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1-1:4歳……くらい。たぶん。


Hello, World!



昔からよく夢を見る。


それは、別の人生としか言いようがない内容で、


途中で目が覚めれば生々しい寝起きになるし、

それがなくても気づけば記憶が増えてる。



じゃあ今の人生って……?


たぶん、3歳か4歳児。


この状況からひとつ言えることがある。


……転生した、ってやつだと思う。仮説だけど。






◆ ◇ ◆







……これも夢?


夢っぽい。またか。またいつものあの白い部屋。




……




GotHub(コード共有サイト)の画面を開いた途端、つい療養病室(あたしの家)に響き渡るレベルの大声(ブチギレ)を上げてしまった。


「は?ドシロートがいっちょ前ぶって雑にissue立ててくんなし!!

3年ROMってろバーカ!!どうせAIに書かs……ゲホッ」


言い切る前に肺に溜まってる何かが引っかかった。何度も咳き込み、喉から鉄錆くさい味が広がる。


この間の肺炎の残りである。なんて事ない菌(ニューモシスチス)によるざこざこ体質の敗北(日和見感染症)というやつだ。

そもそも体力がないくせに叫ぶからこんなことになる。


(はー、もういいわよね、文面的にどーせクソガキの思いつきだろうし、クローズクローズ。あたしそんな暇じゃないし、雑魚に付き合ってらんないわよ、まったく……。)


などと脳内で悪態をついてるその本人もたかだか17歳のクソガキなのだが、

自分のことは完全に棚上げだ。ざぁこ。


そしてほぼ同時に、拍動が乱れたせいで心電図モニタからアラート音が鳴る。


ピピッ……ピピッ……


慣れっこなのでガン無視して、

銀色のノートパソコンの蓋を閉じてから深々と溜息をついた。


スゥ……ハァ……


……



溜息から深呼吸に移行する。身体に負荷をかけないよう、落ち着いて……。


そして案の定、すぐにナースコールの子機から張り詰めた声がした。

「美桜ちゃん大丈夫??」


それに対して彼女はさっきの暴言とは全く違う雰囲気で応える。


「あ、いつものVT(心室頻拍)ですぅ。落ち着いたので大丈夫だと思いますけど、なにかあったら迷わず押しますっ!」


そんな美桜の軽い口調に、馴染みの看護師は()()()()()調()に崩した。

「ほどほどにねぇ……。またどうせパソコン開いてなんかやってたんでしょお。おとなしくしてなさーい」

「はぁい」


ついつい通話越しなのにマイクに向かって猫被りした顔をしていることに気づいてから美桜は苦笑した。






◆ ◇ ◆






診察を終え、今日は何をしようかな……。

などと考えつつ、窓の外を眺める。


17歳。


17といえばJK。


はぁ。学校ね。


あまたのネット小説や電子書籍ではそりゃ飽きるほど学校モノも読んだ。友人、部活、青春、恋愛、喧嘩、仲直り……。

現実そんなドラマチックなことが起きないってのも、

けど意外とちょっとしたすごいことは起きる……

なんてのは知識としては知ってる。


色々な体験談や悩み相談のカキコも飽きるほど読んだ。読んでレスしまくったあと、ボロクソにリア充爆発しろって罵った回数は数え切れない。

ちくしょう幸せになりやがれ。療養病室(ここ)から動けないあたしの分もな。


放課後の買い食い、ゲーセン、プリクラ、カラオケ、ラウンドツー、友達の家にお呼ばれ……。


ぜんぶ、知識では知ってる。知識では。


バッティングセンターのコツも、動画では知ってる。

この軟弱な身体じゃバットを引きずることすら出来そうにないが。


ざこは私だ。ぺっ。



いちおうM高校という通信制の高校に所属しているが、

美桜が欲しい『いわゆる学校生活』がそこにあるわけでもなく、


この(全身性)体質(エリテマトーデス)がなきゃなあ……」


その言葉に感傷はほぼない。

それに傷ついて苦しむフェーズはもうとっくに終わっているからだ。



親とも湿っぽいやり取りはもうだいぶ前からしなくなった。

『次こそ、次会う時は死体になってるかもw。でも、頑張るよー』

『いつも言うけど、ありがとうね、パパ、ママ』

『ま、あんまあたしのこと気にしないで二人で美味しいもん食べて帰りなよ〜』


そんなセリフで送り出すのが常だ。


死ぬ気なんてさらさらないけど、主治医は診るたびに

『なんでまだ生きてるのか分からない』

と正直に言ってくれている。

心臓も何回も止まった。次こそどうなるか。


死は隣にいる。怖さは……あまりない。

なぜなら、死んで目覚めないなら永遠にそれに気づくこともないから。

逆に死後の世界があるならどうとでもなるでしょと思うから。


それに、地獄があるとして、地獄に落ちるような生き方は……たぶんしてない。さすがにしてないと思う。


なら、怖がっても仕方ないじゃん。わかんないし必ず来るんだから。


今まで接していた人と会えなくなるのは……


さみしいけど、仕方ない。


だから、相手に対して思ったことは伝える。出し惜しみはしない。




そして、そんなことより、


あたしの存在や、あたしの死が、パパやママの重荷になってほしくない。


だから自分から線を引いた。

そして、両親もまた、それを受け入れた。


一昨日の帰り際はこんなだった。

『じゃ、ママ(わたし)はそろそろ帰るわね。

オーエスエス?とゴチャン?もほどほどにして、ちゃんと勉強頑張んなさいよ。

それと、理IIIで毎回A判定出てたって、死んだら受けらんないんだからね』


『うん、まぁクマムシみたくしぶとく生きるよ。じゃあねー』


そんなもん。そう、そんなもんでいいのよ。


そして全力で楽しむ。見たいものを見る、とことん考える。

いつだって、楽しいって思えるように生きてきた。





あぁ……あれ?


今日はなんか疲れたかも。



ちょっと、


寝よう、かな




なんか急に……



これよくないやつ、


ナースコール、



だめだ、


とどかない、


からだうごかないや




ま、いいか、


いまごろナースステーションで音鳴ってると思うし




ごめん、


また担架(ストレッチャー)Dかな、ユーロビート流したいわぁ……




あー、もうねちゃう


おやすm




……


…。



Piiiiiii ────────





あとがき:


美桜が14歳で書いて、ずっとノートパソコン入れに忍ばせていた手紙。


とってもたのしかったよ!!みんなありがとー!!


あと、お別れの曲はELPのKarn Evil 9がいい!


……しってる?あの曲のタイトル、発音がcarnivalと一緒なんだよね。


お祭りでばいばい。みんな大好きだよ!

またどこかで会いましょっ♪

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