地図から消えた街。
ツイッターの小説お題ででた「舞台が隔離都市、主人公は男勝りな女(大人)テーマは戦闘、重要な言葉は声、テーマカラー灰色」を入れて二時間で作りました。
ごめんなさい!!!!!!途中で急に終わった感あります!!!!!
批判ください!!!!!!!
スタジアムの舞台から歌が聞こえる。
力強くそれでいて甘美な女性の歌声は今にも吸い込まれそうな鈍色の空に響いていた。
女性が一曲を歌い終えても拍手も歓声も起こらない。
それを聴いている観客の中に生存しているモノは皆無に等しかった。
彼女の周りを埋め尽くしているのは人型のナニカ。
目からは生気が失せ口はだらしなく開き足取りもおぼつかないナニカ。
3週間前に遡る。
近代都市ヴォーチェは隣国の侵略を受け城ごと陥落した。
元々貿易で栄え海に面した近代都市であったためどの国もこの街を狙っていた。
大規模戦争になることを恐れた外交官と外交官の言いなりの暗君のせいで
自国から約束されていた援軍は来ることはなく街の兵士だけでは太刀打ちができなかった。
全ての人々が侵略国の支配下になると思っていたのだが侵略国は市長や市議員たちを処刑後すぐに軍を撤退させた。
予想し得なかった自体に人々は路頭に迷い街は混乱状態に陥った。
軍の撤退後すぐに例のナニカは現れた。
そのナニカは街の人々を次々と襲い人口は一週間で半分にまで減った。
一週間もすれば街のあちこちにシェルターができ屈強な男や勇敢な若者、戦で敗走した兵士を寄せ集めた自警団が出現した。
幸いな事にこの街には貿易の際に使用した蜘蛛の巣状に地下道がありそこで点在する自警団はネットワークを構築し、情報と食料を共有し合った。
しかし二週間もすると食料が底を見え始める。
そこで食料を配布し始めたのが元貿易王の娘アリサだった。
蝶よ花よと愛でられて育てられたお嬢様ではあったが卓越した歌の才能だけを持ち合わせていたため16歳までは歌姫とも称されるほどだった。
それから数年は彼女は何故か歌うのをやめ屋敷の外で彼女を見たという声はなかった。
重い病気だの呪いで声が出なくなってしまっただの噂が飛び交っていた。
食料があると聞きつけた人々は地下道を通り貿易王の地下シェルターに集まった。
これこそがアリサの狙いだった。
集まった人々に歌姫と呼ばれた女性は透き通り力強い声でこう伝えた。
「皆様、聞いてください。ここにはまだ数週間分の食糧があります。
しかしもはや祖国に捨てられ隣国の支配からも『悲しいことに』逃れられてしまったこの街に救援はありません。
我々は自力でこの状況を打破するしか方法がなくまた残念なことに私には闘う力がありません。どうか皆様の力をおかしください。
私はここの全ての物資をともに戦う戦士に分け与えます。それ以外の方にはたとえ一グラムたりともここに食べる食糧はないと思いなさい。
闘う強者だけここに残り他のものは元いたシェルターに帰りなさい。これから私たちは私達の代わりに地上を闊歩する化物を掃討作戦を行います。
それに参加することを良しとする者とその家族だけに見返りを与えます。参加する以上命は無いものと思いなさい。以上」
人々は落胆した。
誰もが食糧を手に入れたいとは思っていたが例の化物を闘うとなると話は別だ。
兵士が束になっても勝てないのにいったいどうやって闘うのかとヤジが飛び交った。
「それは参加するものだけにお応えします。」
栄養が足りていない人々を激昂させるのは簡単だった。
彼女の言葉を要約すると「怪物と闘って死ね、それまではいい思いをさせてやる」ということだ。
そのようなことを声高らかに言われ怒り狂った人々は次々に元いたシェルターに帰っていく。
しかし中には帰らない者も数名いた。
元兵士が5名、自警団の団員たちが3名程度がその場に残っていた。
計八名が残ったのを見た歌姫はぼとっと呟いた。
「残ったのはこれだけか...思ってたより多いな。」
口調の変わったアリサが続ける。
「...っとわりぃ、驚かせたか?普段はこういう口調なもんでな。さっきのはまぁ威厳のあるところを見せたかったんだ」
一人の古参兵士が笑いながら言う
「驚いた、貿易王の歌姫は女騎士みたいな口調だな。そのほうが俺らも親しみやすい。俺らは家で妻と寝るより軍の女と寝るほうが数が多いからな」
どっとその場(自警団員を除いてではあるが)に笑いが起きる。
ひとしきり笑ったあと兵士が続けて質問した。
「で、俺らはその掃討作戦とやら何をしたらいい?」
少し悲しい目をしたあとアリサが言う
「闘って死ぬことだ。」
「説明が足りなかったな、みんなも知っている通り私の歌声には呪いがかかっている。聞いた生物を死に追いやる呪いだ。
だがこれも使いようによっては怪物を倒せる可能性がある。音は切ってあるがこれを見てくれ。」
シェルターの小さなモニターに録画した屋敷の廊下が映しだされた。
「三日目私がこの廊下で襲われた時の映像だ。」
その映像の端には例の怪物に追われ剣を抜きながら逃げている彼女が写っていた。
とその時彼女と怪物の動きが止まった。
よく見ると彼女の口だけが動いている。
「ここで私は歌を歌った。すると」
怪物がだんだん溶けていく。
「奴らはどうやら耳だけはいいらしいので歌を試してみたんだ」
自警団が聞く
「このような方法があるならなぜみんなの前で発表しなかったんです?もっと人手が集まったかも...」
兵士が代わりに応える
「いいか?あんな演説を聞いただけで逃げ出すやつの人手を借りても足手まといなだけだ。どうせ作戦が始まったとたんに逃げ出すにきまってるぞ。」
自警団はそれを聞くなり納得した面持ちになった。
「具体的な話に入るぞ作戦は明後日決行予定だ、場所はスタジアムの舞台上、それまでに舞台に音を増幅させる魔法陣を完成させる。
あなた達には一曲歌い上げるまでの時間稼ぎをしてもらう。それまで各員、飲み明かそう。それでは各員解散!」
二日後、スタジアムには歌姫の姿と八名の戦士の姿があった。
ひたすらに歌い上げる歌姫の足元には青く輝くルーン文字と記号を組み合わせた魔法陣があり彼女の歌声に呼応し光を増していった。
その光は街中を包み込みいつしか
やっと聞いてもらえた。私の歌。ずっと誰かに聞いて欲しかった。
殺してしまうのが怖くて封印してしまった歌。
開放する。全てを。
これで満足したよ。私の街さようなら。
お読みいただきありがとうございました!
まず、ごめんなさい!!!!!!
今年はもっと精進して作品の質上げます。
コメントいただけると嬉しいです。