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魚と珈琲  作者:
1/2

初めての復讐

ハヤミ トオル

速水 透 高校生

在学中に唯一の家族である母を亡くす。

母以外の人間がとても嫌いで嫌いで仕方なかった。

幼い頃、父が母と自分を捨て家を出ていき、

周りは助けてはくれず、学校では虐められていた。

しかし、母だけは自分の味方であり、全てだった。

珈琲は中学くらいから好きで飲んでいる。


キツネ

狐 若いとしか分からない男性

透がビルの屋上から身を投げようとしていた所を、

スカウトした人物。

掃除道具だけでなく、家までも提供してくれる謎の人物。

契約として、「貴女の復讐を手伝うから、こちらの要望を叶えて欲しい。衣食住はこちらが提供する」というもの。


透からしたら、全てであった母がいなくなり、

「どうでも良くなった世界にいてもいなくても良い」と言う考えなので、狐のことは詮索していない。

…魚は好き。こちらに対して干渉をして来ないし、

向こうも何か思っていたとしても話しかけてこない。

だから私は水族館という空間が好きだ。

…しかし、水族館には魚以外にも人がたくさんいる。

そこがとても嫌いだ。

ある人達は仲良く話をしていると思えば、片方が片方に対して憎悪を持っていたり、またある人達は手を繋いで仲良いカップルを演じていると思えば、お互い別の好きな人がいたりと…。

人間はやはり、醜くてとても傲慢な生き物だ。


透「…折角の珈琲が不味くなる」

私は誰もいなくなった水族館で、珈琲を飲んでいた。目の前には、魚たちが優雅に泳いでいる。

…死んだら、魚に生まれ変わりたいと切実に思う。

珈琲が無くなり、おかわりを持ってこようと立ち上がると、足元に転がっていたカバンを蹴ってしまった。

それは、私のカバンではなくクラスメイトの物だったカバンだ。

透「あぁ、ごめんね川野さん。カバン蹴っちゃった…って、聞こえてないか」

川野さんのカバンの近くに転がる川野さん自身。

その身は彼女自身の血で真っ赤に染まっていた。

透「今日はいい日だ。静かに魚たちを眺められる…。けど、このゴミたち片付けないとな〜」

足元に転がるたくさんの肉塊。

同じクラスだった人達や、先生。みんなもう静かに横たわっていた。

透「これからどうしようかな。魚たちには罪無いし…」

このたくさんのゴミたちをどうしようか考えていると、川野さんが前に言っていた言葉を思い出す。


川野「ゴミは燃やすのが手っ取り早いよね〜?

速水さんもそう思うでしょ?こんな、''ゴミ''。捨てた方がいいよね〜?」

そう言いながら母が昔作ってくれた御守りを焼却炉の中に入れる。それは、母が最後に残してくれた物だというのに。

透「…どうしてこんな事するの?」

川野「どうして?楽しいからに決まってるでしょ?その顔!!反抗的な目!その目が絶望に染まった時が1番興奮するの…!」

そう言いながら、私のありとあらゆる物を燃やしていく。それを見ないようにと目を逸らすクラスメイトと、担任の先生。


…あぁ、嫌なことまで思い出した。

でも、ありがとう川野さん。

透「貴女も言っていたから、同じことをするね。

魚たちには申し訳ないけれど…。」

そう言い、事前に準備していた灯油を肉塊に満遍なく注ぐ。

そして、ライターの火をつけ床に落とす。

火はすぐに燃え広がり、私はゆっくりと外に出た。


外に出ると1人の男性が待っていた。

?「もう、良いんですか?」

透「…えぇ、ゴミは処理しました。ありがとうございます、この様な形で復讐の機会を与えて下さって」

黒いコートを身に纏う男性は不敵に微笑みながら、私を見て言う。

?「いえ、貴女にはこちら側の才能がありますので。その貴女様が来て下さるというのであれば、どんな事でもお手伝いさせて頂きますよ」

透「…まぁ、契約ですから。」

私は男性が用意してくれた車の後部座席への向かう。今度は、私がこの人達に使われる番だ。


…車に揺られながら、ふと男性の名前を覚えていないことに気がつく。

透「そういえば、お名前何でしたっけ?」

狐「こちら側の名前しか教えられませんが、''狐''とお呼びください。」

透「狐さんね。今度は忘れないようにしておきます」

そう言い、車を走らせる狐さん。

確かに顔は狐の仮面を被っているから、間違いではないか…。

狐「そういえば、お疲れかと思うので何かお飲み物を買ってきますが、何がよろしいですか?」

私は決まっている好きな飲み物、そして場所を伝えた。

透「魚が見える場所で、珈琲を飲みたいです」

狐さんはチラリと私を見る。

仮面の下から見えるその目は、何を思ったのか

ニコリと笑っているように見えた。

狐「そしたら、とっておきの豆を揃えて置きます。

…魚はそうですね。新しい(ハウス)にならあるので、そこでも宜しいですか?」

透「どこでも構わない…静かなら、それで」

私は会話を終え、外の様子を眺める。

ビルや建物がキラキラと輝いていて、人もたくさん歩いている。あぁ…すごく。

透「すごく…吐き気のする光景だ」

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