2・動き
アランのパーティーの一人が、そのままハーネスの玉座の裏まで走り出した。
「ガリエル…打ち合わせと違うぞ」
それは聖なる国リフィールの聖騎士団の鎧に身に纏った男であった。
「…我が主君の真の目的は、大魔王ハーネスの討伐ではないわ…」
慌てているアラン達を尻目に、ガリエルは王座の裏に在る扉を開けて入って行ってしまった…
「…どうやら…あの男の目的は、ワシの『秘宝』のようだな…」
ハーネスは、苦笑いを浮かべた…
「…どういう事だ?」
アランは、ハーネスから視線を動かさずに訊ねた。
「…人間とは罪深い種族じゃの…そんなモノの力を借りてまで『支配』しようとするとは…だが…」
ハーネスの苦笑いが、不敵な笑みに変わった。
「…好きにはさせんよ…」
ハーネスは手をかざし、何か呪文を唱えると…この空間が揺れ始めた。
そして入って行った筈のガリエルは、この間に戻されてしまった。
「…くそっ!ようやく、ここまで来れたというのに…」
ガリエルは、自分の持っていた剣を抜いてハーネスに襲いかかった。
「…無駄じゃ…例え秘宝を手に入れたところで『普通』の人間では扱えんわ!」
ガリエルは、ハーネスの見えない障壁に吹き飛ばされた。
「…ならば、大魔王ハーネス…貴様を倒すまでだ!」
再びガリエルは、ハーネスに向かって行ったが…
「…愚か者めが…『ギガフレイム』っ!」
ハーネスの放った火炎魔法が、ガリエルに向かって放たれた…
「…何故、そいつを庇うのじゃ?」
ハーネスとガリエルの間にアラン達3人が立ちはだかった。