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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第8章

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第297話 名誉だけども……


 話をしていると、定食がやってきたので食べる。

 そして、ヘレンと共にさっさと食べ終えると、混んでいるので店を出て、2人と共に本部に向かった。

 すると、受付にサシャがいたのでそちらに行く。


「あ、ジーク先輩、来られたんですね」


 サシャが笑顔で声をかけてきた。


「ああ。リート以来だな。あの時は助かった」

「いえ、私もすごく勉強になりましたし、その節は大変お世話になりました。リートは良いところでしたし、皆さん、良くしてくれましたから楽しかったです」


 それは良かった。


「勉強の方はどうだ?」

「過去一の状態で受けられそうです。頑張ります」


 大丈夫そうだな。


「頑張ってくれ。お前なら大丈夫だ」

「はい。あ、ジーク先輩、アデーレ先輩達も試験を受けるために来られると思うんですが、いつまでおられるんですか?」


 んー……


「具体的な日数は決まっていないが、有休消化のために3日、4日は滞在しようって話をしている。ただ、延びる可能性もある」

「有休消化、ですか……」

「そんなものもあったわね」


 チビ2人が顔を見合わせた。

 悲しい本部のエリート共だ。


「あの、時間があればちょっとお時間をもらえないですかね? 先輩に相談したいことがありまして……」


 相談ねぇ……


「アデーレも一緒が良いか?」

「はい。そっちの方が良いです」

「わかった。明後日にはあいつらも来るし、ちょっと聞いてみる。多分、時間はあるし、大丈夫だ」


 アデーレも断りはしないだろう。


「ありがとうございます。あ、本部長ですか?」

「ああ。おられるか?」

「ええ。ジーク先輩が来たら本部長室まで来いっていう伝言を預かっています」

「わかった。行ってみる」


 俺達は受付を離れると、階段を上がっていく。


「相談って何だろ?」


 ゾフィーがリーゼロッテに聞く。


「恋の相談じゃないですか? ジ、ジーク先輩、昔から好きでした、的な」

「あんた、本気で言ってる?」

「そんなわけないです。アデーレさんがセットならあり得ません」

「どっちみち、ないと思うけどね……」


 絶対に違うだろ。


 階段を上がると、2人が3階で立ち止まった。


「じゃあ、私達はこっちだから」

「ジークさん、ご馳走さまでした」


 昼食代は俺が出したのだ。


「ああ。お前らも試験を頑張れよ。ゾフィー、落ちても気にするな」

「うっさい」


 ぷんすかと怒るゾフィーと共にリーゼロッテも廊下を歩いていったので階段を上がっていき、本部長室の前までやってきた。


「本部長、ジークヴァルトです」


 そう言いながらノックをする。


『おー、入ってくれ』


 許可をもらったので扉を開け、中に入る。

 すると、本部長がデスクにつき、書き物をしていた。


「お久しぶりです」

「そうかぁ? あ、いや、会ったのはこの前の鑑定士の試験以来か」


 結構、電話してたし、久しぶり感はあまりないな。


「大人になると、時間が経つのが早いですね」

「私はもっとだよ」


 知ってる。

 30歳を超えると、本当にあっという間になる。


「お仕事中ですか?」

「たいした仕事じゃない。それよりも体調はどうだ?」


 風邪のことね。


「もう大丈夫です」

「それは良かったな。お前が体調を崩すなんて珍しいことだ。お前の悪性に勝つなんて、よほど大臣の風邪は質が悪いらしい」


 あんたがかかったくらいだからな。


「ゾフィーはリートに来たから知っていますが、クヌートは?」

「あいつも大丈夫だ。見舞いに行った時、ゾフィーは涙目だったが、クヌートはいつもと変わらなかった」


 メンタルが雑魚と強者だからな。


「問題ないなら良かったです。両隣だったし、一緒に帰った2人だったので俺が悪いのかと思いましたよ」

「同じことを私も思った。そして、大臣が悪いと思うことにした」


 俺も思った。


「質が悪いですからね。本題に入りますが、試験官の仕事は?」

「明日、朝から試験会場に行ってくれ。そこで説明がある」


 あの箱モノの会館ね。


「わかりました。注意点は?」

「受験者を見ることも大事だが、試験官も見てくれ。アウグストのことがあるからな」


 試験官の不正のことだ。


「何かあると思いますか?」

「いや、今回はさすがにないと思う。とはいえ、警戒はしろ。アウグストに近かった奴もいるだろ」


 どうかね?

 人のことは言えないが、あいつも結構な嫌われ者っぽいし。


「わかりました」

「お前の嫁共はどうだ?」


 嫁じゃない。


「大丈夫だと思います。逆に一門はどうですか? 勉強会をしているんでしょ?」

「あれなー……私は懐かしいし、嬉しいんだが、何の意味があるかわからん」


 そんなあんたのためだよ。

 親孝行だ。


「皆も思うところがあるのでしょう」

「ふーん……まあいいか。試験ねー……クリスは微妙、ハイデマリーは受かりそう、テレーゼ、クヌート、ゾフィーは無理だな」


 結構、無理だな。


「テレーゼも無理ですか?」


 あいつは遊んでいたクヌート、背伸びのゾフィーとは違う。


「あいつは止めた。今はゆっくりさせた方が良い。リーゼロッテの指導に集中し、次で目指せって言ってあるんだ」


 なるほど。

 確かにそれが良いかもしれないな。

 テレーゼは実力は間違いないし、無理をさせる必要もない。


「クリスがダメでハイデマリーが受かるってことはついに並びますね」


 宿命のライバル同士が並ぶわけだ。


「面倒なことだ。いや、ハイデマリーが3級になるのは喜ばしいことなんだがな」


 でも、争いがさらに激しくなる。


「ハイデマリーはそもそもすでに2級になってないとおかしいですからね」


 あいつはそれだけの才能があるし、努力も情熱もある。


「弟子が可愛いんだろ。クリスに関しては申し訳ないが」


 あんたが邪魔してるもんな。

 対貴族のために仕方がないことではあるが。

 まあ、クリスに関しては後で聞けばいいか。


「では、明日から試験官の仕事に入ります」

「ああ、頼む。時にジーク、お前、いつまでいる?」

「試験後、3日、4日はいると思います」

「そうか、そうか。実はとある人物が大変、お前を買っている。この国最高の錬金術師、いや、世界の中でも最高だとな。まさしく国の宝と」


 ふむ……見る目があるな。


「誰ですか?」

「陛下だ」


 あー……


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

コミカライズが更新されておりますのでぜひとも読んで頂ければと思います。(↓にリンク)


よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
鉱脈探知機量産しろってか
ゾフィーの末娘感が良いな
この国は本当に戦争してるのか? ってレベルでトップが愉快だな。
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