馴れ初め
引き続き第2話です。ようやくヒロインのフルネームが出てきます。
まだ俺が半人前の化けギツネだった頃の話だ。
その頃はまだ石ころを小銭に変える術なんて知らなかった。いや、正確に言うと術は知っていた。だが、1回コンビニで葉っぱをお札に変えて出したら、千円札の肖像画がお母さんになっててこっぴどく叱られたんだ。それでしばらくの間はできなかった。まあそんな理由もあり、当時の俺はお金に目がなかった。汗を流して手に入れたお金を、ピカピカに磨いて財布に入れてたな。そんな矢先にふいに現れたのが百条百花だ。
「ガラガラガラガラ」
建て付けの悪い入口の扉が開く。
「いらっしゃい」
「紺太さん、はじめまして!」
「…誰だお前」
「いやーいつもありがとうございます!」
「…?何のことだ?冷やかしなら帰んな。俺は今銭を磨くので忙しいんだ。」
「あー…えーっと…あっこれが私です!」
俺が磨いていた小銭を指さす。
「ふざけんな!これは俺の金だ!」
「あーいや違うんです!えっと、私は百花、百条百花って言います。これでも百円玉の神様なんですよ!」
「あぁ…下っ端の付喪神か。で、何の用だ?」
「そんな言い方ひどいですよ!私だって一応女の子なんですから!」
「いいから早く用を言え!」
「もう…実はですね、いつも磨いて頂いてるお礼をー…したいなって」
「嘘だろ。何か理由があるな。」
小豆色の髪をした少女がたじろぐ。
「な、なんでわかったんですか!?」
「馬鹿、化かし屋が嘘を見抜けないでどうする。」
「この頃は「馬鹿」って漢字で書いてたんですね。」
「…?」
「あ、いや。こっちの話です!実は…」
ごめんなさい。馬鹿とバカのくだりはもうしません笑。ローファンタジーから離れないよう頑張ります(一応ローファンです)。