「論理哲学論考」 ヴィトゲンシュタイン 試論
私がこの本と出合ったのは大学時代だった。
確か、法政大学出版局から、この邦訳が出ていて買い求め、読みふけったのだった。
しかし、それからの私の運命の紆余曲折同様、この本もいつの間にか、紛失してしまって今はない。
この本はアフォリズムめいた、短文の羅列によって構成されている。
その、命題を端的に表現する断定的な文章に、私は、すぐ、
スピノザのエティカを想定したのでであった。
例えばこんな感じだ。
(以下、wikipediaより引用。)
1. Die Welt ist alles, was der Fall ist.
* 世界とは、起きている事全てのことである。(物ではなく、事実の総体であるとする)
2. Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
* 起きている事、つまり事実とは、幾つかの事態が成り立っていることである。(事態+成立=>事実)
3. Das logische Bild der Tatsachen ist der Gedanke.
* 事実の論理上の像が、思想(思惟されているもの、思考対象、思想内容)である。(事実/思想がパラレル。事態と思想ではない)
4. Der Gedanke ist der sinnvolle Satz.
* 思想は、意義を持つ命題である。
5. Der Satz ist eine Wahrheitsfunktion der Elementars?tze. (Der Elementarsatz ist eine Wahrheitsfunktion seiner selbst.)
* 命題は要素命題の真理関数である。(要素は、自分自身の真理関数である。)
6. Die allgemeine Wahrheitsfunktion ist:[\bar p,\bar\xi, N(\bar\xi)]. Die ist die allgemeine Form des Satzes.
* 真理関数一般は、[\bar p,\bar\xi, N(\bar\xi)]と書ける。これは命題の一般形式である。
7. Wovon man nicht sprechen kann, dar?ber muss man schweigen.
* 語りえないことについては、沈黙するほかない。(以上wikipediaより引用。)
彼はこの本によって哲学上のすべての答えを得たとして、これ以上哲学する意味なしとして、
スイスの寒村の小学校教師になってイギリスを離れてしまう。
確かに若い私にとってもその禅語録のような文章に惹かれるものは多大だった。
「百尺竿頭一歩を進める、」の観なきにしもあらずの本である。
最後の命題は、
哲学の限界をも指し示し、
語りえないことをそもそも問うからいけないのであって、
語りえないことは黙ってろ。ってことで、
つまりは一切の問題は解決するのである。
一生独身で、奇行の多かった人、
兄妹は、自殺者や精神病の人がいたり、家庭には恵まれぬ天涯孤独な人。
確か、最近、、映画にもなっているようだ。
題名もそのものずばり、
「ヴィトゲンシュタイン」という映画です、
ぜひそれも見てみてはいかが?
半ドキュメンタリー半フィクション?のたのしい映画で
ヴィトゲンシュタインの真実がわかると言う内容です。