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62 ローロマロ王国

 イヴの思いがけない一喝により、エミリアは何かが吹っ切れた様に力強く口を開いた。


「うん、そうだよね。私も強くなりたい。いや、絶対に強くなる! グリムとフーリンに頼らず、1人でも戦い抜ける強さが欲しい」

「ヒッヒッヒッ、よく言ったねぇ。アンタ達の上っ面だけの気持ちは確かに聞かせてもらったよ。

そうなれば次はしっかりと目に見える“行動”で示してもらおうか。アンタ達がアビスを倒して本当に世界の未来を救う為にねぇ――」


 イヴがそう言うと、俺達の目の前に突如歪んだ空間が現れた。この異様な黒い空間を出現させたのは他でもないイヴだ。


「うお、何だコレは!」

「もしかして異空間……?」

「ああ。コレは確かに異空間さ。とは言ってもただの転移魔法だけどねぇ」


 イブは俺達に説明しながら、徐に出したその黒い異空間の歪みにゆっくりと入っていってしまった。そして数秒後、イブは異空間から顔だけをヒョイと覗かせ俺達を手招いた。


「何ボケっと立ってるんだい。全員早く来な」

「え? 来なって……その中へ?」

「当たり前だ! 他に何がある。コレは転移魔法だと今私がわざわざ説明してやったではないか」

「転移魔法って事は、やっぱりコレどっかと繋がってるって事だよね……?」

「だ・か・ら! そうに決まっているだろう! 当たり前の事を何度も言わすでないわ。アンタ達の強くなりたいという気持ちは聞いた。だから次はそれを行動で見せてもらう」


 イヴはせっかちな性格なのだろうか? 話の意図が全く読めん。この転移魔法で何処に行くつもりなんだ。


「話の展開が急過ぎるわイヴ。一体私達を何処に連れて行こうとしてるの?」


 どうやらハクも行き先を知らないみたいだな。だとすれば益々イヴは何処へ行くつもりなんだろうか。


「どいつもこいつも話が長いねぇ全く。行き先は“ローロマロ王国”。それ以降の話は後。さっさと行くよ」


 イヴはそう言って再び異空間の歪みに入っていってしまった。


 俺達も戸惑う様に顔を見合わせていたが、取り敢えずイヴに付いて行こうと俺達もイヴの後に続いて異空間の中へと入ったのだった――。



♢♦♢


~イヴの転移魔法・異空間の中~


「……で? そのローロマロ王国とかいう国に行って何を?」

「言っただろう。次は行動で示してもらうとねぇ」


 真っ暗な異空間の中、スタスタと先頭を歩くイヴ。俺達はそんなイヴの後ろを付いて歩いている。転移魔法だと言ったから入って一瞬で何処かへ飛ぶイメージだったが、このイヴの転移魔法とやらは少々勝手が違う様だ。


 異空間の中は何もない真っ暗闇。何も無いというと少し語弊があるかもしれないが、逆に唯一この真っ暗闇の空間にあるものと言えば、それは俺達が今歩いているこの不思議な道のみ。この道は何やら不思議な色の輝きに纏われていて、イヴが歩いたところだけどんどんこの輝きが生じて道になっている。


 俺達はその出来た道をイヴの後に続いて歩いている訳だが、一体この異空間は何処まで続いているのだろうか。お先真っ暗とはある意味こういう事なのかもしれない。何せ道以外本当に真っ暗闇だから――。


「ねぇイブ、そのローロマロ王国に行って何するつもりなの?」

「アンタまで何を言ってるんだいシシガミ。そんなの決まっているだろう。この馬鹿者達に“強くなってもらう”のさ」


 イヴは悪戯っぽくニヤリと微笑みながら、俺達の方を振り返って言った。


 正直怖い。

 確かに話の流れとはいえ、強くなりたいと言ったのは俺達だが、イヴは一体何を考えているのだろう。それに今の不敵な笑みは何ですか? ちょっと不気味だったけど……。今俺達が向かっているローロマロ王国とはどんな国なんだ。そこで何をさせられるんだ俺達は――。


 イヴ以外に誰も真相が分かる者はいない。この真っ暗闇の空間が余計に恐怖を引き立てていた。


「そろそろ着くよ」


イヴがそう言うと、ずっと真っ暗闇が続いていた視線の先で小さな光を発見した。


 イヴを先頭にそのまま光に向かって歩み続ける俺達。

 すると、ずっと続いて異空間が終わり、俺達の目の前にはローロマロ王国の壮大な景色が広がっていた。


「すげぇぇ! ここがローロマロ王国。初めて見た」


 ローロマロ王国はリューティス王国の次にこの大陸で大きな王国だ。リューティス王国からは結構距離が離れていて、普通に馬車で移動しても1週間以上は掛かるだろう。


 祖の王国程は離れていないが、それでもさっきいたラドット渓谷からは結構な距離だ。そう考えると僅か数分の散歩でローロマロ王国まで来られたのはやはりイヴの転移魔法のお陰か。


「はしゃぐでない。遊びに来た訳じゃないんだからねぇグリム」

「分かってるけどさ、俺見るの初めてだからついな」

「私達に強くなってもらうって言ってたけど、それとこのローロマロ王国とどんな繋がりが?」

「ヒッヒッヒッ。まぁそれは直ぐに分かるさ。取り敢えず行こうかねぇ」


 笑いながら異空間から出たイヴは自らの羽で宙に浮きあがり、そのまま俺達に「付いて来な」と言ってまたどんどんと何処かへ向かって進み出した。


「まだ何処かへ行くのかよ。一体何がしたいんだイヴは」

「兎に角私達も付いて行きましょうグリム。イヴはあんな感じだけど、きっと何か考えがあると思うから」

「この国にも強者がいる気配がするな」

「皆、イヴがどんどん飛んで行ってる! 見失っちゃうよ」


 何を考えているか分からないイヴに戸惑いつつ、俺達はまたそのイヴの後を追い掛けて行くのだった――。


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