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第074話 休みも勉強


 家に帰り、エーリカのところに行き、お祝いをする。

 といっても、いつもの食事に酒がついてくるだけだ。


「ハンバーグ美味しいなー」

「見たことない肉料理だけど、本当に美味しいわね……」


 貴族2人が満足そうにハンバーグを食べていく。


「そう言ってもらえると嬉しいです」


 作ったエーリカも満足そうだ。


「それでジーク君、さっきの話だけど……」


 エーリカがハンバーグを焼いている間にルーベルトから聞いたことを話したのだ。


「泥沼になりそうなんですっけ? 大丈夫なんですかね?」


 料理をしながら聞いてきたエーリカも心配そうだ。


「商人ギルド対アドルフの商会と議員って感じだな。それに軍や役所が絡んでいる感じ」

「面倒な匂いしかしないわね。他組織が関わると、長期化するし、まさしく泥沼よ」


 アデーレと同意見だ。


「こっちに依頼とか来ると思うか?」

「来ないんじゃない? ウチは関係ないしね」


 だといいが……


「すまん。せっかくの祝いなのにつまらん話をしたな。明日は休みだけど、お前らは何をするんだ?」

「さすがに勉強ですね。試験まで2週間を切りましたし」

「だねー。苦手なところを重点的に勉強」


 もう大丈夫だとは思うが、油断は禁物か。


「アデーレ、錬成は大丈夫か?」

「うーん、まあ、やるだけのことをしてみるわ。私はどうしても実技が圧倒的に経験不足だからやるしかない」


 アデーレは勉強していただけあって、知識は十分なんだよな。


「暇だし、見てやろうか?」

「いいの? 休みだけど……」

「やることないから別にいいぞ」


 家で何かを作っているか、本を読んでいるかだ。


「ありがとう。じゃあ、お願い」

「ししょー、勉強を教えてよー」

「あ、私も……」


 まあ、弟子の面倒を見るか。

 試験が近いわけだし、受かってもらわないと困る。


「わかった。明日は勉強会にしよう」


 俺達はその後も食事を続け、軽く酒を飲みながら話をした。

 そして、翌日はまたもやエーリカの家に集まり、勉強会をしていく。


「ジークさん、試験は王都で受けるけど、その間、支部はどうするの?」


 国家資格である国家錬金術師試験は王都で行われる。

 一応、休日だが、試験が丸々1日かかるため、前泊し、さらには試験後も泊まらないといけない。

 単純に飛空艇の便がないのだ。


「俺が留守番してるわ。前日は早めに出て、試験に備えろ。試験の次の日はゆっくりしていいぞ」


 どうせ特別休暇になるから給料も出るし。


「一人で寂しくないかい?」


 レオノーラが聞いてくる。


「ヘレンがいるわ」


 そもそも寂しいと思わない。

 たかが3日だろう。


「お食事はどうされるんです?」


 今度はエーリカが聞いてきた。


「普通に作るか、どっかで食べる。言っておくが、俺は一人暮らし歴も長いし、レオノーラと違って普通に生活できるぞ」

「私だってできるよー」


 だったら少しは片付けろ。


「アデーレはともかく、エーリカとレオノーラは王都に行ったことがあるのか?」

「私はないですね」

「私は何回かあるよ。そもそも実家とこの町は直行便がないから王都を経由しないといけないんだ」


 なるほどな。


「エーリカは初めてなら試験が終わったら王都で観光でもしてから帰ればいいだろ」

「良いんです?」

「王都に行くことなんてめったにないしな。最終便で帰っても良いし、どうせ有休も残っているんだろうから翌日も休んでいいぞ」


 まあ、数ヶ月後には8級を受けてもらうけど。


「王都かー……」

「案内しましょうか? 私は学生時代も含めて長かったからある程度は詳しいわよ」


 俺は生まれてからずっと住んでいたが、そんなに詳しくない。


「お願いします! 色々と見てみたいです」

「私も案内してー。観光はしたことないんだよー」


 レオノーラも手を上げた。


「じゃあ、案内しましょう。あなたは来ないの?」


 アデーレが聞いてくる。


「王都に行ってもやることないから行かない」


 出身地の観光なんて興味ないし、友人もいないから会いたい人もいない。


「ふーん……じゃあ、留守を頼むわ。あなたがいれば何かあっても対処できるでしょうし」


 何もないのがいいけどな。


「王都には私と行こうよ。鑑定士を受かったらレストランに連れていってくれるんでしょ」


 そういやそうだったな。

 レオノーラの目利きを見る限り、落ちる要素がないから確実に奢らないといけないだろう。


「エスコートはいるのか?」

「いる。君のリードに従うよ」


 リード……支部長に相談だな。

 王都に家があるらしいし、王都の店も詳しいだろう。


「わかった。でも、まずは今度の試験を頑張ってくれ」

「やるか……」

「そうですね」


 レオノーラとエーリカが目線を落とし、本を読んだので錬成中のアデーレを見る。


 うーん……出来は悪くないんだが、おっせー……


「良い感じだぞ」

「ありがとう。でも、遅いって心の声が聞こえてきたわ」

「まあ、8級の試験ならそのくらいのスピードで大丈夫だと思うぞ」


 試験に関係なく、もう少し早くしてほしいがな。


「もうちょっと早くできるようにするわ」


 こいつらって、人の心をめちゃくちゃ読んでくるんだよなー……

 俺がわかりやすいのか、それとも人付き合いの上手さの差か……


 俺も勉強しようと思い、買ってきた【職場での人間関係 ~後輩編~】を読むことにした。

 この日はその後も各自が勉強をしていき、夕方になると、4人でエーリカが作ってくれた夕食を食べ、解散した。

 そして、夜になると、いつものように寝室でヘレンと飲み、就寝した。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
国家資格だから王都に行く必要がある → エーリカは10級の資格を持っている → 王都に行ったことがない → 10級だけ別の場所でも受けられる?
[良い点] ジークくんが頼りになるけどヨシヨシされてるのいいな
[気になる点] 「ヘレンがいるわ」 ものすごく個人的な話なんだけど、前々からジークの口調で一瞬誰なのかわからない時がある。 「~わ」「~だわ」って 女性系等のキャラが使うイメージがつよかったからなのと…
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