汰になるわけにはいかない。雑念が色々色づいてアカン事になりかねない。


 そう俺には、やる事があるのだ。

 だから大丈夫。大丈夫だ。


 ほとばしる情熱を内に抑えながら、とりあえず何を作ろうかな? と、ぼんやり考えつつ荷物を漁り『布』と『牛革』と『鉄くず』をなんとなく選びだす。

 材料を見ていると、ふと【大正時代のような軍服】のイメージが頭に浮かんだ。


 うん、いいね。


 まるでSNSで見た写真に同意したかのように考えた瞬間、素材が輝き始めた。かと思うと見る見るうちに消滅してゆく、消滅したのは必要な分だけなのか残っている物も多い。

 消滅した物は、光の粒となり、やがて一か所に集まり始めグルグルと形作ってゆく。

 光が治まると俺の体にぴったりのサイズの大正時代のような黒の軍服が出来上がっていた。


 全自動モノづくり魔法。感動しかない。


 本当に着れるような状態になっているのか速攻着替えてみる。

 腕を伸ばしたり、軽くくるっと回転してみたり引っ張ってみたりするが、明らかに上等な服だった。

 いや、上等すぎて、服の出来にちょっとウットリすらしてしまう。


「これはあれだよ! 軍服っぽいから、外套いるよね大正時代っぽい黒いヤツ!」


 そう念じると、また服のイメージが鮮明に浮かび上がり『そうそう! いいね!』と思った瞬間、今さっきまで着ていたアリエヘンから着ていた服が全部なくなり、新しく黒の外套が出来上がっていた。


 予想外に前の服が無くなってしまったが、いかんせんデザイン的には今の方がカッコイイ。軍服とあわせて着てみれば、まぁーなんとテンションの上がることか。もうコスプレをする人の気持ちが分かった気がする。


 一通りはしゃいで満足したので外套を脱ぐ。

 そして寝ている3人を見回して気づく、自分の恰好と比べると余りにみすぼらしい。


 自分だけバッチリな格好しててもなぁ……そんな事を思ってしまった俺は、ハイテンションのまま3人の装備も整えてしまう事にした。


 まずはニンニンを見る。


 今ニンニンが着ているのは簡素な『シノビコスチューム(偽)』だ。

 そもそも『(偽)』ってなんだよとは思うが……まぁそんな事はどうでもいい。


 やっぱり『くノ一』といえば『黒ストッキングみたいな帷子かたびらは外せないよな。で、足を見せつけるならミニスカ。ミニスカだとアレだからミニスカ浴衣みたいな服かな』とか想像する。


 やはりスキルの影響かイメージした通りの服が思い浮かび『これこれ!いいね!』的に同意してしまう。同意した途端に『鉄くず』と『糸』や『牛革』が消滅しはじめた。そしてあろうことか消滅した分だけでは素材が足りなかったのか、ニンニンの着ている『シノビコスチューム(偽)』までもが消滅し始める。


「え、えっ!? ちょっ!?」


 『シノビコスチューム(偽)』は完全に消滅してしまい光の粒となった。

 そして同時に、俺の脳内にはひと昔前のテレビでお色気シーンになると流れた『ウワァーオ♪』という効果音が大きく流れる。


 なぜならニンニンが『ウワァーオ♪』だからだ。


 『ウワァーオ♪』のおかげで、伸縮性のある黒ストッキング……もとい足用の帷子と、黒の中にポイントとして赤色の線が一本だけ入ったミニスカ浴衣が出来上がっていた。


 そして、ふんどし姿のみのニンニンも。


 鼻の穴が膨らむ。色々膨らんでしまう。


 『俺は紳士』『俺は紳士』と繰り返し、劣情と欲情を押し込めてニンニンの肉体の誘惑に耐える。

 ふと、その時、ニンニンが『走ると胸が痛い』と言っていたのを思い出したので、紳士としてブラジャーを作って上げなくてはならない使命に気が付いた。

 不満の解消に努めるのは紳士の務め。うん。俺は紳士なのだ。


 さて、ブラジャーを作るには『トップ』と『アンダー』を計り、胸の形を知らなければならないな。


 ああしまった。

 メジャーなんて洒落た物は無い。

 これは仕方ない。

 人の手って超優秀だから代わりに使うしかない。

 もちろん仕方なくだ。

 これもニンニンの為だから! 紳士として仕方ないから!


 ニンニンの背中に手を回して半身を起こす。そして背中の方に回り込み、胸を見ないようにしながら見て、手でアンダーを測り、そして次にトップを測る。

 トップを測った時『んン……』とニンニンの悩まし気な声が聞こえた気がする。


「ぼぼぼ、ボクは なな なにも見えないし聞こえないんだな。」


 そう強く念じ、誤魔化した。


 釣鐘型と言われる素晴らしい感触を忘れないうちにブラジャーを想像すると、買ってきてもらった素材の絹と、そしてニンニンの履いているふんどしが消滅した。


 これはイカン。


 とりあえず。

 すぐに『ヒモパン』を想像すると絹だけが消えて『ヒモパン』ができあがっていた。


 マッパのニンニンを薄めで見ながら、ゆっくりとベッドのシーツをかぶせて、最後に足袋の底に鉄の入った丈夫な靴をを想像して、ニンニンの装備は一通り完成した。

 枕元に置いておこう。大変良いものを有難うございました。



 ふと息をつく。

 俺の目にはアンネとイモートが目に入った。


 これは……きっと今しか作る機会はないだろう。

 そう思い、イモートの装備に取り掛かることにした。


 『従者か……』


 そう思っただけ。

 そう思っただけだったが、すぐにイモートの着ていた綿の服が消滅し、また脳内に「ウワァーオ♪」と効果音が鳴り響いた。


 ……ボンキュボンって……すげぇ。


 気が付いたらビクトリア調のメイド服とニーソックスが仕上がっていたので、畳みながら枕元に置く。

 置きながら薄目でボンキュボンを見ないでもない。


 ニーソックスを畳みながら合う靴を考え、ローファーを想像すると『牛革』と『鉄くず』の一部が消滅し出来上がる。


 さて、まだ足りない。

 足りないよな。

 うん。


 足りないのならば仕方ない。

 そう。仕方ない。


 ニンニン同様に背中に手を回して起こす。

 そして測定する。


 またトップを計った時に「ンンっ」とか悩まし気な声の聞こえ


「ぼぼぼ、ボクは なな なにも見えないし聞こえないんだな。」


 と呟きつつ、牛革と絹で『ブラジャー』と『ヒモパン』を作った。


 なんとなく武器もメイド服に合わせた方がいいなと思うと、エプロンに隠せるようなナイフが思い浮かび、すぐさまイモートの剣が消滅して、8本のナイフが出来上がっていた。


 これでイモートの装備は整った。


 イモートにシーツをかけながら思う。


 半球型。

 素晴らしいです。



 最後はアンネだ。


 『やっぱりイモートがメイドなら、アンネも……』


 そんな事を思ったら、やっぱりビクトリア調のメイド服が仕上がっていた。

 イモートと被らないようにニーソックスが無いのは、流石は俺の能力と言うべきだろうか。

 やはりニーソックスは合う合わないがある。キツメの視線を向けてくるアンネにニーソックスは100点ではないはず。精々が98点だ。


 なにより、アンネの長身。

 そして勇者という戦闘力を活かすことを考えるのであれば、ニーソックスなんかよりも、もっとふさわしい物がある。それを俺の能力は、よくよく理解している。


 そんな思いに首肯しながら服が消滅したはずのアンネを薄目で見てみると、胸のあたりにペットのすらりんがプルプルしていた。


 忘れてたー!

 すらりん忘れてたわー!

 ただまぁ半透明なので、少し膨らみのある素敵なものは確認できたから良し。


 いや、違う。


「ぼぼぼ、ボクは なな なにも見てないんだな。」


 とりあえず、すらりんの定位置がアンネの胸になっているので、すらりんが快適に過ごせて尚且つ傍目に見てもおかしくないように見えるブラジャーのような『スライム固定具』を作る必要がある。

 牛革と鉄くずで想像したらすぐできた。もちろん下はもうみんな統一して『ヒモパン』だ。


 そして武器。


 俺は足は守るが脚線美を損ねないような装飾の入った具足を想像する。

 先は少しハイヒールのような感じが良い。


 長身という事は足が長いということ。

 脚線美があるということだ。

 良い物はより良くだ。


 脚線美を100%、いや、120%活かしきる為に具足のディテールを真剣に考える。するとアンネの剣や残っていた素材の全てが消えてゆく。

 だが、もう全員の装備はできているのだから、全部つぎ込んでも問題ない。

 勢いのまま想像を続ける細かな装飾の美しい具足と、それを固定する為の腰回りの装飾品が完成していた。


 つまり『ガーターベルト』が、でき上がったのだ。


「俺……超いい仕事した。」


 そう。このガーターベルトのストッキング的な具足は武器なのだ。

 つまりロングスカートなのに足技主体で戦う必要がある。

 そしてヒモパン。


 おおジーザス。そんな戦うアンネの姿を想像するだけで、なんと素晴らしい絵になることか。


 芸術。

 これは芸術だ。

 芸術が爆発なのだ。


 俺はやりきった爽快感を感じずにはいられなかった。


 そんな爽快感を感じつつ見回す。 

 見回してふと『現在、3人の美女が全裸』という事実を再認識してしまう。


 再び欲情しそうになると同時に、3人の身体のビクンビクンとした痙攣が鳴りを潜め落ち着きをみせている様子に『起きた後が怖い』という思いが激しく生まれた。

 その恐怖感に押しつぶされそうになりながらも、とりあえず、まっぱのアンネとすらりんにシーツをかける。


 シーツをかけて眠っているアンネの顔を見ると、アンネのゴミを見るが如き冷たい目が思い起こされる。

 小さく震えた。


 『あっせん所に行って様子を見てきます。』


 そう書置きを残し、一人こっそりと外に出る。

 真新しい黒の外套を纏い、軍服でアリエナイの街を歩く俺は目立つのか注目を集めた。


 注目を集めながら俺は思った。


 ヤバイ。

 とにかくこの溢れるムラムラをなんとかしにゃ。

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