岩手巡り2
俺、如月剛は盛岡駅からバスで二時間弱で着く龍泉洞というところにいる。
なぜ、龍泉洞にいるのかというとだな、詳しくは岩手巡り<https://ncode.syosetu.com/n5279el/>を参照してくれ。(まさかのメタ発言)
龍泉洞は、日本三大鍾乳洞の一つとされ、また洞内に棲むコウモリと共に国の天然記念物に指定されている。
洞内総延長は知られている所で3,600mで、そのうち700mが公開中である
見つかっている地底湖は8つで、そのうち3つが公開中である。
現在も調査が継続中で未知の部分もまだまだ多く、総延長は5,000m以上ではないかと言われている。
悠久の時が生んだ芸術品の様な鍾乳石たち。
世界有数の透明度の目の覚めるような青い地底湖。
龍泉洞は一度見れば忘れられない感動を味あわせてくれることでしょうとのこと。
この説明口調のような文章は、ぶっちゃけ、まんま龍泉洞のホームページに書いてある。ぜひ、見てみてくれ。
交通アクセスについてだが、これはさっきほども少し説明した通り、盛岡駅から二時間二十分くらいで到着する。バス代は2660円である。
ちなみに車で行く場合、盛岡から国道455号を使い、岩泉町まで約100分で到着する。
龍泉洞にに着くや否や、早速俺は入場券を購入した。
料金は、大人1000円、子供500円である。
当然のごとく、俺は1000円である。今から、某名探偵のように幼児化して子供料金になりたいが、残念ながら、そんなことはできない。
ちなみに、午前八時半から午後六時まで営業している。しかも年中無休である。
素晴らしい。むしろ従業員のために休館日を入れたほうが......
兎にも角にも、俺は中に入った。中に入ると謳い文句通り、厨二病心を刺激されるような、ワクワクする鍾乳洞が目に入った。
さらに、歩き続けると、美しい透明な地底湖が目に映った。青く透き通っていており、しばし、俺はその美しさに目を奪われていた。
しかし、本当綺麗である。見ていると、まるで吸い込まれそうになる魅力がある。まぁ、吸い込まれたら、係員の人に死ぬほど怒られるだろうが。最悪、冷死する。
水の温度はとてつもなく冷たいのだそうである。
歩いていると、急な階段が目に止まった。龍泉洞には、高所恐怖症には辛い階段が何箇所かある。ゆっくりと俺は階段に登った。
いやぁ、怖いなぁ。そう思いつつ、俺は階段から地底湖を眺めていた。
――すると、何者かに突然体が引っ張られた
「ええ!?」
マスオさんのような声をあげた。
俺は、地底湖に落ちていった。やばい。死ぬ。マジでそう思った。しかも俺は、繁盛期ではない、普通の平日にやってきたため、他の観光客は近くにいなく、誰も俺に気づく様子はなかった。
「誰かぁ! 助けてくださ、」
地底湖の水面から助けを予防と叫ぼうとしたものの、あっけなく地底湖の水中へと沈んでいった。
ああ、死ぬのか俺......
まぁ、留年したし、バイトもばっくれたし、彼女にも振られたし、いいことなかったからいいのかもしれないけど。
ただ、岩手に旅行に来て。
昨日、盛岡を観光して。
もう少し、岩手巡りしたかったな......
そして、俺の目の前が真っ暗になった――
「おい、起きろ。起きろ、人間。」
何者かに話かられていた。ゆっくりと目を開けると......
青い瞳と銀髪の髪をした、古い感じの着物を来た、幼女が話しかけていた。
「だ、誰だ! お前? ここは?」
自分の範囲、5メートルほど、光で照らせていた、それ以外は闇に包まれていた。
「私は、この洞窟の守り神である。まぁ、龍王とでも読んでくれ。」
「洞窟の守り神だ!? そんなこと信じられるわけないだろ! ここはどこだ?」
自分が置かれている境遇に戸惑った。とりあえず、ここが普通の場所じゃないのはわかる。
「ここは、地底湖よりさらに地下の世界。本来、ここは私しか出入りできないのだが、運がいいな。人間。お前が地底湖に落ちたので、助けてやったぞ。」
「信じらえないことばかりだ。とりあえず、お前が守り神っていう証拠を見せてくれ。」
「分かった。いいだろう。」
そういうと、幼女は光を放ち、おぞましい生き物へと変化した。
硬そうな鱗。緑色の皮膚。そして、鋭い牙と太く細長い身体。
まさに、龍であった。
そして、龍は、俺のいる、逆の方向に向かって、炎を吹いた。少し熱さを感じた。
炎を吐くと、再び龍は幼女の姿へと戻っていった。
「どうだ? 私は、炎は吐くが嘘は吐かなかっただろ?」
「そ、そうだな。とりあえず、人間ではないことは分かった。お願いだ! 俺を地上に戻してくれ!」
すると、幼女は悪い顔をした。
「オイオイオイ、ちょっと、誠意が足りないんじゃないか?」
「え?」
ニヤリと笑い、こう言った。
「お金をくれ。地上に戻してやるんだから、当然だよな?」
「ええー!? なんでそうなる。そもそも神なのに金を使うのか?」
「当然だ。私は、時々、地上に人間に化けて出てはアニメやラノベグッズを買っている。」
「どんな神だ。いくら払えばいいんだ。あまり金はないぞ。」
「そうだな。千円で頼む。」
「くそう......しょうがないか。」
しぶしぶ、俺は財布から千円を取り出した。すると、財布はポケットに入れていたのだが、無事だったようだ。なぜか、お札も水で濡れていない。こいつが何かしてくれたのだろうか。
そして、突然、あることを思い出した。
「そういえばさ、俺、なにかに引っ張られた気がするんだけどあれって......」
「さぁ、知らんな。」
おまえかー! だから、財布は無事だったのか。このくそ守り神め。
「おら! 早く俺を地上に返してくれ!」
俺は千円を龍王に押し付けた。
「了解した。」
再び、幼女の姿から龍の姿に変えた。そして、俺に近づき、こういった。
「さぁ、私に乗れ。ちょっとした、千と千尋の神隠し気分を味わえるぞ。」
「ジブリも知ってるんだね......」
俺は、龍王の背中に乗った。
「しっかり掴まってろよ!」
龍王は、ものすごい速度で、真上に上昇した。
「そういえば、お前の名前、まだ聞いてなかったな。君の名は。」
「その聞き方はやめろ。俺の名前は如月剛だ。」
「そうか。なかなかいい名前だな。剛。久々に人間と話せて楽しかったぞ。最近、観光客来なくて、寂、退屈だったんだ。」
「そ、そっか。寂しかったんだな。」
「違う! 退屈だったんだ! まぁ、あれだ。またいつか来てくれ。」
「そうだな、機会があればまた行くわ。」
「ありがとう。」
優しい口調で龍王が言った。
徐々に、俺の意識が遠くなっていった。
気がつくと、俺は龍泉洞の入り口の外にいた。いつからここにいたのか記憶にない。
あれは、本当の出来事なのだろうかと疑問に思い、財布を確認すると、千円少なかった。
多分、本当の出来事だったんだな......またいつか龍泉洞に行こう。
明日は平泉にでも行ってくるか。