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第3話「覚悟」

 私と鳥羽くん、それぞれ頂点を目指しての戦いに明け暮れる日々が続く。


 お互いアイドルの候補生とプロ野球の育成選手という生活状況で電話やメールはするものの、なかなか会える機会はない。


 そのため2人の距離感は少しずつ離れつつあるように私は感じていた。


 『‥これから私たちどうなっていくんだろう。この前デートしたのはいつだったっけ?会いたいけど、私には今、そんな時間と余裕がない。これからアイドル☆エッグの正式メンバー入りをかけたオーディションがある大事な時。しんどいけど前向きに頑張ろう。』


 一方その頃、鳥羽くんも下を向きながら似たような事を感じていた。  


 『最近、麻友ちゃんとデート出来てないな。このままじゃダメって事は分かってるけど、今はデート出来る日がないんだよな。明日は三軍の公式戦だし、土日は二軍昇格をかけたテストがある。どこかでデート出来る日はないのかな‥』


 ちなみに私は、鳥羽くんにメッセージを送る時に可愛いスタンプを送ったりして距離感を維持できるように心掛けているつもりである。


 しかし会いたい気持ちが強いのに会えないことに淋しい思いは強まる一方。


 そんな時、私が事務所の休憩室で休んでいるとプロデューサーがやってきて話しかけてくれる。


 「望月さん、元気ないけど大丈夫?何か嫌なことでもあった?」


 私は、ものすごく苦笑いしながらも勇気を出して悩みを打ち明けていく。


 「実は私、彼氏がいるのですが最近なかなか会える時間ありません。学生の時は会える時間はあったのに社会人になってからあまりにもその時間がありません。仕事と恋愛の両立って出来ないのでしょうか?」


 その話を聞いた上で坂本プロデューサーは、難しそうな表情をしながら答えてくれる。


 「‥うーん。ご存知かもしれないけど、そもそもアイドル業界ではメンバーの中で彼氏がいる事は良いようには評価されない。これは事務所がとかではなく世間やファンの観点からみてね。だから恋愛を大切にしたいならアイドルを辞めることを僕は推奨するかな。もちろん両立しているメンバーもいるが、SNSでは叩かれまくりのオンパレード状態だ。つまり両立させるには相当なリスクを背負う覚悟が必要ということだね。」


 厳しい現実話を聞いた私は、涙が出そうになったがぐっとこらえながらプロデューサーにこういった。


 「分かりました。教えてくださってありがとうございます。今一度よく考えてみたいと思います。」

 

 

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