イキルとは
―― こんな人生に意味は無いだろう。
私の輪廻を教え、そう言った事があった。
真実、人生に意味を見出せていない。
繰り返す意味はなんなのか、この世界はなんなのか、何百年と見てきても解らない事だらけ。
私がそう語った人物は私にこう言った。
「へえ、無駄に生きてるのね」
路程の石でも見るかのように見られ、そう言われた。
いや、石程の価値も無い何かをみるように。
「生きる事って凄く大変なんだけど、貴方にとっては随分と価値の無い物なのね」
“……生きる意味が解らないからね”
「意味なんて精一杯生きようとすれば自然と出来上がる物じゃない。意味を探してから生きようだなんて、随分のんびりしてるわ」
“君には、解らんのだろうな…この空虚さは”
「解るわけ無いわ。貴方の感じる虚脱感、恐怖心、他の何かなんて貴方だけの物でしょ。それを他人に解れと言うなんて、馬鹿じゃないの」
“なるほど、確かに解るわけ無いな”
些か辛辣な物言いをする彼女は、一体どこに居たのだったか。
会話の内容と彼女の瞳のみを覚えている。
それは私にとって大事な言葉だったからなのだろうが、私は何を大事に思ってこの言葉を記憶しているのか忘れてしまった。
彼女は再度、価値の篭らない目で私を一瞥して口を開く。
「貴方、人生に意味が無いと感じるのではなくて、ただ外を見るのが怖いだけなんじゃないの?」
“…意味が解らない”
「眼に見えない重圧で、自分を殺してると言ってるのよ。意味も無く、その意味を求め、価値も無いその意味を求め、結局の所貴方自身が、無価値だわ」
“人生に価値が無い、と言う事か?”
「貴方救えないわ。人生に誰が価値を付けると言うの? 神様? それとも悪魔かしら? さぞやえらーい存在なのでしょうね」
“……”
「長い年月を生きた貴方がそれって凄く無様よね」
“言ってくれるね”
「言いますとも。だって貴方自身への評価って本当無価値だもの」
“おや、人に価値を付けるのか?”
「当たり前でしょう愚か者。私が見るのは貴方のもつ資質よ。それで言えば貴方は最低よね、とんでもなく心が弱いもの。何百年も生きて正気を保っているのは感嘆するけど、それだけだわ」
“……”
「ほら、言い返す事もしない。無価値で無能と来れば貴方の人生無駄でしかないでしょう」
そこで彼女の言葉は終わっている。
続きがあった気がするが、覚えていない。
私はこの会話の何に大事な物を感じたのか、さっぱり思い出せない。
なんせ当たり前の事しか言われていないのだ。
しかし、私は彼女との出会い、その次の悲鳴から人との関わりを密に持ち出した。
人を好きになり、結婚し、子を儲け。
そんな当たり前を精一杯生きている。
人を殺すのも、殺されるのも慣れる事はないが、それでも精一杯生きる事で、私の人生を楽しく生きている。
終わりの無い輪廻の縁であっても、狂う事はないだろう。
「ほら、さっさと来なさいよ。子供達が待ってるんだから」
“ああ、今行くよ”
「本当、トロイわよね。傭兵時代のあの俊敏な貴方はどこに行ったのかしら」
“さて、雲の上にでも行ってしまったんじゃないかな”
「あら、それは頂けないわ。最近運動不足だし、今日の伽で降ろしましょうか」
“恥らいは無いのか……”
「あるわよ? でも貴方の前で恥らう事に意味はないでしょう? 全て貴方にあげたんだから」
“……”
「ふふ、それに、貴方の恥らう姿はすごーく欲情してしまうから」
彼女の目には、深い愛情がある。
姿形も覚えていない誰か、それを妻の姿で連想してしまうのは、この明け透けの無い話し方にあるのかもしれない。
リアルがめちゃくちゃシンドイ。
あとハガレン二次書く為に、人体に付いて勉強し始めたんですがめtっちゃ難しいですね。
息抜きのような感じで書いてみました。
かなり支離滅裂。