表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

野バラ《才能》

水の面になった鏡に触れると、やっぱり吸い込まれた。

さっき、吸い込まれた時は気が動転していたが今は割と落ち着いている。


吸い込まれる感覚はやはり水に沈む感覚だ。

ヒヤリとしていて気持ちがいい。

鏡の中の空間はエレベーターぐらいの広さだ。

立った状態で沈んでいくと足が空間から出る感覚がした。

出る所に気を付けなくては攻撃されたら危ない。

しかし、今の所は方法が不明なので放っておく。

自分の身の事だけど。


顔が空間から出ると自分の家のトイレだった。

最後に手が出て周りを見渡すと自分がトリップした場所だった。



「お姉ちゃん!!いい加減にしろ!!」


ドンッ ドカッ


おや?

まだ、妹が外にいるようだ。

しかも、戸を蹴る妹の台詞を聞くかぎりどうやら、そんなに時間は経っていないらしい。


取り敢えず、トイレを譲る。

ドアを開けると怒って焦った妹がいた。


実を言うと、トリップしたので何か特別な力があるかと思っていたがそうではないらしい。

残念。



ひとまず、部屋に行き寝る。疲れたのだ。

異世界でまさかのランニングはキツかった。

運動部は中学生の時しかやっていないし今は、家庭部だ。

しかも、受験中で運動とは無縁な生活を送ってきた。異世界での運動で私の体力は大幅に削られてた。


時計を見ると、まだ4時だった。

学校は近くのを選んだから帰るのがとても早い。


汚ないのでベッドに入らないがもたれかける姿勢で夢の中に入った。




特に不思議な夢は見なかったが空き家にいた夢を見た。

夢占いで占って見れば『人間関係に悩んでたり、今後、悩みます。人運下降気味に…』。

不吉だ。



〓〓〓〓〓



次の日。

半分、また不思議な出来事が起きるかワクワクで、また半分は恐る恐る同じトイレに入った。


結果、何も無し。

せっかく、リュックも背負ってたのに残念だ。

時間になったのですぐに学校に行った。


昼休み、誘われたら友達とつるむ私は一人でトイレに行った。



手を洗った時、ポケットのハンカチをとるのに水気をとろうとし、ぱっぱっと手を振った。

すると、トイレの鏡の面が先日のように水のように水滴を受け止め波紋が広がる。

あ、昨日バージョン。


とっても、ご都合主義だけど自分の能力?

だが、何者かが与えてくれただけかも。



既に私はこの不思議な状況を受け止めていた。


昔から、なんか変だ変だと思っていた。

何が変だって、見えないのに『何か』の気配がしたような気がしたり、見えたような気がした。

決して、それが本当じゃなく只の勘違いかもしれない。

何が言いたいかと言うと私は結果、『不思議大好き』『ファンタジー万歳』な中2病女子高生になったということだ。

胸を張って言えないが。



私はこの時、『素敵な才能』あるいは、『私の人生を愉しませてくれる能力』だと感じていた。


しかし、この予感は大きく外れる。

が、この時の私には知る由もなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ