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プライム・レディ  作者: 河野 る宇
◆第4章~プライム・レディ
14/23

*約束

「とめて!」

「!」

 帰路の途中、突然少女が口を開いた。

 そこは広い公園の前──車から出て公園に入る。

「ね、ベリル。私、ずっと考えていたの」

 周囲を見回し決意するように彼を見据えて微笑んだ。

「あなたはきっと、全ての人を愛しているんだわ。だから、1人に絞るなんて出来ないのよ」

「私は聖人君子ではない」

 苦笑いを返した。

「当り前よ。そんな人だったら好きになんてなってないわ」

 少女の言葉に肩をすくめる。

「あなたは人間として全てを愛しているのよ。だから、とても魅力的なんだわ」

「よく解らんな」

「それでいいわ。見てて、私はパパよりも会社を大きくしてみせるから」

 言い切ったあと爽やかな風を頬に受け大きく息を吸い込んだ。

「ね、私が大人になったら一度だけ会ってくれない? そのとき褒められるようなレディになってたら……っ」

 その後の言葉が出なかった。出せば泣いてしまいそうになる。

 目を細めて彼女を優しく抱きしめた。

「約束して……っ」

 泣かないように必死にベリルに強くしがみつく。

 彼はひと言も応えなかったが、少女は自分に誓うように強く目を閉じた。


「ママ! ただいま」

「おかえりなさい」

 婦人は少女を抱きしめた。

「ありがとう」

 その光景を遠目で眺め、隣にいるベリルに発する。

「仕事をこなしただけだ」

 無表情に応えたあとピエールを一瞥して……

「私を選んだ返しは覚悟しておけ」

「ゲッ!?」

 計画を見抜かれていた!? 気まずそうなピエールに小さく笑みを見せて少女に目を移す。

「お前の仕事をやり抜く事だ」

「当り前だろ」

 ピエールは今の仕事に就く前は傭兵だった──護衛の依頼を受け仲間と共に要人の家族を護衛したとき……彼はその家族を護れなかった。

 その中には5歳の少女も……それから傭兵を辞めガードの仕事に就いた。

『誰かを守り抜く』

 心の傷から逃げるのではなく自らの命を賭ける。それが彼の生き甲斐となった。

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