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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第7章

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第281話 光の家族


 ドックの奥にあった階段を上ると、そこはリビングになっており、銀髪の女性が洗い物をしていた。


「母さん、エーリカが帰ってきたよ。それに同僚の方が来られた」


 お兄さんが声をかけると、お母さんがこちらを振り向く。

 すると、『ああ、親子だな』って感じのなんか後光が差してそうなおばさんが振り向いた。


「お母さん、ただいまー」

「おかえり、エーリカ。それに皆さんもよくいらしてくださいました。エーリカの母のシュテファニーです」


 うーん、光の者だ。


「錬金術師協会リート支部のジークです。娘さんにはいつもお世話になっています」


 主に食事関係で。


「レオノーラでーす」

「アデーレです」

「…………ゾフィー、です」


 ゾフィーはダメだな。

 完全に余所行きモードに入っている。


「娘がお世話になっております。どうぞ座ってください」


 お母さんに勧められたので席につく。

 すると、お母さんがお茶の準備をし始め、お兄さんは仕事に戻っていった。


「エーリカ、どう? 皆さんに迷惑をかけてない?」

「かけてないよー」


 そこはそう。


「シュテファニーさん、娘さんはよくやっていますし、逆に俺達の方が世話になっているくらいです」


 そう言うと、他の3人も頷く。

 いつも3食を世話になっているし、レオノーラに至っては掃除や洗濯もやってもらっているレベルだ。


「そうですか? なら良かったです。時にジークさん、娘の師匠をやってくれているんですって?」


 お母さんはそう聞きながらお茶を置き、テーブルにつく。


「ええ。師匠なんて大層なものではないですが、私は小さい頃から錬金術を学んでおりますし、人手が少ない支部だったので仕事のことや勉強を見ている程度です」


 こういう仕事の会話は楽だな。


「そうですか。ありがとうございます……新聞で見るよりかっこいい人ね?」

「でしょー。それでいて、頭も良いし、錬金術もすごいんだよ。本当に王都のエリートで並ぶ人がいないんだって」

「へー……」


 こういうのはものすごい苦手。

 嫌味ゼロで本当に感心しているし、もうオーラだけで浄化されそうな気分になる。


「そんなことないですよ……」


 あるけど。


「謙虚な方ですねー」

「そう! ……かな?」


 さすがにエーリカも俺のことを謙虚とは思ってないようだ。

 まあ、それはそうだろうな。

 謙虚だったことなんて一度もないし。


「エーリカが協会に就職するって聞いた時は嬉しい反面、不安もありましたが、皆さんのおかげで上手くやっていそうで良かったです。どうぞ、これからもよろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ頼りにしています」


 俺達はお母さんと頭を下げ合う。


 挨拶を終えると、その後、女性陣がぺちゃくちゃと話をし始めた。

 俺とゾフィーは特にしゃべることもない。


「エーリカ、ちょっと下でドックを見させてもらっても良いか?」

「ええ。どうぞ、どうぞ」


 よし、脱出だ。

 なんか恋愛話になり始めたから気まずい。


「あ、私も行く」


 ゾフィーも立ち上がった。


「お前もか?」


 まあ、人見知りが発動し、明らかに口数が減ってるが。


「船を見たいのよ。参考にする」


 飛空艇製作チームだからか。


「じゃあ、見させてもらうか」

「うん」


 俺達はリビングを出て、ドックに下りる。

 すると、お父さんとお兄さんが作業をしていた。


「ん? どうした?」


 お父さんが聞いてくる。


「見学をしたいなと思いまして。あと、上はずっとしゃべっているので居心地が……」

「あー、わかるな。まあ、面白いものは何もないが、見ていけよ」

「いえ、面白いですよ。俺達も技術者ですし、他所の技術は参考になります。正直、見る機会がないですからね」

「錬金術師が来るなんてことはないしな」


 お父さんが笑う。


「あの、気になっていたんですが、よく娘さんを錬金術師にしましたね?」

「そうかぁ? 俺でも錬金術師は儲かるってわかるぞ」


 まあ、儲かるだろうな。


「船大工でしょう?」

「関係ねーよ。親なら娘の幸福を願うもんだ。ましてや、エーリカに船大工ができると思うか?」


 さすがに思わない。

 力仕事だし。


「ちょっと厳しいでしょうね」

「だろ? じゃあ、別の道で成功してくれればいい。あいつは子供の頃から勉強ができたし、魔力とやらもあった。親としては良いところに就職して万々歳だ。後は良い男でも見つけて、孫の顔を見せてほしいもんだ」


 親だな……

 いや、それはそうか。


「なら良かったです。ちょっと気になっていたもので」

「そんなに気にすることねーよ。錬金術師は錬金術師、ウチはウチだ。キレる時はお前らがウチが扱うような船を作りだしたらだな」


 またもやお父さんが笑った。


「それはないでしょうね。まずもって、錬金術師は数が少ないですから」


 そんなことをしている暇はない。

 やはり錬金術師でしか作れない魔道具関係が優先になるからだ。


「だろ? じゃあ、問題ねーよ。極端な話、俺は仕事をして、家族を養えればそれでいいんだから」


 そういうものか……


「わかりました。鉄はやはり厳しいですか?」

「ああ。それは本当にな。協会でなんとかできんか?」


 皆、協会を何だと思っているんだろうな?


「ウチもですが、民間のアトリエも鍛冶師業界も厳しいようです」

「どこもそうか……もういっそ俺が掘りに行こうかな?」

「親父、暗いところがダメじゃん」

「うっせーよ」


 仲の良い家族だ。

 本当にそう思う。

 エーリカがあれだけ性格が良いのも頷ける。


 その後も船を作る作業を見学していくと、お昼をご馳走になる。

 そして、昼過ぎには家に戻った。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
作品も内容もいいのになんでここで変わった名前付けて爪痕残そうとするんや… 「ステファニー」でいいじゃんってなるし、名前でつっかかると内容入らない
ゾフィーって超マンの長兄で光の一族…
光の化身の一家だ。直視すると目がやられる
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