確信
俺はカマをかけた。だがこのカマは、ほとんど確信に至っていた。太陽を背にしたシルエット。それはよく見ていた可南子のそれだった。声は違ったが、おそらく変声機か何か使ったのだろう。なにより可南子は「藤四郎」と名前で呼んでしまった。そして自力でこのサイトの鍵を見つけた気がしなかったからだ。それどころか、微妙に誘導された気がしていた。
その文字を打った途端、長い時間カーソルが点滅していた。沈黙は肯定、猫さんが、いや可南子がパソコンの向こうで逡巡しているようだった。
一分程経っただろうか、ようやく彼女から返事がきた。
猫――確かに私と父さんがこのタイムマシンを創り、籐四郎を誘導させた
やはり可南子だった。靄に日が射した気分だ。
小――狙いは何だったんだ?
猫――籐四郎とアリシアさんを引き合わせ、結婚させるためよ
小――なぜそのようなことを
猫――話すと長くなるので、どこかで会いましょう。―231304151530、第五ラボ、そこで説明するから。
小――わかった
可南子は、時間と場所を指定してきた。だが年は2313、たしか未来には行けないはずだ。
いつまにかサイトの背景が変わっていた。それは俺がアリシアの時代でみた、白いグリッドが走る黒い建築物だ。可南子から指定された場所、それは確かに遥か未来だ。俺は慎重に入力した。
エンターキーを押した瞬間、窓から射し込む月光が消えた。慌てて窓に近寄り、確認してみると、そこは歪みが無い白いグリッドが縦横に走る漆黒の風景が広がっていた。
「これが遥か未来……」俺はポツリと呟いた。




