【漫才】コンビニ
二人「はい、どうもこんにちは!」
ボケ「突然なんですけどね、僕社長になりたいんですよ」
ツッコミ「本当にいきなりだなどうした?」
ボケ「いやね、社長ってカッコいいじゃないですか、夢があるじゃないですか、お金持ちでモテモテでしょ? ベンツとか乗り回すでしょ?」
ツッコミ「今日日中学生でも言わなそうな志望動機だけどな」
ボケ「で、僕考えたんですよ。どうしたら社長になれるかって。まあ、僕の社長のイメージで言うと……」
ツッコミ「いやいや、イメージで行くの? ネットとかで調べないの? 大丈夫か?」
ボケ「社長ってやっぱり色々なことを知っていないとダメだと思うんですよね。」
ツッコミ「まあ、そうだろうな」
ボケ「それで、色々な仕事ができないといけないわけじゃないですか」
ツッコミ「当然そうなるわな」
ボケ「でも、社長が専門家である必要はないわけですよ。だって、専門的な知識は専門家に任せればいいし、特別な仕事は職人に任せればいいんだからね」
ツッコミ「そうかもな」
ボケ「ということは、広く浅く色々なことを知っておかなきゃならない」
ツッコミ「なるほどね」
ボケ「でね、僕、コンビニで働こうと思うわけですよ」
ツッコミ「なんでコンビニ?」
ボケ「だって、コンビニはおにぎり売ったり、雑誌を売ったり、下着を売っていたりするでしょう?」
ツッコミ「まあ、そうだな。コンビニは色々なものを売っているな」
ボケ「公共料金も払えるし、コピーはできるし、ATMもあるでしょう?」
ツッコミ「便利なところだよな」
ボケ「肉まん売っている隣で脈絡もなく揚げ物売ってるでしょう?」
ツッコミ「脈絡なくっていうなよ、っていうかそこに脈絡はいらないんだよ」
ボケ「さらにその横には京風おでんとか売ってるじゃない? 京都におでんはないのに」
ツッコミ「余計なこと言わなくていいんだよ」
ボケ「つまりね、コンビニ店員になったら広く色んな経験ができると思うわけですよ。そこで売り上げ№1店員になったら、きっと社長にもなれると思うんですよ。そんなわけで、ちょっと練習したいんで、お客さん役やってもらっていいですか?」
ツッコミ「なんで、そんなホストみたいな言い方なんだ? まあいいか、俺がお客で、お前がコンビニ店員な。……お、こんなところにコンビニがある。ちょっと買い物でもしていこうかな」
ボケ「らっしゃーいませー!!」
ツッコミ「うわ、うるさッ!? ここ、コンビニだよね? 年末のアメ横じゃないよね?」
ボケ「いらっしゃいませ、お客さま! 只今おにぎりが入荷仕立てでございます!」
ツッコミ「元気がいいな、っていうか、良すぎるな! 少しボリューム下げてくれないか? 店の中俺だけだから!」
ボケ「雑誌は置きたて、下着は並べ立て、もれなく公共料金も払っていただけます!」
ツッコミ「セットで付いてくるみたいに言わなくていいんだよ。今、払わねぇから」
ボケ「コピー機やATMもご自由にお使いいただけます!」
ツッコミ「ご自由じゃないところはあんまりないけどな」
ボケ「からあげはいかがですか? 今揚げたてです!」
ツッコミ「おう、いいね。やっぱりからあげは揚げたてがうまいよな」
ボケ「肉まんは蒸し器に入れたてです!」
ツッコミ「それは食えないよね? 肉まんは入れたてじゃない方がいいんだよ!」
ボケ「その横、お客様の右手側をご覧ください……」
ツッコミ「いきなりバスガイドさんか?」
ボケ「なんと季節外れのおでんが始まりました! 当店自慢の京風おでん! おでんと言えば出汁をきかせた京風ですよね?」
ツッコミ「季節外れのってススメる時に言わない方がいいよ? いや、前から言おうと思っていたんだけど、京都には元々おでんないでしょう? 京風おでんっておかしくない?」
ボケ「いえ、こちら東京風おでんでございます」
ツッコミ「えっ? 京風って東京なの? 東京風を京風っていう?」
ボケ「正確には西東京風おでんです」
ツッコミ「西東京風!?」
ボケ「もっと正確には西東京南町の北村さんち風です」
ツッコミ「西東京南町の北村さんち風!? ややこしいな」
ボケ「略して京風おでんです」
ツッコミ「それは略して正解だわ。じゃあ、おにぎりとおでんもらおうかな」
ボケ「毎度ありがとうございましたぁー!!」
ツッコミ「だからうるさいって!」
ボケ「どうだった? 俺の№1コンビニ店員の対応は? 完璧だろ? これで俺の社長の夢に一歩近づいたな!」
ツッコミ「ところで、どんな会社の起こそうと思ってるんだ?」
ボケ「俺、自分の工場で作ったロケットを宇宙に飛ばしたいんだ!」
ツッコミ「コンビニ店員の能力いらねぇ!」
二人「ありがとうございましたー」




