3話 赤龍様による世界の解説 赤龍様はとても凄い龍
温かい何かに抱きしめられている⋯⋯?
意識が戻り、ゆっくり瞼を開ける。
目に入ったのは、金色の瞳に赤い髪だった。
「赤龍様ですか?」
そう問いかけると、優しい瞳で私を見つめたまま頷いた。
赤龍様の腕の中で身動ぎし、辺りを見て驚いた!
いやいや、驚くでしょ!?
家族3人と、白龍様が正座させられていたのだから。
白龍様は、項垂れてションボリ落ち込んでる?様だし⋯⋯。
家族は、申し訳なさそうにディアナをチラチラ見るし⋯⋯。
(カオスね。)
「赤龍様?なぜ皆は正座をしてるのですか?」
「白龍は我のお気に入りに手を出したし、そちの家族は余りにも騙されやすいからな。説教をしたのだよ。」
ニッコリ微笑まれながら、答えてくれた。
白龍様は端正な顔立ちで、少し儚げな美丈夫。
赤龍様は強面だけど、凛とした顔つきの格好良いが似合う美丈夫。
微笑まれると、意味はなくとも照れてしまう。
のは、仕方ないはずっ!!
「ディアナ!!」
白龍様には私の感情が伝わるから、私が照れたのが解った為嫉妬だろう⋯⋯。名前を強く呼ばれた。
「だって仕方ないでしょ!!赤龍様は、私が最初に憧れた龍神様なのよ!!
赤龍様を好きにならなかったら、白龍様にも興味は沸かなかったかもよ!!」
そう⋯⋯。私は怒ってたのだ!
白龍様の不安も解るけど、私を信じてくれない事に。
会って間もないから仕方ないけど、勝手に番にされ(これは嬉しいけど、了承はしてないし)私を信用してくれないし⋯⋯。
怒ってるし、悲しいのだ。
反論された白龍様は、意識が飛んだ様に目を開けたまま固まっていた。
「落ち着け。心音。白龍の嫉妬は仕方ないのだ。番とは、それだけ手放したくなく異性とは兎に角関わって欲しくないのだからな。」
赤龍様は私の頭をなでなでしながら、白龍様を庇った。
私は頷いて、白龍様を見た。
「白龍様。ごめんなさい。」
そう謝ると、思考を戻した白龍はフルフルと頭を振り
「我こそすまない。ディアナの事になると、思考がおかしくなるのだ⋯⋯。」
お互い謝るが、無言になってしまった。
「これまでと、これからの話しをしよう。
正座のままは辛かろう。椅子に座るとしよう。」
赤龍様の言葉で、白龍様が立ち上がり赤龍様の膝の上の私に手を差し出した。
私は手を出し、白龍様の腕の中に閉じ込められた。
安心するその温もりを感じていると、後ろからクスクス笑い声がした。
振り向くと、赤龍様が
肩を震わせ笑いを堪えていた。
赤龍様の視線を追うと、家族が足が痺れて悶絶していた!
(正座に慣れてても、長時間はきついのに。)
正座をした事のない家族は、痺れをどうしていいか解らず悶絶中だ。
赤龍様が近づく。
痺れをとってくれるのね!
そう安心したが、違った。
赤龍様は3人それぞれの足をツンツンして、悶える家族に大爆笑し始めた。
以外とお茶目な赤龍様を眺めていると、白龍様がギュッと抱きしめる腕に力が入った。
私は白龍様の目を真っ直ぐに見ながら、腕をポンポンした。
大丈夫よ!
その気持を伝えたくて、白龍様を抱きしめ返し背中をポンポンしたのだった。
家族へのイタズラに満足した赤龍様は、客間の一人用のソファーに腰掛けた。
私と白龍様は、隣り合い座る。家族は私達の前に並んで座った。
「心音が意識の無い間に、少し話しをしたが心音が今回のやり直しの鍵となる。それを詳しく話す。」
「待ってくれ。話す前に聞きたい事がある。ディアナを赤龍はココネと呼ぶがそれは何の意味だ!?」
白龍様が問いかけた。
一瞬キョトンとなる赤龍様だが、
「あー。心音は、前世のディアナの名前だぞ。」
(白龍様には話したけど、家族には前世の話しをしていなかったなぁ⋯⋯。)
「ディアナは、前世とやらの記憶があると?」
父が赤龍様に問いかけた。
気不味そうにするディアナを見て、赤龍様はディアナの事情を察したのだが、既に遅かった⋯⋯。
「心音すまない。話をしてなかったのだな。だが、話さなければ我が来た理由もこれから先の話も出来ぬぞ?」
(赤龍様が来た以上、全てを話すしかない!そう結論を出した。)
「ごめんなさい。どう話したら良いのか解らなかったの。
気持ち悪がられたらどうしようとか、嫌われたらとか⋯⋯。色々考えてしまうの。」
「ディアナ。どんな事があろうと私達の大切な家族だ。絶対に大丈夫だから。
全てを話してくれないか?」
優しい瞳で真っ直ぐ見る父に、涙が溢れる。
私は頷き、前世の話しをした。
〜赤龍様を祀る神社の娘だった事。
赤龍様を好きになり、全ての龍が大好きになった事。
物語の中の世界と、この世界がとても似ている事。
事故で多分死んだ事⋯⋯。〜
赤龍様を好きだった話の時は、白龍様から神力が漏れ赤龍様に怒られていた。
死んだ話では、落ち込み母に背中を撫でられていた。
(白龍様は、感情豊かなのね。)
「解った。ディアナの話しを信じる。」
父がそう言うと、母と兄が頷いてくれた。
父は赤龍様に顔を向ける。
「赤龍様は、ディアナの前世の世界の神龍様でしょうか?」
「ディアナの事を気に入っていると、先程おっしゃっていましたが。聞いても宜しいでしょうか?」
赤龍は頷くと、
「我は心音の神社の神龍であり、あちらの世界の龍を統べる龍だな。」
⋯⋯⋯。 え!?
とっても偉い神龍様?!
「赤龍様は、地球の偉い神龍様!?」
驚き過ぎて、引いてしまう⋯⋯。
「長く生きただけだな!」
(絶対に違うと思う。だって、白龍様の神力を一瞬で消すくらいだもの⋯⋯。)
「この世界の創世の神龍とは仲が良いのだ。そして頼まれたのだ。
自身の子とも言える白龍が、命を諦めている。心が痛むと⋯⋯。」
赤龍様は白龍様をじっと見つめる。
「そなたが生きるのを諦める気持ちも解らなくもない。
何度も殺される思いをすれば、人など世界等どうでもよくなる。」
「だがな。白龍よ。何度も生き返らせているのは、創世の神龍だ。
聖女を使う王妃とは違うが、創世の神龍も聖女の物語の知識を裏目に、生き返らせている。」
「そちには迷惑やもしれぬ。だが、そなたを思う創世の神龍の気持ちも汲んでやれ。」
白龍様は、俯いたまま動かない⋯⋯。
「聖女は、この世界を物語と同じだと考えておる。ゲームとやらにもなった物語であろう?心音よ。」
私は、視線を反らした。
そう。あの苦手な物語がゲームになった。私は色んな白龍様を見たいと思い、買ったのだ⋯⋯。
何回、何十回もやり尽くした。
全てのポイントを回収して、キーワードを入れ裏ルートまで出した⋯⋯。
諦める人が多かったらしいが、私はやり遂げた!!
そう⋯⋯。
白龍様に沼ったのだ⋯⋯。
「心音?我を無視するのか?
全て話しても良いのだぞ?」
「自分で話すわ⋯⋯。」
『ゲーム』を説明するのは、大変だったがこの世界に一つだけ、魔法を使い自分で物語を進める絵本がある。
人生ゲームと飛び出す絵本を組み合わせたみたいな⋯⋯。
それに近い物だと説明すると、すんなり理解してくれた。
「ディアナは、私を沢山見たいからと努力してくれたのか!!」
白龍様は感動していた!!
「白龍様を見たくて頑張ったからこそ、裏ルートで白龍様を討伐から回避する方法を見つけたのだけど⋯⋯。」
(前世では気にして無かったけど、白龍様と出会い番になった今は違う。
裏ルートだけは、絶対に行かせない。)
ディアナがとても不機嫌になって行く。
「回避するにはどうしたら良いのだ。私達に何か出来る事はあるのか!?」
不機嫌丸出しのディアナに、父が問いかける。
「⋯⋯⋯。」
「ディアナ。何か方法はあるのだろう?」
白龍様に聞かれ、ディアナは皆を見つめた。
その瞳には、涙が溢れていた⋯⋯。
「聖女と⋯⋯。聖女との婚約よ。」
まさかの答えに全員固まってしまう。
意を決したディアナが話す。
「聖女は裏ルートを多分知らない。私の知ってるゲーム話しの流れとは違うもの。普通の物語のルートを辿っているわ。」
ゲームでの回避方法を説明する。
「白龍様の人の姿を見たら、聖女はその姿に恋に堕ちる。白龍様も⋯聖女に恋を⋯⋯恋をする⋯わ。
その出会いから回避ルートが始まるの⋯⋯。」
俯き、ドレスに涙がポタポタ落ちる。
ディアナの話しに家族が白龍様がどんな結論を出すのか。
ディアナは待つしか無かった⋯⋯。
「ディアナ。泣かないで。私はディアナの番ですよ?ディアナ以外と番つもりはありません。
自分を討伐し、のし上がる聖女を好きになる筈はないでしょ!?」
白龍様の言葉にディアナは顔をあげる。
白龍は目に涙を溜めるディアナが、可愛くて仕方なかった。
泣くほどに、聖女との婚約を嫌ってくれたのだ。
「申し訳ない。私はそのルートとやらを進める気持はない。ディアナを泣かせてまでやる事ではない。」
「そうだな。まー番となった今はそのルートは無しだか。
逆手に取ることも出来そうだな。」
これから裏ルートを使い、聖女を逆に嵌める作戦を練って行く。
(聖女に白龍様は渡さない。)
ディアナは何があろうと作戦を成し遂げる決意をした。




