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8/9

8.秘密の始まった日

 ────最初は⋯⋯自分と同世代の人間に世話をされるなんて、どんな気分なんだろう。自分だったら抵抗感がある。「不憫で気の毒な可哀想な人」という色眼鏡。それが鳴実なるみの根底には存在していた。


 しかし、その対象者・修一郎しゅういちろうは、出会った当初から物腰は柔らかく常に笑顔で、嫌な言葉や罵声を浴びせてきたりも決してしない。そればかりか訪問する度に、とても喜んでくれる。


 バイト自体も時間が遅いだけで、前の職場に比べたら仕事内容は随分と楽だった。連続の勤務も苦にならない。修一郎の緩さ加減もあって、妙な緊張感や失敗を恐れたりなどもなく、変に気負わず自然体でいられた。

 一緒に食事をする機会が増えて、介助に関すること以外の会話も多くなり、頼まれてもいないのに自ら本を持っていくようになる。




あの日 清拭(せいしき)中に顔が少し近づいて

たまたま ぶつかって触れたのかと最初は思ってた

けど そうじゃなかった


外へ出られないストレスからの暇つぶし イタズラ

自由にしている同世代への軽い嫌がらせ なんて勘繰りもした


拒絶は特にしなかった

それが何度か続いて

段々と濃密に甘くなっていって


⋯⋯そうなること(・・・・・・) に あまり時間もかからなかった


哀れみも多少あったかもしれない

こんな軟禁状態で 寂しくて人肌恋しくもなるんだろう


もちろん驚いたけど

華奢で綺麗な人だし 遊びでも 性別も

嫌だという感情は 特に湧かなくて悪くもない


心の拠り所 捌け口として 俺は役に立ててる

別に それでもいいんじゃないか って⋯⋯

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