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第20話「悪魔の瞬間」

 まさかの裏切りが発生していることを知るよしもなかった私は、自宅に帰ってから不安がつのる一方であった。


 『やっぱりあの2人、本気で付き合い始めたのかな。舞桜さんと鳥羽くん、仲良かったからなぁ。』


 そして日曜日、対バンライブが日中に行われるため朝早くから私は徒歩で現場に向かっていた。


 すると道中で鳥羽くんの姿を発見し、声をかけようとした瞬間、悪魔の瞬間が訪れる。


 鳥羽くんの右横に舞桜さんがやってきて何やら2人で嬉しそうにしながら会話をしている姿を目撃してしまう。


 この時、私の中でさらなる不安が募り、直接会わないよう避けるかのように静かに遠ざかっていく。


 ある程度、距離をとってからすごく落ち込みながら私はこう感じる。


 『やっぱり栄川さんが言ってたことはホントだったんだ。だけど嘘であってほしい。だってずっと一緒って約束したじゃん。それなのにどうしてこんなことになるの。』


 私は近くのコンビニに駆け足で駆け込み、トイレの中に入って鍵を閉めてから大泣きしてしまう。


 しばらく涙は止まらず、2人が仲良くしている様子が目に焼き付いてしまい、なかなか立ち直れずにいた。


 その頃、舞桜さんは道中で鳥羽くんに嬉しそうな表情をしながら話しかける。


 「お試しとは言えデートができるのはうれしいなぁ。ちょっと聞いてほしいんだけど、しょっちゅう舞桜、メイドカフェでご主人様から告白されるんだよ!」


 鳥羽くんは、少し驚きながらも冷静に返事をする。


 「すごいじゃん。舞桜さんは学生時代からモテるからな。それで付き合ったりした人はいるの?」


 舞桜さんは、即座にハッキリとこう言う。


 「付き合わないよ。だって私は鳥羽くんにしか興味なかったから告白してきたご主人様全員、その場でハッキリと断ったよ。そしたらメイド長がそこまでハッキリ言わなくても良いのにって言ってたけど。全く困ったもんだよ。」


 私はトイレで10分くらい動けずにいたが、その後は遅刻しないように急いで現場へ向かい、到着すると栄川さんが先に来ていた。


 栄川さんは、何事もないかのように私に話しかけてくる。


 「おはよう。今日も対バンライブだけど今日は25分間のライブらしいね。」


 私は、まだ完全に気持ちを切り替えられたわけではないため、ため息をついてから返事をする。


 「はぁ。今日も頑張らないとだね。」


 すると栄川さんが私が落ち込んでいる理由について追求してくる。


 「なんか元気ないけど、なんかあったの?もしかして鳥羽くん関連?」


 私はうっすら涙を浮かべながら小さな声でこう言った。


 「うん。そうだよ。今朝、ここに来る時に道中で鳥羽くんと舞桜さんが一緒にいるところを見かけたの。嘘であってほしかったけど、まぎれもなく現実だった。」

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