一服
短い更新です
崩壊した軍隊など、脆いものだ。逃亡が始まれば、一〇〇頭近くいたオークたちは我先にと逃げ出した。
「撃たなくていい! 撃ち方やめっ!」
最後の最後まで、マミは撃ち続けていた。初めての駆除、殺すことを目的とした射撃。やはり興奮していたようだ。
マミは、弾が尽きるまで撃ち続けた。
腰の小物入れから弾がなくなったことを知り、胸やズボンのポケットをまさぐる。
「弾は無いぞ、マミ。……もう、戦いはおしまいだ」
「……親分」
ポンとマミの肩を叩いたのは、ライゾウだ。そこでマミはホウッと、ようやく肩の力を抜く。ヘナヘナとその場に座り込んだ。腰が抜けたのだろう。小柄なライゾウが必死に支えてやっていた。
「気の抜けたところで悪いんだが、妖精を出してくれ。四の山を制圧できたか、確かめたいんだ」
「はい、リンダさん?」
マミの髪が盛り上がり、もぞりと妖精が出てきた。
「あ、マミ。もう終わったの? 雷みたいにおっきい音」
「おかげさまで。そこでリンダさん。申し訳ないのですが、四の山を偵察してもらえますか?」
「わかったわ、リンダにまかせて!」
チラチラと光の粉を撒き散らし、リンダは飛んでいった。
「ライゾウ、親父のマタゾウと二人で尻尾の回収をたのむ。ヤコボ、君はギルドへ戻り、四の山でオーク本隊と交戦したことを伝えろ。キングは射殺、総数五〇以上のオークを駆除。まだ一〇〇ほど逃げたのがいるが、集団で抵抗してくる可能性は低いってな」
「わかりました。報告が終わったら、戻ってきましょうか?」
まだ早朝の時刻。しかしこの山奥まで往復するのは骨だ。
「ギルドか町で待っていてくれ。すぐに帰る」
若者は俺たちの方をチラチラ見て、それから町へと向かった。
さて、他の者たちは鉄砲に再装填。オークの亡骸が散らばった戦場跡を守り、周囲を警戒させた。
回収待ちの、リンダ待ちだ。この四の山が本当に陥落したのか? もしも敵が反撃の機会をうかがっているのなら、今すぐ撤退だ。こちらに反撃、拠点維持の弾は無い。マミが全弾撃ち尽くしたのは痛い。オークに対する大きなアドバンテージを失ったのだから。
煙草を一服。マミは川で水を汲み、背中を荷物袋から茶道具を取り出した。湯を沸かし、茶を煎れている。紙のカップに注いだ茶を、みんなに配って歩いている。
弾の尽きたマミは、現在ガンマンとしては能なし状態なのである。




