マタギのサンペイ 2
短め更新です
アキヤマ・サンペイはライゾウの鉄砲を手に、なおも仔細に眺めている。
「しかしマスターきらら、拙者が今まで拝見してきた鉄砲は、機関部がこれほどしっかりとはしていなかったような?」
「そこにお気づきになりましたか」
読者諸兄の時代では信じられないかもしれないが、俺たちの時代の鉄砲というのは実にスリムなものである。それこそ水平二連の鉄砲なら、十二番と同じ棒っ切れ二本に、木製ストックと前床をくっつけたような感じ。みんなが見たら、「大丈夫なのかよ、これ」と言いたくなるほど、細身で頼りない外観なのだ。
ところがマスターきららの長距離専用水平二連は、ハンマーを落とす仕掛けを飲んだ機関部が、鮒の腹のようにドンと存在感を示しているのだ。
「機関部には少々の工夫を施してありまして、頑強なクロスボルトで補強。三二グラムの弾でもドンと来いな造りになっております」
細身の鉄砲はやはり脆い。散弾を欲張ってたっぷり突っ込むと、やはり故障の原因になってしまう。ところが俺たちは、オーク駆除のためにシカ弾……大物用の重たい弾を撃ちまくった。それでも調整や修理は不要。その秘密は、マスターきららが言うところのクロスボルトにあったのだ。
ぬぅ……とアキヤマ・サンペイは唸る。
だが、まだまだマスターきららの発明に屈したりはしない。細く切れ長の眼差しをギラギラ光らせて、まだライゾウの鉄砲を手離さない。
「しかしマスターきらら。世紀の発明とは、ここではないでしょう?」
「どこに私の工夫があるか、当てていただけますか?」
「……ここ。ここに御座ろう」
マタギは銃口を指差した。その気配は、もはや一介の猟師ではない。やはりサムライ、鉄砲隊。殺気ビンビンの立ち合いの気迫である。
現に先ほどまで軽口をきいていたデコは無口になり、マミなどは半ば失神。妖精はウェーブのかかった髪の中に、隠れてしまっている。
俺の知る剣士、戦士などは、平和ボケしたボンクラか。はたまた身を持ち崩した冒険者なのだが、さすがサムライ。一人立てばオークの群れも退くような気配だ。つーかアキヤマ・サンペイ、あんたなんでもう少し早く、キアッパに来なかったのよ?
だがマスターきららの鉄砲に夢中な若造は、俺の苦情なんざてんで無視。惚れ惚れと鉄砲に見入っていた。
「よもやな……まさかこのような方法で射程を伸ばすとは。マスターフランキは銃身長を伸ばすことで飛距離を稼いだが、まさか銃口を狭くすることで飛距離を伸ばすとは……」
「それではアキヤマさま? そろそろそちらの鉄砲を拝見したいのですが」
「お、これは失念していた」
アキヤマ・サンペイは布に包んでいた、自分の鉄砲を公開した。




