マミさんへの贈り物
短め更新です。いまさらながら……自家用車のタイヤを夏物に替えてました!
下宿に帰るとチームしおから女性陣プラス1が、餌を待ちわびる子雀よろしく、瞳を輝かせて待っていた。……もっとも、プラス1であるマスターきららの瞳は、前髪に隠れていて光っているのしか見えないが……。
というか、前髪の向こう側で輝きを確認できるということは、あの目が発光しているということか? ……うん、恐ろしいことは考えないでおこう。世の中には知らない方がしあわせなことってあるもんだ。
「どうしちゃったんだ、マミ姉? みんなで目をキラキラさせちゃって」
「えへへ、すみませんライゾウ君。チームしおから男性陣が、大記録を作ったって聞いちゃいまして」
「そうよ、独身と茶色! あんたたちヤルじゃない!」
「オークの駆除記録、大幅に更新らしいじゃないですか」
なるほど、それでか。
とりあえずここは中年のシブさを演出だ。煙草をくわえマッチで火を着けて、たっぷりと煙を吐き出して……。
「なぁに、オークがたくさんいてくれたからね」
そこに感謝とばかり、自分の功は誇らない。
勝者の余裕を見せつけると、小娘どもは「おぉっ!」と口を丸くする。
「それに何より、マスターきららの鉄砲さ。装填が早い、飛距離もあるとくれば、俺とライゾウでこの通り……」
「うん、やっぱり腕前よりも、マスターきららの発明が大きかったな。これでデコとマミ姉が加われば、記録はもっと伸びるよ」
モンスターを駆除すれば、人から喜ばれる。それほどまでに奴らは脅威で、被害も大きい。
「しかしマスター、明日はマズルロードを引き連れて、さらに山奥へ突入しなきゃならないんだ」
「あらそうなの?」
あんな旧式とチームだなんて、大変ね。という顔をしている。
「今回の記録は、すべて四の山で作ったものなのさ。奴らの拠点、五の山はまだ状況すらわからないんだ」
「それなら妖精リンダに見て来てもらったら? それが手っ取り早いんじゃない?」
おぉう! そんなナイスな手があったか!
俺も瞳を輝かせたが……。
「アタシ手の指と足の指以上の数、数えられないよ!」
「胸張って言うなや」
意外と使えない妖精だった。
「ナイスなアイデアだと思ったんだけどなぁ。やっぱり自力で偵察、自力で駆除か」
「なによ茶色、あたしも体調が万全なら代わってやりたいとこなのに、文句タレるんじゃないわよ」
「そうだよ、ライゾウ君。私も本当は親分やライゾウ君と、苦労を共にしたいんですから」
ライゾウは素直に頭を下げる。どうもコイツはマミが出てくると、おとなしくなるように見えるが、俺の気のせいか?
「とにかく、今はカムイさんたちがボンガボンガと稼いでくれてる訳よね?」
「ダンナ、マスターきららの目が、蛇の輝きを放ってるぜ」
「あぁ、まるでカエルにでもなった気分だな」
「なにを言ってるのかな? 二人の鉄砲を値引きした分、マミちゃんの鉄砲は高くつくってだけの話じゃない」
そら来たぞ。コブラの一撃。毒が回ったら致死確定だ。
「あ、いえ……私の持ち物ですから、私が稼いで……」
「そうはいきませんわ、おねえさま! 女の子へのプレゼントなんですから! ……まさかとは思うけどアンタたち、このくらいの贈り物ができないような甲斐性なし、とか言わないわよね?」
ライゾウは、口をへの字に曲げた。ダメだぞ、ライゾウ。これは狡猾な、ヤツラの罠だ。
「……まあ、オイラもマスターきららにはずいぶんと値引きしてもらったからなぁ」
自分から罠に片足つっこむ奴がいるか、バカたれ。
「オイラは頑張って払うよ」
ライゾウ、撃墜。
「そんな、ライゾウ君……。いくらなんでも、悪いですよ」
「いや、マミ姉の鉄砲ってんなら、オイラも頑張らないとね。ダンナはどうする?」
「そこで俺に振る?」
子雀たちは期待に目を輝かせていた。ここで断ると、チームしおからの運営にも影響が出るだろう。
「……俺が払わない訳には、いかんだろう」
さらば、おねーちゃんのバスト。またいつの日か、おねーちゃんのヒップ。カムイはこれから娘っ子のために、支払い生活へ突入します。
その夜は、大焼き肉の激大会となった。
味付けは涙で、ちょっと塩っからかった……。




