僧院での蟄居について 二日目
親愛なる我が従弟殿。
君は蟄居というとどんな生活を思い浮かべるだろうか。
そう、幽閉ではなく蟄居。
蟄居という言葉がそもそも分からなかったら、傅役にでも訊いてほしい。
正直、私も言い渡されたあの場では、少し考えてしまったよ。もちろん、諸卿が居並ぶ前で、分からないなんて顔はできなかったけれど。
何しろ、あのときの私は、斬首か幽閉のどちらだろう? と二つの候補しか頭に思い浮かべていなかったんだ。
陛下の口からそれ以外の、それも聞き慣れない単語が出てきたときには、ちょっと……いや、かなり驚いてしまった。あれ、そんな処遇、ラヴィッジの裁判記録では見たことないけど、とね。
母上から領事を預かるようになって、大人たちの言葉はずいぶん必死に勉強してきたつもりだった。でも所詮、私は未だ年端もいかない子供で、まだまだ見識が足りていないんだということを、あのとき思い知らされたよ。
それで、新手の処刑方法だろうか、という最悪の想像までしたのだけれど、陛下のお言葉を聞いて不満顔になった諸侯が、その――まあ、私や父上と反目している面々だったから、どうやら違うらしいと分かったんだ。
……私の普段の暮らしについて書こうと思っていたのに、なぜだかおかしな思い出話になってしまったね。
君にとっても愉快な話ではなかっただろう。あのときのことはなかなか人に話せないものだから、つい筆が進んでしまったけれど、伝える相手が君というのも適切ではなかったね。
明日こそは、ここでの暮らしについて書こうと思う。