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エノーミ様(仮)



「いつも通り家のことはよろしく頼む。一応材料を調達したら今日中にはもどって来る予定でいるから」

「はい。了解で~す。食事は日暮れあたりまでにできているようにしておきます」

「わかった。では頼む」



 エノーミ様は当たり前のことのように、ごく自然に家を出て行った。そう文字通り当たり前のように。誰が見ても特に違和感を抱くことはないだろう何気ない会話と様子。人によってはもしかしたら明るさが足りないと言うかもしれない。だがそんなことは気にする必要もない些細なことである。そうこの場においては……。

 いったいエノーミ様を少しでも知るものがこの場を見たら何と言うだろうか。きっと皆が皆、わが目を疑うに違いない。何を隠そう私も未だに信じられない。でもそんな様子をちょっと見てみたい気もする……。おっと、いまはそれは置いておこう。話をもとにもどすことにする。


 そう、これは驚くべき光景である。

 エノーミ様は誰一人知らぬものはいないと言われるほどのエルフ史上最高の魔法の使い手であり、常に冷静沈着。私の一生の目標であり、神のような存在である。かつて人間国の間で起こったという実にくだらない戦争の際にはそのけたはずれの力と、神がかった治療技術によって一人で争いを終結させた伝説の人物である。寿命が存在する人間にとって当時を生きていたものは一人もいるべくはないが子子孫孫、現在においても最も有名で人気な話として語り継がれている。

 それともうひとつ。エルフであればだれもが知っていることであり、人間の間でも一部の者の間では周知の事実である。それはエノーミ様の性格である。間違っても語弊があってはいけないので予め言っておくがけっして性格が悪いというのではない。人嫌いだとか、傲慢だとかそういったわけでもない。少しでもエノーミ様と付き合ったことがあるものならばすぐにそれはないとわかる。だが、そうでない者には時々勘違いされやすいのである。と言うのも、簡単に言ってしまえばエノーミ様は他者とのコミュニケーションにあまり必要性を感じていないのだ。それもそのはずである。幸か不幸かエノーミ様は他者とは全く異なる次元にその身を置いているがゆえに、他者とは相いれないのである。釣り合いがとれないと言った方がいいのだろうか。同じ世界に存在しようとすると、どちらかが壊れてしまうのである。性格に然り、社会的地位、はたまた人格そのものに悪影響を及ぼしてしまう恐れがあるのである。主に……どうだろうか、むしろ100パーセント凡人である相手の方が壊れてしまうであろう。そういった者が何人も、何十人もいる。それがわかっているからこそ、エノーミ様は本当に信頼しているもの以外必要最低限の言葉をつかっただけの会話になり、他者と一線を画していた。



「それなのになんで……」


 それがどうだろうか。ごく一部(主にアクナ様であるが)の相手としかコミュニケーションを取ろうとしなかったエノーミ様がこの男とは普通に会話している。そう極めて普通の日常会話だ。



「なぜだ……?」


 話を聞く限り詳しいことまでは話してくれなかったが、この男がここに住み始めてから三カ月ということだ。



「さあ今日も一日頑張るか」


 問題のこの男、サイトウコタローはグワッと大きく背伸びをすると、自室へと消えて行った。その後をミカド様もスタスタと付いていく。この世界にその名を知られる白虎の一族であるアクナ様。エノーミ様の親友であり、数少ない心を許している相手。そしてそんなアクナ様のご息女様。そんな高位の存在であるミカド様は実に愛くるしい御姿。なのにもかかわらずなぜあの男のようなものに懐いているのだろうか。まあ、いい。それも旅の間で見極めるとしよう。私の国、ブルーフォレストに行くのだから。


さっき適当に作ったのでそのうち改めて作り直します。

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