12話対イカロス戦・後編
今回は少し長めになっています。
今回はいつにもましてぐだぐだかもしれませんが、気軽に見てもらえると幸いです。
「ここが限界か・・・・・・結構広かったな」
白黒の世界。その限界の位置で剣を抜き、切りつける。
「・・・・・・いけるか?」
微妙な手ごたえに首をひねる。
「ぎゃわあああああああああああああああ!!!!」
(始まったか・・・・・・)
原典と原典の戦い。
「さて、こちらも急ぐか」
もう一本の剣を抜く。
「ぎゃわあああああああああああああああ!!!!」
咆哮をあげ、大型の獣が突進してくる。
「く・・・・・・!」
その突進をぎりぎりで避け、同時に肢体を4回切り込む。だが、
(刃が通らない!!?)
刃こぼれした刃を見て思う。
「無駄だよ。ドラゴグリフォスは龍とグリフォンの融合体。その刃じゃ龍の鱗を傷つけることは出来ない」
クリスタルは新たに3枚のカードを取り出す。
「いでよ、王の死体」
カードは光を放ち、一回り大きいゾンビが出現する。
「さーさーどうする~?」
「・・・・・・厄介ですね」
そう言い刃を鞘に納める。
「え?何してんの?」
クリスタルは怪訝そうな顔をして言う。
「ここがどこか忘れましたか?ここは私の結界の中。全て影です」
「どういう!?」
クリスタルは自分の体が黒い霧に覆われているのにきずく。
「体が、動かない!?」
「拘束する影。相手の動きを完全に封じる技です」
ドラゴグリフォスやゾンビ達の動きも止まっているのを確認してクリスタルに近づく。
「貴方たちの目的は一体なんなんですか?喋らないならその首を切りおとします」
「・・・・・・残念。時間切れだよ」
クリスタルが言うと同時に白黒の世界に亀裂が入り、壊れる。
「な・・・・・・!破壊された!?」
「じゃ、そゆことだから」
拘束から逃れたクリスタルは後ろにさがり、言う。
「隙を見せるのはいけないな~」
後ろからゾンビに掴まれ拘束される。
「な、なんで・・・・・・!?」
「いや~あの鎧くん、何でも切れる剣を持ってるからね。結界も切れちゃうんですよ。さて、」
笑いながら目の前に来る。
「ごめんけど死んでも」
ズド。そんな音がし、クリスタルの言葉が止まる。
「・・・・・・誰かな?」
クリスタルは静かに振り向く。
「え?」
その背中にはナイフが刺さっておりそこから赤黒い液体が流れ始めている。
「・・・・・・少し、やりすぎではないですか?クリスタル」
物陰から一人の女性が現れる。
「弓弦さん!!!」
シナプスの幹部にして第11位。八神 弓弦がそこにいた。
「く・・・・・・!!」
どうなっている?
目の前にいる白装束の男を睨みつける。
「無事でしたか」
その男は後ろを振り向き、目的に言う。
「ええ、助かりました」
何か話してるようだが関係ない。そう思い切りかかる。が、
「!?」
視界がぶれる。何が起こったかわからない。そこに、
「すいません」
目の前が真っ暗になる。
「・・・・・・すごい」
目の前で起きた一瞬の出来事に息をのむ。
「この方が原典を持つ新しい人ですか?」
その出来事を作った人が俺を見る。
「え、えーと、そうです」
ぎこちなく答える。
「おお、結構若いんですね!あ、私白虎です」
そう言い手をだす。
「あ、はい。野上 正利です」
とりあえずこちらも手をだし握手をする。
しかし白虎ってかっこいい名前だな。
「ところでここに貴方が来ているということは月島さんの方にも誰か行ってるんですよね?」
「はい。あちらには弓弦さんが、司令と響介さんのところには玄武が向かっています」
するとライラさんの表情がこわばる。
「・・・・・・少ないですね・・・・・・何かあったんですか?」
「そのことなんですが・・・・・・」
しかし言葉は爆音によって消される。
「ライラ!!急いで本部に戻るぞ!!!」
爆音がした方から炎の軍服らしきものを纏った大和さんが飛んでくる。
「くそ!!やられた!」
いつもの余裕そうな表情がない。てか熱い。
「奴らの目的は時間稼ぎだ!関空の防護石が破壊された!」
「あーくそ痛てーやっぱお前ら化け物だわ」
「そりゃどうも」
「・・・・・・いや何で私まで化け物になるんですか?」
「あんたのスキルも普通に化け物級だと思うけど?」
(・・・・・・全員化け物だと思いますけど)
目の前の状況を見て思う。もう何が何だかわからない。
弓弦さんが来て戦闘になったと思えば今度は八神さんと敵のリーダーがぶつかりながら突っ込んできてそのまま乱闘・・・・・・
「しかしまあこのまま戦っても多分負けるだろうしそろそろ撤退するか。あいつは?」
「鎧くんならもう一人の原典を追ってるよ」
「・・・・・・急いだ方がいいな」
そう言い敵のリーダは翼をおさめる。
「・・・・・・結局この戦争は俺達の負けだな」
「え?何で・・・・・・?」
八神さんの言っていることに首をかしげる。
「彼らの狙いは響介達の足止めです。関空の防護石が破壊されました」
「な!!」
防護石。日本、いや全大陸の人類の領地に設置されている幻想金属。この金属を四つ用意し大陸を円状に囲むように設置すると巨大な見えない壁が出来上がる。しかしそのどれか一つでも破壊されるとバリアは消える。つまり、
「神の軍勢が一気に攻めてくる・・・・・・」
しかし、ふときずく。敵の二人はまだしもなぜ味方の二人は焦っていないのだと。
「正直どうでもいいんだよね。神とか天使とか」
「・・・・・・しかし焦らないとは変わんないな、お前達は」
そう言いながらドラゴグリフォスに乗る敵のリーダーを睨みつけ、八神さんが言う。
「俺の敵は憑神一族、そして翼、お前だけだ」
「響介、俺ではなく俺達ですよ」
「あははは、やっぱり何も変わってないんだね、君たちは。あ、そうそう一つだけ忠告しとくよ」
笑いながら言う。
「あの原典、野上くんだっけ?彼は危険だ。警戒しといた方がいいかもよ?」
え?なんで今正利くんの事がでてくるんですか?
「・・・・・・そのための俺だ」
(どういう事・・・・・・?)
しかし思考は一瞬で別の事に変わる。
さっきまでそこにいたドラゴグリフォスがいなくなり、代わりにさっきまでいなかった一般人が急に現れた。
「さて、愛ちゃん動ける?」
「あ、はい。大丈夫です」
弓弦さんの声で我にかえる。
「・・・・・・何かおかしいな」
そこで八神さんが怪訝そうな声でつぶやく。
「何で天使達の気配がしないんだ?」
12話見ていただきありがとうございます。