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再活用(5)




鬼のパンツは、虎模様。誰が言ったか、誰が決めたか。現実的に鬼の美少女のパンツは、可愛い虎の絵が書かれたピンクのヒラヒラだった。




「うわっち!?ゴメン、ボクの荷物を部屋のある二階に持って行こうとしたら落としちゃって…」



「ん…いや、ん…パンツが…」




「うわわわっ!?こっ、こここれは、ボクのお母さんが買ってきたやつで、本当はボクの趣味じゃなくて、でもでも、買ってきたんだから使わないともったいないから〜…て、うわ〜っ!?パッ、パパパンツ返して!!」




これは、何の間違いだ?平凡で平凡で仕方がなかった俺に突如出来た鬼の嫁さん。一人称が女の子らしからぬ『ボク』だが、姿形は、かなりの美少女。見るのも、実にもったいないくらいに可愛い生物だ。




「うぅ、パンツの事は忘れてよ。あんなの覚えてられてたら、ボク…死んじゃう」




そんな、大げさな。しかし、そう言う鬼のボク少女は顔を真っ赤にしてうつ向いている。



鬼。俺は、その存在を今日まで架空の物だと信じて生きてきた。しかし、それは突如、俺のお嫁さんとして現れた。



半ば信じられず、彼女の存在を否定した所。彼女はその綺麗な髪を上にあげ、角を見せてきた。オデコにちょこんと生える角はリアルで、それを否定するにはあまりにも生々しかった。結局、彼女の話を受け入れてしまった俺は、彼女の父親の言う通り、彼女と寝食を共にする事となったのだった。



「んっ、しかし…俺の親父たちは?あれ、さっきまでそこらに居たはずなのに?」




「あっ、お義父さんとお義母さんはさっき、出掛けちゃったよ?なんか、当分帰って来ないって言ってた…」




あぁ、仕事に行ったのか。海外での仕事が忙しい中、いきなり、鬼の大将に呼び出されからな。そりゃ、早く帰りたいわな…。って、馬鹿かよ、息子の一大事に何を呑気に仕事なんかしてんだ!?1つ屋根の下で年頃の息子と年頃の他の家の娘が暮らしていくんだぞ!?お前ら心配じゃ…




「なんかハワイでバカンスしてくるって言ってたよ?」




仕事ですらねぇぇえっ!?バカンス!?ハワイ!?いや、Why!?なんじゃそら?なんだそら?何が何で何なんだぁあっ!?




「あの馬鹿親、何故にバカンス?仕事はどうした?いつもいつも、海外で忙しい忙しいって言ってだろうに!?だっ、大体、生活はどうすんだ?誰が金を稼ぐんだよ!?」




「たぶん、ボクのお父さんのせい…」




えっ、鬼の大将がどうしたって?




「うんと、怒らないで聞いてくれる?」




あぁ、怒りませんとも。全然、大丈夫!正常だよ、怖いくらいに俺の心は静かだよ?




「あぅぅ、あのね。ボクのお父さんが君とボクが一緒に住むに当たって反対してたお義父さんとお義母さんに値段で120億相当の金塊を渡したの…。だから、働かなくても食べていけるから…バカンスに…」




「…行ってしまったと?」




「…うん」




これは、どうしたら良い?この目の前にいる美少女が悪いのか?いや、鬼の大将が悪いのか?いやいや、これはきっと、あの馬鹿夫婦が悪いんだ。あいつら、事もあろうに120億で息子を売りやがった!?




「あの、えっと、120億はその、ただの結納金の一部で別に、他意は無くて、だから、お義父さんお義母さんは別に君を120億で売ったとかじゃ…」




「えぇい、もう知らん!親が親なら子も子だっ!!俺も学校へは、もう行かん!毎日毎日、ぐぅたらして過ごしてやる。へっ、あの馬鹿親ども帰ってきた時には息子はいい歳こいて無職のプーだ。はっははーー!!」




あまりの出来事に心底ムカついた俺は、ソファーにドカッと乱暴に座り、テレビのスイッチを付ける。テレビでは、夜のニュースがやっておりキャスターが延々と喋りまくっていた。




『今日、午後4時44分頃、大手株式会社ジャパンニカルファンドが買収されました。ジャパンニカルファンドは、その海外での影響力は強く。世界でもその名を知られる日本有数の企業で…』



「へぇ〜、スゲェ金持ちが居たもんだ。ジャパンニカルファンドって言えば、日本を代表する名企業の1つだろ?しかも、利益もうなぎ登りで他社をも寄せ付けぬ勢いだったのに…。それを、買収するってどんな金持ちが…」




『えぇ、たった今入った情報によるとジャパンニカルファンドを買収した企業の名前は、神鬼島株式会社、神鬼島株式会社という事です』




「………」




「………」




「これって…」




「うん、ボクの…お父さんだね…」




『えぇ、更にたった今入った情報によると。ジャパンニカルファンドを買収した企業、神鬼島株式会社の代表取締役の名前は、姫川勝馬氏、姫川勝馬氏との事です』




「………」




「………」




「あの、これって…」



「…うん、君の事だね…」






……鬼の大将、あんたやり過ぎ。



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