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プライム・レディ  作者: 河野 る宇
◆第4章~懐かしい影
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*果たされる約束

 エリザベスは我が目を疑った。

 あれほど焦がれていた彼が目の前にいる……

「ああ……っベリル」

 過去の記憶と今までの想いがせきを切ったようにあふれ出し言葉が詰まる。ゆっくりと歩み寄り、その温もりを確かめるように静かに抱きしめた。

 彼は何も言わずその体を受け止める。

 伝わる温もりと優しさは今までの苦しみを全て流し去ってくれるように浸透していく。死なない彼から伝わるのは確かな命の脈動──終わらない生を続けなければならない彼の意志はいくばくかも計り知れない。


 落ち着いた彼女は改まってベリルを見つめる。

「フフ、本当にあなたは年を取らないのね……あの時のまま」

 それにベリルは小さく笑って、彼女が歩みを進めると彼女の肩に腕を回した。

 クスッと笑う彼女に肩をすくめる。彼らしくない行動だと思わず笑みをこぼし一瞥して発する。

「でも嬉しい。私へのご褒美なのかしら」

『頑張って来たのだな』

 ささやくように応えられ目を閉じる。その言葉だけで十分だった。

 全てが報われた──満ち足りた気分に深呼吸する。再び目を開き彼の前に立ち見上げた。

「あの時の約束、覚えてる?」

 訊いてすぐ目を伏せる。

「こんなおばさんじゃ約束も何も無いわよね」

「年齢性別は関係ないと言った」

 笑って再び歩き出す彼女の耳に柔らかな声が響いた。

「え……?」

 振り向いて顔を上げた彼女に降り注ぐ口づけは優しく、それでいて官能的に体の奥を痺れさせる。

「……」

 脳裏に甦る過去──意識を失っても包み込んでくれていた幸福な時間、その唇にそっと自分の唇を重ねた淡い記憶がまるで昨日のことのように思い浮かぶ。

 離れていく彼の端正な顔を見つめてニコリと微笑んだ。

「!? きゃっ……」

 突風が彼女の視界を遮った。

「? ベリル……?」

 いつの間にか姿は無く気配も消えている。相変わらず風が木の葉を散らせエリザベスの髪を揺らした。

「ありがとう」

 ぼそりとつぶやく。

 私の人生は充実していた……あなたに出会ったからこそ全てが報われた気がする。あなたは生き続けていく、永遠に。

 私を忘れないでいて、あなたの心の中で永遠に生き続けさせてね。ほんの片隅でいいの──笑みを浮かべて小さく溜息を吐き出し公園をあとにした。




END

*最後までお付き合いいただきありがとうございます。

 つたない文章ではありますが書かせていただきました。これからも精進したいと思いますです。

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