柊《用心深さ》
冒頭に戻った所で周りの説明をしよう。
周りは草原でした。
以上。
いや、本当に草以外何もない。
動物も。
森も。
木も。
状況を振り返る。
自分の服装を省みる。
制服だ。
高校生で帰った後にトイレダッシュだったからだ。
あ、妹。
大丈夫かな、間に合っただろうか。
だが、人の心配より自分の心配した方がいいっぽい。
周りに危険な動物がいないか確認しながら制服のポケットを探る。
見つけたのは、鏡。20円。ティッシュ。飴。ミン●ィア×2。
ティッシュ以下はいいが20円とは、何を買うつもりだ。何を。
何も役にたたないのでポケットにしまう。
そして、耳をすます。
小学校の時に呼んだ教科書に書いてあった。
アフリカの女の子が迷子になって、出会った母無しの子象に群れを探してあげる。この出来事で命の大切さに気付き大人への一歩を歩む感動的な物語だ。
耳をすますが水どころか動物の気配もない。
そのうち、雨が降ってきた。
じっとしていても仕方がないので歩く事にした。
歩いていくうちにどんどん雨が酷くなる。
すっかり、びしょ濡れになってしまった。
ふと、前方にでか過ぎる見た目蕗の葉があった。
雨宿りする場所を見付けたので、急いで葉の下へ走った。
泥が滑るが気にしない。
早く、鬱陶しい雨から逃れたかった。
やっとの思いで葉の下へ行くと、なんと先客がいた。人ではなかったが。
30センチぐらいの蜥蜴が8匹ぐらい寄り添っていた。
少し小さめのが私を見て威嚇したいのか口を開けた。あ、可愛いかもと思ったのが大間違い。
口を開けて10秒すると火を吐いた。
えぇ、びっくりしましたとも。
流石に此処は異世界だと確信してしまいました。此処は辞めといたほうがいいかと思ったが火と言ってもマッチほどだから危険は無いと思った。
外は雨だし。
雨宿りを確保した所で休憩する事にしました。
飴はまだ置いといてミ●ティアのブルーベリーヨーグルト味を食べていると火蜥蜴(勝手に命名)が此方をみています。
が、あげない。
決して、意地悪じゃないよ。
野生の動物にむやみに人間の食べ物あげちゃ駄目だよ。
例えば、犬にチョコレートとかネギをあげると大変な事が起きるからね。
あげたいけど我慢だよ。
たとえ、火蜥蜴全員が一列に並んで目を輝かせてヨダレがタラーリでもね。
そういう事で火蜥蜴を見ないふりで鏡を取り出す。
私は街中歩いても誰一人振り返りも印象にも残らない容姿だ。
でも、髪だけは大事にしている。
昔はピンで留めてもサーッと落ちるぐらいサラサラヘアだった。昔は。
今は、訳ありで少し荒んだがあの頃の髪を蘇らすべく細心の注意をしている。
櫛はマイナスイオン付きだ。
櫛は無いのでせめて手櫛をと折り畳みの鏡を開くと、あら不思議。
此処へ来る原因となった、水の面の鏡になっている。多分、触れたらまた吸い込まれるだろう。
だが、今のままでも帰れない事は確かだ。
一か八か、吸い込まれるのが妥当だろう。