7話始まり
「説明してもらえますか?」
さっきまで他のものが映っていた映像に向かって言う。
『うーん。言ってなかったけ?』
黒い映像から男の声がする。
『まあ、いいじゃん。勝てたんだし。しかしあいつ、あんなスキル作ってたんだな~』
はあ、と溜め息をつく。
「わかりました。この事については本人に聞きます」
『うんうん、そうしてそうして』
「で、あなたはいいんですか?息子を戦場に出して」
『何言ってんだ。ダメなら息子の情報を渡すはずがないだろ?』
話している相手は野上 健人。さっきまで戦っていた少年の親であり、この神々殲滅部隊を作った人達の一人だ。
『それにお前のところなら安心してまかせられる。世界最強の男大和 元司令官殿』
「元世界最強ですよ」
『そうだったか?まあ、それは置いといて、彼女は元気か?』
「ええ、元気ですよ。・・・・・・いいんですか?貴重な原典を二人ともシナプスに置いて」
『他に置くところもないだろ。日本最強の神々殲滅部隊シナプス。原典を置くところで一番適した場所だ』
「・・・・・・わかりました。預からせていただきます」
『ああ、息子を頼む』
そう言い通信が切れる。
「司令。彼が到着しました」
ライラから連絡が入る。
「わかった。すぐ行く」
急いで部屋を出る。
「どうするんですか?」
顔を険しくしてポセイドンが問う。
「ん~~?」
「だから一気に攻め落とせばいいじゃんかよ~」
アレースが気楽に言う。
「あのな、それができないから困ってるんだよ!馬鹿が!」
「誰が馬鹿だ!」
アレースが怒気を含んだ声で叫ぶ。
「まあまあ、落ち着け二人とも」
静かに、威圧を込めて言う。
「へーパイストスを向かわせた。時期に日本も落ちる」
「・・・・・・!!あいつが行ったのか!」
「そういう事なら大丈夫ですね。ゼウス様」
「本当にそう思うか?」
え、とポセイドンが首をかしげる。
「どういうことですか?」
「日本は面白い奴が多くいるからな。もしかしたらへーパイストスは帰ってこないかもしれないな」
辺りが静かになる。
「さて、どう動く?人類よ」
高らかに笑う。
択捉島。日本の北側にある最前戦。
「おいおい、何だこのスキルは?」
送られてきた映像を見て驚く。
「確かにすごいですね。これが原典の力なんでしょうか?」
隣りにいる八神 弓弦が興味ありげに言う。
「うーん、一回帰ってみるか?」
「それ賛成です」
提案に賛同する弓弦を見て、
「んじゃ、ささっとかたずけて帰りますか」
天使達の方を向き、剣を取る。
あの日から一日がすぎ、俺はファミレスに来ていた。
「・・・・・・あの~」
向かいに座っている男に話しかける。
「ん?なんだい?」
「何でファミレスなんですか?」
いろいろ説明するという事なので来てみたものの何故にファミレス?
「司令。そろそろ」
隣りに座っている愛が男に言う。
「ああ、そうだな。さて、どこから話そうか」
「あの~ここで話していいんですか?」
「大丈夫です。この席の声は周りに届かないようにしています」
男の隣りに座っている金髪の女が俺の問いに答える。
「野上君。君は自分の事をどこまで知ってるんだ?」
「え?ああ、スキルの事ですよね?特別なスキルということは、わかってます」
いきなりの質問に一瞬戸惑うが、丁寧に答える。
「わかった。では説明を始める前に自己紹介をしておこう。私は大和 元。神々殲滅部隊シナプスの司令官だ」
「私はライラ・ジェームス。副司令官です」
「月島はいいよな?」
「・・・・・・はい」
隣りにいる愛を見て答える。
「それじゃあまず聞きたい事は?」
「そうですね・・・・・・まず、神々殲滅部隊とは何なんですか?」
「簡単に説明すれば神専門の軍隊。これは世界中にあり、シナプスもその一つだ」
「じゃあ本部じゃないんですね」
「ああ、そういうことだ」
「では次に、何故俺を監視していたんですか?」
「君は世界に7人しかいない生まれた時からスキルを持っている原典だからだ。要するに勧誘しようと思って情報を集めてたんだよ」
「・・・・・・そうですか。じゃあ最後に、愛は何故シナプスにいるんですか?」
最初から疑問に思っていたこと。
「月島は君と同じ原典だからだ」
「な・・・・・・!!」
言葉が出ない。それぐらい衝撃的な事実。
「原典のスキルは機械に反応しなくてね。君の父から君達二人の情報をもらった」
やっぱり親父か。ん?じゃあ親父は愛のスキルも知っていたのか?
「さて、次はこっちが質問する番だ。君が使っていたあのスキルは何だ?」
「・・・・・・あれは合成したスキル。その中でも出来がいい完成系のスキルです」
「合成したんだな。一体いつからスキルを持っていたんだ?」
「父から聞いてないんですか?」
「ああ、君から聞けと言われた」
「そうですか。では・・・・・・」
結局この情報の交換は1時間ぐらいで終わった。
「それでどうだ?シナプスに入隊しないか?」
「・・・・・・そうですね」
一瞬愛を見る。愛は高1でシナプスに入ったらしい。
「考えさせてください」
「了解。これ、私とライラのメアドだ。結論がでたらどちらかに連絡してくれ」
メアドの書いた紙を渡される。
「それじゃ、良い返事を期待している」
帰り道。愛と二人きりになった俺は、愛に聞く。
「そういやお前のスキルってどんなのなんだ?」
「詳しくは話せませんが、そうですね、情報収集に長けているスキルでしょうか?」
いつもと同じ口調で話す。
「ん?戦闘系じゃないのか?」
「原典は必ず戦闘系、つまり正利君みたいなスキルを持っているわけじゃないですよ。
例えば、対神兵器を開発した人も原典ですし」
「え、マジ!?」
「マジです。あ、着きましたね」
しゃべってる間に愛の家に到着したらしい。
「それではまた明日」
「ああ、また明日」
「・・・・・・正利くん。よく、本当によく考えて選んでくださいね」
入隊の話だろうか。
「私は心配いりません。あなたの意思で選んでください」
「・・・・・・ああ、わかった」
一人になりさっき言われた事を考える。
(俺の意思か・・・・・・)
ほんと、俺は何がしたいんだろうか。
そんな事を思いながら家のドアを開ける。
7話見て頂きありがとうございます。
1章はこれで終了です。ここまで見て頂き本当にありがとうございます。
2章では本格的に神、ダミーゴットなどなど出していこうと思っているのでよろしくお願いします。