(閑話・ベルナルド)
俺は東龍をまとめるバーンスタイン公爵家の嫡男ベルナルド・バースタイン。
東を護るバーンスタイン公爵家と同じく、西鬼と呼ばれ西を護るカルヴィン公爵家。
そこに幼馴染で俺の初恋の人、ヴィオレッタがいる。
俺とヴィーが初めて出会ったのは俺たちが5歳の時。この国を護る2つの公爵家は定期的に定例会を行い、合同訓練や情報等を確認しあう。その定例会に5歳の誕生日を迎え、武術、剣術、魔術、龍使いの教育が始まった俺は同行を許された。同行と言っても一緒にカルヴィン公爵家まで行き、父達が会議をしている間は西鬼たちの鍛錬場で一緒に訓練を受けるのだ。その鍛錬場の端でカルヴィン公爵家嫡男のライゼルに稽古をつけてもらっている女の子がいた。
小さな体で魔術制御の訓練をしている。俺も魔力はあるがそれほど多くはない。そんな俺でも感じ取れるほど彼女の魔力は大きかった。
訓練を終え交流会の時、カルヴィン公爵からその女の子を紹介された。
「ベルナルド、娘のヴィオレッタだ。君と同じ年だ、よろしくな。」
昼見かけた訓練着姿の彼女も可愛らしかったがドレスを着た彼女はもっと可愛かった。彼女の横でキッと睨みをきかす公爵の目が『好きになるなよ』と言っていたが、もう遅い。俺は一瞬で彼女に恋をした。睨みをきかす公爵とライゼル。俺は時が来るまで恋心をグッと奥に潜めヴィーの数少ない幼馴染、しかも一番近しい幼馴染の座をゲットした。
12歳になり王宮で開かれるお茶会に出席する事になった。これはアルバート王子の側近及び婚約者候補を捜すため。どちらも決定はまだ先の話だが、今から候補をあげ本人並びに家を見極めるためである。そこにやはりヴィーも呼ばれた。俺はなるべくアルに近づかせないようにヴィーを独占し、お茶を楽しんでいたのに、アルは他の令嬢たちを放り出しヴィーに近づいてきた。アルがヴィーを気に入っているのは直ぐにわかった。どうにかして遠ざけようとしたがアルはヴィーの傍を離れようとしない。やばい、このままでは家柄も申し分ない、ヴィー本人の性格もダメ出しが出来ない・・・、第一候補者になってしまう。
その3日後、前回のお茶会の中で候補に残った者たちだけが再びお茶会に呼ばれた。しかしそこにヴィーの姿が無い。不思議に思い家に帰り父に聞くと、なんとも言えない表情をしながら『体調を崩したから領地に帰したらしいぞ。アイツは本当に・・・。』と言った。父の表情からヴィーが体調を崩したと言うのは嘘だろう。
はは、アルざまあ見ろ!これからも俺はヴィーに会えるが、領地に戻ったヴィーにアルが会える事はほぼ100%無いな。
15歳になってもヴィーは社交界デビューをしなかった。公爵はたとえ1日でも娘を王都に連れて行くのは嫌なんだろう。しかし15歳になれば学院に通わなければいけない。嫌でも王都に・・・。
そうか!ヴィーは学院に行くことになっても知り合いが俺しかいないじゃないか!俺が唯一の知り合い!幼馴染!ヴィーの横にいても咎める者もいない!よっしゃー!
学院では予想通りヴィーと俺の仲に文句を言うものはいなかった、ヤツ以外。
アルは3年前に一度会っただけのヴィーを諦めきれないのか学年も違うのに俺たちのクラスにちょくちょく顔を出すようになった。しかもランチまで一緒に取るように。アルはこの1年で卒業する、時期的には婚約者も決めなければならない時期だ。ヴィーも学院に入学したからには、これ以上デビューを遅らす事は出来ない、今年の社交シーズンにはデビューするだろう。そうなれば婚約者にする事も出来る。恋心を隠して仲良し幼馴染を演じている場合ではない。父に相談し、アルよりも先にヴィーへの婚約申し込みを了承してもらわねば。
社交シーズンが始まった。ヴィーは予想通り綺麗だった。会場に入った途端、会場内の男たちの視線がヴィーに集まる。俺はすかざずファーストダンスを終えたヴィーのもとへ行きダンスを誘った。横に護衛のようにへばりつくライゼルからの許可も下りヴィーと踊る。ヴィーが家族以外の者と踊る一番手だ。その後ヴィーはアルと踊ったが他の誰とも踊らなかった。踊らなかったと言うより俺やそれ以上に目を見張るライゼルに戦き誰も声をかける勇気が無かったと言うのが正解か。
ヴィーはその後も他の者たちからすれば半分以下しか夜会に出席する事は無かった。基本ライゼルが行かなければ欠席である。社交シーズンも終わりに差しかかった夜会に俺がヴィーをエスコートする事になった。このシーズン中、ヴィーには俺の気持ちを態度で示してきたはずだった。なのに当の本人には全く伝わっていなかった。周りの奴らでさえ俺の気持ちを察しているのに。
俺はこの夜会で勝負に出た。感触は上々・・・だったはずなのに、何故だ、何故こうなった。
なかなか時間が取れず、続きが書けません・・・。
ぼちぼち投稿ですが、よかったら続きを待っててください。