表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラベラー  作者: 北丘淳士
23/28

驚嘆

『ここはどこっ!?』

 抱きかかえていたアリシアを畳の上に下ろしながら、俺は答える。『ここは……、俺の、家なんだ』

『ここがトウシロウの住んでいる家……途中から何かおかしいと思っていたわ。いつも不思議な格好をしているし、野宿ばっかりしているのかと思ったら……、こんなところに住んでいたのね……』

 アリシアは八畳一間の部屋を、しばらく呆然と見ながら言う。和室の清潔なベッドや、コンパクトな机、パソコン、本棚しかない、ごく普通の現代の十六歳の部屋だ。だが恐怖心が湧き上がったのか、その身を俺に寄せてくる。外だったので分からなかったが、アリシアの良い匂いがする。

『……うん、今まで言えなくて、ごめん』

 靴を脱いだ俺はパソコンに向かうと、アリシアは腕を掴んできた。この部屋の存在が怖いのだろう。サイトのキャンセルボタンを一度押すと、窓の景色も元に戻った。シーリングライトが放つ光が目立ち、アリシアは呆然とそのライトを眺める。

『明るい……、まるで昼のよう……』

 俺がいるからか、少しずつこの部屋に慣れてきたアリシアの興味は、窓の外に向けられた。時計を見ると、もうすぐ夜の十時を回ろうかという頃だった。

 俺の腕から手を離したアリシアは、半開きのカーテンから覗く景色を見た。

『すごい……、初めて見るわ、こんな光景』

 初めて見る現代の住宅街をアリシアは呆然と立ちすくみ、眺めていた。

 息を整えた俺は、汗を拭いながら、もう誤魔化せない真実を話した。

『ここはアリシアの住んでいる時代から、五百年後の世界なんだ』そして俺は呆けているアリシアに最初から正直に話した。


『五百年後……、凄いわ。ホントなの? 凄いわ!』

 そしてアリシアはラグから本棚にある本まで、感嘆と好奇の目で隅々を見たり触ったりしていた。瞬きを忘れるように俺の部屋を漁る彼女は、何度も何度も感嘆の言葉を口にした。相当のカルチャーショックだったのだろう。

 汗を拭ったタオルを畳んでベッドに置き、ようやく落ち着いた俺は、立ったままパソコンに向かい、いつものチャットルームにログインした。


『小次郎さんが入室されました』


『何それ!? どうなっているの?』俺の腕を抱き締めるように隣に立ったアリシアは、ウィンドウが映し出されるディスプレイを凝視している。

『これはパソコンっていうんだ。後で教えるよ』アリシアに説明する時間を惜しみ、俺はマウスを動かし、猫五郎さんがすでに入室していたチャットルームに文字を入力した。


小――こんにちは、猫さん、さっき日本刀を投げてくれたのは猫さんですよね。ありがとうございました

猫――いえいえ~

小――アリシア……、助けた彼女なんですが、礼を言っています

猫――仲間を放っておくわけにはいかないですからね

小――光さんはまだですか?

猫――そうだね。まだ制圧の後始末やっているのかな

小――ところで猫さん

猫――なーに?

小――あのサイト、そしてタイムマシン。さらに刀を投げて寄越したのは、可南子だな。思わず俺の名前を言ってしまったのは、ミスだったな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ