五の山の戦闘
短い更新です。ストックが無いので、ちょっとこういう形が続いております。
四の山では敵影が薄かった。しかし、より兵隊らしい動きを見せている。そこから導き出される答えは?
「五の山で待ちかまえておるのぉ……」
「やっぱそうなりますか」
「主力の温存じゃろな。昨日の猟果は忘れておけ」
今日の戦闘はより厳しくなる。長老はそう言った。
「それはそれとして、まずはみんなの鉄砲に再装填。その上で山を占拠しておきましょう」
「そうだな、このまま空の鉄砲じゃ心もとない」
ベルナルドは笑った。ヤコボと二人、リロードする。
それが済むと山登り。四の山全体を見下ろす場所に位置する。
「ここからは俺とライゾウだけで行く」
「本当に大丈夫かね」
マタゾウも心配顔だ。
「オークの数がわからないのは不安だが、それでも四の山を空っぽにはできない。大丈夫、背後を守ってくれてるなら問題無いさ」
四の山北側斜面のふもとまで同行する。マズルロード隊はそう言ってくれた。長老の発案で、山裾に沿う形で布陣することにしたのだ。
みんなで河原まで降りる。マズルロード隊の指揮は、長老が摂った。それぞれ等間隔、六〇メートルほどあけて並ぶ。
「じゃあな、行ってくるよジイちゃん」
「無理はするなよ、小僧」
「わかってるって」
俺も頭をさげる。そしてみんなに背を向けた。
目の前には、久しぶりの五の山。本来ならば紅葉も始まる季節なのだが、あちこち掘り起こされて荒れ放題だった。
「ひでぇ有り様だね、ダンナ」
「あぁ、だがおかげでオークたちも、身を隠す場所が無い」
いつもなら、広葉樹の葉が斜面を隠しているのだが、倒木だらけで葉のベールが虫食い状態。見通しが大変によろしい。オークはこんな言い方を知らないだろうが、まさに自分たちの首を絞めている、という奴だ。
「……………………」
五の山にむかって歩いていたのだが、ライゾウは足を止めた。何かを感じ取っているようだ。
「……いるか、ライゾウ?」
「いるね、ダンナ」
ライゾウは鉄砲を左手に持ち、河原の石をひろい上げた。俺は鉄砲をかまえる。
ライゾウは右側のボサに、石を放り込んだ。ピギッという鳴き声とともに、オークが頭を出す。
すかさず撃った。銃声がこだまする。命中だ。頭にバックショットを食らったオークは、棒っ切れのように倒れる。
五の山、南斜面全体が揺れた。至るところからオークが顔を出す。そして、先ほどのボサからもオークが現れた。
二発目を撃つ。当然オークはぶっ飛んだ。素早く鉄砲を折り、弾を入れ換える。すでにライゾウは一発撃っていた。
ライゾウの二発目と、俺の鉄砲が伸びたのは、ほぼ同時。
「さがれ、ライゾウ!」
弾の交換をするライゾウを後退させた。すでに一〇頭ものオークが、目の前に迫っていたからだ。
一番手前のオークを撃つ。敵の勢いは止まらない。二発目は展開しようとするオークに放った。まだ勢いは止まらない。
「ダンナ! 後退!」
「おう!」
四の山陣地へ走り出す。その間に弾込めだ。
ライゾウを追い越してから振り向く。
「ライゾウ! 後退!」
勢いの落ちたオークたちにむかって、必殺の射撃を浴びせる。オークたちの勢いは落ちていた。しかし数が倍に増えていた。
「そのまま走ってこい!」
長老の声だ。ありがたい。遠慮なくライゾウと左右に別れた。
「撃ち方用意!」
長老の号令で、マズルロード隊は鉄砲をかまえた。
俺もライゾウも、マズルロード隊の後ろに陣取る。
長老は鉄砲をかまえていない。指揮に専念している。
撃ち方始めの号令で、四本の白煙が伸びた。全員膝撃ちの姿勢。そこから立ち上がり、二発目の準備。号令が響く。銃声はさらに響いた。
ベルナルドをのぞく四名が後退する。ベルナルドは二丁撃ちなのだ。スペアの鉄砲を撃つ。
「ベルナルド、後退!」
「わかった!」
マズルロード隊、最後の一人が逃げてくる。その援護をするのは、俺とライゾウだった。




