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プライム・レディ  作者: 河野 る宇
◆第2章~愛しい人
19/23

*声

<届いたかね>

「! ベリル」

「!」

 聞こえた名前にビクリと体を強ばらせる。

「お前……なんでっ」

<私が気付かないとでも思うのか>

「!?」

 もしかして撮影を頼んでいた事か……

「いや、それはだな」

<問い詰めたらバラしたよ>

「……」

 こいつに隠せる訳がなかったか……ピエールは頭を抱える。

<今回だけは大目に見たが次は無い>

「悪かったよ」

 そして隣で体を震わせる彼女に目をやり携帯を渡そうとした──

「えっ!? おいっベリル!」

 あのヤロウ……切りやがった。

「切られたのね」

 呆然としている男にクスッと笑みをこぼす。

「すいません」

「いいのよ。これで十分」

 嬉しそうにスカーフをつまみ上げる。

「仕事するわ」

「はい。失礼します」


「!」

 デスクに腰掛け、DVDを出そうとしたときにふともう1つファイルがある事に気がつく。

「? 何かしら」

 首をかしげてダブルクリックした。

<25か>

「!」

 画像は無いがスピーカーから響く声は紛れもなく……

<あれから10年になるのか。時が経つのは早いものだ>

「……」

 ああ、彼の声だわ。落ち着いた、よく通る声……目を閉じてその姿を強く思い浮かべた。

<私には何も出来ないがお前はお前の進む道を外れぬように>

『それが、私の願いだ』

「──っ」

 ベリル、ああ、ベリル……その言葉に想いが込み上がる。

 何度もそれを再生した。

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