坊主が三人並んで歩いてる
今回も短い更新です。最近早番に回されて、鬼の上司に泣かされているもので…。
朝日がのぼる。木々の影を真っ白な雪の上に、くっきりと映しだす。
推測では、カメロンの活動時間だ。雪と樹木の間に、その怪異な姿を見つけ出そうと目を細める。そうしないと雪の照り返しが眩しすぎて、目をやられてしまうからだ。
さあ来い、カメロン。お前も腹が減っているはずだ。旨いポイズンラビットを求めて、この森を歩いて来るがいい。
喉だって渇いてるだろ? ここはかすかな水源だが、だからこそ秘密の、お前だけの水場だ。誰にも知られていないから、オオカミもコヨーテも来たりしない。まったく安全で、楽園のように平和な水場さ。
ポイズンラビットは居ないと言ったが、ここが毒草の群生地であることには、変わりが無いんだ。もしかするとお前の胃袋におさまるために、ラビットたちが大挙押し寄せているかもしれないぜ。これを逃すのは阿呆だぞ、今こそがチャンスなんだ。
だからカメロン、姿を現せよ! さあ!
日光を浴びて暖められた雪が、踏ん張りを維持できずに枝から落下する。ボソッという、くぐもった音を立てた。カメロンが聞いたら驚きにビクッと身を震わせ、硬直したように動かなくなるだろうな、と考える。
遠い銃声。
十六番の咆哮だ。つまりサンペイの一発だ。銃声は威力の弱いものほど、軽く乾いたものになる。逆に威力のあるものほど、重く湿った音になる。デコとサンペイの銃声を聞き分けるコツは、そこなのだ。
二発目が聞こえない。
一発で仕留めたか? だとしたら、ラビットか? それともカメロンか? 少なくともオオカミやコヨーテではない。奴らは群れで行動する。奴らを相手に一発で済むはずは無いし、奴らに殺られるサンペイとは思えない。
ならば、モンスター。
いや、カメロンを追い立てるために、音鳴らし目的かもしれない。だが、期待をしてしまう。それが猟師の性だ。
いやいや油断するな。いつでも心はニュートラルだ。三日吹く風を信じるならば、いつ何処にカメロンが現れても、おかしくはないのだ。
俺も頭上に一発。カメロンカメロン、マミのところへ行け。俺たちを怖がって、さっさとマミのところへ行け。
いや、そうじゃない。
本音でお前と向き合うよ、カメロン。
……俺の前に出て来い。そしてこの鉄砲の弾が、届く範囲に近づいて来い。そうしたら……俺が……。
「隊長」
頭上から声がかかった。
サンペイだ。馬にまたがっている。少し遅れて、デコの馬も来た。
「隊長、そろそろ刻限に御座る」
「なによ、もう! このフランカさまがボウズだなんて、屈辱でしかないわっ!」
ふむ、デコは不猟か。
「サンペイ、お前はどうだ?」
「空ケツのプーに御座る。隊長はいかがですかな?」
もちろん俺も素寒貧。ラビットの一羽すら獲れてない。
「茶色はどんな感じかしらね?」
「断っておくが、今日は猟果をあらそうものではない。ライゾウがプーでも罵ってはいけない」
「それは違うんじゃない、カムイ?」
「ほう?」
「茶色もボウズなら、おねえさまがカメロンを仕留める確率が、グンと跳ね上がるってものよ!」
ならば期待を込めて。
ライド・オン!




