サンタさんが家族の一員になって
『サンタさんが家族の一員になった日』でも語り手だった少女の、驚きの年齢が明らかに!
私の家庭は、ちょっぴり特別。
一年のうち、十二月だけが大忙し。
それは、子ども達にプレゼントを配るため。
そう。私の恋人は、サンタさんなのです。
サンタさんは女の子です。最近はふくよかなおじいさんの格好をしてプレゼントを配るけれど、正体は高校生くらいの女の子です。高校には通ってなかったはずだけど。
サンタさんの正体を知っているのは、私と、芽李依ちゃんと、娘の小栗と、トナカイのトナ太郎とトナップだけ。あれ、結構多い? あ、芽李依ちゃんは、サンタさんの本名です。
この前、十歳になった小栗が、どうしてサンタさんはおじいさんなの、と聞いてきました。
だから、私は自分達の馴れ初めを話しました。
お父さんが、お母さんの親友と不倫していたこと。
それが原因で、両親が離婚したこと。
私のお母さんの再婚相手が、ロクデナシだったこと。
私のお母さんが、自殺したこと。
芽李依ちゃんが、そんな家から私を連れ出してくれたこと。
ロクデナシの物言いがトラウマになって、少し男の人が怖くなって、芽李依ちゃんがおじいさんの格好を始めたこと。
そして……私のお腹に小栗を授けてくれたこと。私は、小栗と年齢が一回りしか違わないってこと。
小栗にその話をしてから、私は少しずつ、今のこのおうちに来てからのことを思い出すようになりました。
私が芽李依ちゃんのところに住んでから一年後の十二月。私も含めた四人でクリスマスプレゼントを買いに行った時、私が少しだけ自慢げにおもちゃの解説をしていたら、芽李依ちゃんの方がよっぽど詳しくて、泣いたこと。そんな私を優しくなだめてくれた芽李依ちゃん。
大量のプレゼントを持ってへとへとになっていたトナップ。それを茶化すトナ太郎。そんな二人を見て、私が笑ったこと。私と一緒に笑ってくれた芽李依ちゃん。
その年のプレゼント配りで、私が足を引っ張りまくったこと。悔しくて泣いた私を、また優しくなだめてくれた芽李依ちゃん。その頃には、もう既に幼心ながらも芽李依ちゃんに恋心を抱いていたこと。
その次の夏、私が思い切って告白したら、芽李依ちゃんがキスで答えてくれたこと。その時はおでこだったけど、回数を重ねるごとにだんだん私の口に近づいていったこと。何年か前から、口より下にもキスが伸びていったこと。
その間に、小栗を産んだこと。出産の時、あまりにも痛くて泣いていた私を、優しく励ましてくれた芽李依ちゃん。もちろん、年齢の関係とか妊娠までのメカニズムとかがいろいろあって、病院には行かないで、今のこのおうちで産みました。
いろいろなことがあって。その思い出のどれもがキラキラしていて。
暖炉風の形の暖房からの熱でほんわかと暖かい居間。小栗を膝の上にのせて、安楽椅子に座りながら、私がセーターを編んで、思い出に耽っていた時。
芽李依ちゃんと、トナ太郎とトナップがプレゼントを配り終えて、帰ってきました。
クリスマスからいくつか寝ると、もう新年です。
私達五人はふかふかの雪が積もった外に出て、初日の出を眺めています。
偶然、私と芽李依ちゃんの目が合い、声が重なりました。
「「明けましておめでとう」」
どうも、壊れ始めたラジオです。
初日の出。私はリアルに見たことがほとんど無いかもしれません。
『サンタさんが家族の一員になった日』をはじめ、同著者の別作品もよろしくお願いします。
それでは。




