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第7話「会いたい。でも会えない日々。」

まさかのオーディションで私は友人の栄川さんと一緒に合格した。


 私は頬からゆっくりと涙が零れ落ちながら夢のような感じに思いながらこう思っていた。


 『まさか本当に合格できるなんて思っても見なかったからうれしい。嬉しすぎる〜!』


 スタジアムの画面越しで見ていた鳥羽くんは、うっすらと涙を流しながらこう思っていた。


 『やったー!これで麻友ちゃんは本格的にアイドルの仲間入りだ!すごい!すぎすぎるよ!僕もこうしちゃいられないな!』


 そして栄川さんは、密かに微笑みながら小さな声で私にこう言う。



 「望月さん、今ごろきっと彼氏さん喜んでるんじゃないかな。」


 「そうだね。スタジアムから観てくれてるみたいだからね。最近デートができてなかったから良い報告が出来そうで良かった。」


 私はややほっとした表情をしながら栄川さんに返事をした。


 こうして私はアイドル☆エッグの一員として昇格したのであった。


 その後鳥羽くんは支配下登録をかけて二軍との試合に挑んだ。


 しかし初回は三者連続三振と好投したものの2回に5連打を浴びてしまい、1回途中3失点でマウンドを降りる形になり二軍昇格とはいかなかった。


 私は試合結果をスマホの野球速報で知ったためメールで励ました。

 だがすぐに立ち直れるわけでもなく、鳥羽くんは『心配してくれてありがとう』の一言返信だった。

 その頃、同期であり友人の栄川さんは自分の部屋の中であることをたくらんでいる。


 「‥望月さんの彼氏、なんとかできないものかな。彼氏がいてアイドルを続けられるわけないでしょ?アイドルはそんな甘い世界じゃないわよ。そのことを望月さんに分かってもらわないとね。私がちょっと仕掛けてみようかな。」


 この時の栄川さんの表情は少し怖そうな表情をしていた。


 それから私はアイドル☆エッグの一員として正規メンバーになったことで日々のレッスンの忙しさが増していく。

 一方、鳥羽くんは育成選手として引き続き練習を積み重ねていく。

 私は久々に鳥羽くんとのデートを試みようとするものの互いの日程が全く合わずメールか電話のみのやり取りが続いてしまう。


 鳥羽くんは私との学生の頃に撮影した思い出のツーショット写真を眺めながらこう思っていた。


 「‥なかなか麻友ちゃんに会えないな。こんだけ会えないことなんて今までなかったから辛いな。」


 その頃、私も自分の部屋の中で小さくため息をつきながらこう思っていた。


 『アイドル☆エッグの正規メンバーになれたのは良かったけど、鳥羽くんに会える時間がないなぁ。このまま会えない日々が続いていくのだろうか。』


 この時、会えない日々の積み重なりが少しずつお互いの気持ちの中にズレが生じていくとは知るよしも無かったのです。 


 

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