なんでこうなるかな
偶然見直しをしたところ、編集したと思っていた文章が編集していないことに気がつきました。大変申し訳ありません。すぐに編集しなおしました。(9月18日修正)
「先生~、いますか~?」
平和な昼下がり。例のごとくまったりと勉強にいそしんでいると突然誰かの声が聞こえてくる。
「誰だろう?」
ここに人が訪ねてくるのは初めてのことである。窓際で気持ちよさそうに日向ぼっこしていたミカドも何事かと起き上がってきた。
「お久しぶりです! 私です。ビオレラです」
おっきな声だな。声を聞くからに元気いっぱいの人であろうという雰囲気が容易に感じ取れる。
ほんとうに誰だろう。エノーミさんの知り合いかな。オレはすり寄ってくるミカドを抱き上げると、急いで部屋を出た。
「せんせ~、お留守ですか~?」
「すいません。お待たせしました」
オレはガチャリと玄関の扉を開けた。ギギーと扉のきしむ音とともにゆっくりと、扉の外に入り人物が明らかになる。
……エルフさんか?
まず最初に目に飛び込んでくるのは、圧倒的な赤。肩口で切りそろえられた赤色の髪。ぱっちりとした赤色の眼。身長はオレより少し小さいくらいだが、整いすぎているほど整った容姿とスタイル。年齢はどれくらいであろうか。エルフさんはきれいすぎて基準がわかりにくいが、かなり若いことはたしかであろう。
「何か御用でしょうか?」
オレは若干きれいすぎる彼女に緊張しながらも要件をうかがう。こんなへんぴな場所に変な輩はこないから特に警戒する必要はないと思う。でも、この森には結界が張られているから通常誰も立ち入れないはずなのだが……。エルフさんだったら可能なのかな。それとも、エノーミさんの知り合いなら大丈夫なのだろうか。まあ、後でアクナさんに聞いてみればいいか。
「あの~、エノーミさんのお知り合いですか?」
オレはさきほどから黙り込んでしまった彼女にとりあえず訊いてみる。おそらくエノーミさんの知り合いであろうから中で待っててもらえばいいかな。……やべ!? ちょうど今、お茶切らしているんだよな。なにか他にあったかな。さすがにお客さんにお茶も出さないのはな~。どうするか。ひとっ走り取りに行ってくるか……。よし、そうしよう。
「アンタだれ?」
あれ……、なにかおかしいな。なぜか彼女の様子がとても怒っているように見える。先ほどまでとは異なり、刺々しいまでの口調に変わっていた。
「もう一度だけ聞いてあげるわ。アンタはだれ? なぜエノーミ様の家にいる?」
いや~、怒ってるな~。何この急展開。きれいな女性に睨まれるとか勘弁してほしいんですけど。
しかし、彼女は明らかに怒りを含んだ様子で、こちらを睨んでいる。
う~ん……。オレ何かしたかな。かなり丁寧に応対したはずなんだけど。どこか気にいらないところでもあったか……。
まあ、冗談はさておき。確かにここにオレがいることはおかしいことではある。ここは相手の神経を逆立てないようにうまく説明しないといけないな。
オレはどう説明すべきか、考えをまとめる。
「ちょっと! なんとか言いなさいよ。あっ! まさか不法侵入者」
え? ……まさかそういった風に考えるとは。ちょっとまずい展開かも。
彼女はなぜだかよろしくない方向に解釈すると、背おっていた荷物を勢い良くほうり投げる。今にも襲いかかってきそうな様子だ。
あらら。やっぱり、この流れは確実にまずい気がする。この手の人間(今回はエルフだが)は絶対自分の感情にまっすぐなタイプである。簡単に言うと至極めんどくさいタイプの人間だ。つまり、予想通りであればこの後は確実に
「やっぱり……」
オレは態度にこそ現わさなかったが、心の中ではガックリと膝をついていた。思わず全身の力が抜けそうになる。
彼女は身体に魔力を循環させると、意気揚々と魔法言語を唱える。
「おとなしく捕まりなさい。サンダー!」
ビリビリと放電音を上げる電撃が彼女の周りに出現する。そしてそれらは当然のごとくオレに向かって飛んできた。
なんでこうなるかな。は~……と、オレはため息をつきたくなる自分をなんとか抑え、身体に魔力を循環させる。
……てか、ミカちゃん寝てるし。こんな場面で良く寝られるな……。
オレはミカちゃんを起こさないように気をつけなければならなくなったのだった。