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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第7章

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第262話 ジーク研究家のアデーレ女史


 広場に戻ると、3人に役所で話したことを説明する。


「じゃあ、私達はこのままインゴットを作っていればいいわけですね」

「そうなるな」


 エーリカの言葉に頷く。


「これ、結構な問題じゃないかなー? 鍛冶屋が機能しないと、作ったものを売っている商人も困るし、最終的には生活をしている人々が困るじゃないか」


 レオノーラの言うことはもっともだ。


「そうなるな。ウチは困らないから安心だがな。責められることもない」

「まあ、そうかもしれないけどさ……」


 なんかテーブルの下で足を蹴られている。

 よく見ると、アデーレがジト目だ。


「何だ?」

「ジークさん、喉乾いてない? コーヒーでも淹れましょうか?」


 なんかアデーレが怖いぞ……

 地雷踏んだ?

 どこにあったんだろう?


「あ、休憩にしましょうか。私が持ってきますよー」


 エーリカが笑顔で立ち上がった。


「私も行くわ」


 アデーレも立ち上がると、2人は協会の方に行ってしまった。


「レオノーラ、お前、足を蹴ったか?」

「アデーレだね」


 やっぱりあいつか……


「俺、なんか怒らせるようなことを言ったか?」

「いや、そういうことじゃないよ。単純にエーリカの実家はその鉄なんかを使う船大工だよってことだけ」


 …………なるほど。


「ウチは困らないが、エーリカの家は困るわけだ」

「心配だねぇ」

「そうだな……」


 わかるかって思ってしまう俺はやはり35点……


「船大工ってどういう仕事なんですか?」


 ヘレンが聞いてくる。


「船を作るんだろ」

「そだね」

「いや、それはわかりますが……前に皆さんが作っていたような感じですか?」


 ふむふむ。

 ヘレンは船のことを知らないか。


「俺達が前に作ったマルティナ号は魔導船だ。錬金術で作られ、魔石を動力にして動く。一言で言えば、魔法の船だな。木材なんかは普通だが、動力なんかは完全な魔道具だ。風がなくても進むし、風によるスピードにプラスされるから速い。それに小回りも利く。一方で高いんだ」


 まあ、あれは補給用の小さい船だったからそこまでだったが、あれが戦闘用の大きい船だととんでもない値段になる。


「へー……じゃあ、エーリカさんのご実家で作られている船は普通の船なわけですか」

「そうだろうな。実際は見たこともないが、エーリカの家ではあいつだけが魔法使いのようだし、普通の船大工だと思う」

「やっぱりそうなると、鉄を使われるんですか?」

「ああ。木材が主になるが、それでも鉄も結構な量を使うと思う。でもまあ、それは船に限ったことじゃない。鉄や銅はどこにでも使われているし、何なら建物にも鉄筋や鉄骨が使われている」


 日常に溢れているのだ。


「それが不足するって大問題では?」

「そうだな。役所は大変だろう」

「ここはリートの英雄の出番では?」


 俺、か?


「いや、いくら俺が天才でも無から鉄は作れない。それこそ神の御業だ」

「なんかジーク君ならしれっとできそうだけどね」


 無茶言うなっての。


「お待たせしましたー」

「どうぞ」


 エーリカとアデーレが戻ってきて、コーヒーと菓子をテーブルに置いてくれる。


「悪いな」

「ありがとー」


 封を開け、ヘレンにクッキーをあげた。


「わーい」


 可愛い。


「何の話をしていたんですかー?」


 エーリカが聞いてくる。


「エーリカの実家の話。エーリカの家って船大工でしょ?」

「そうですね。そんなに大きくないですけど、ドックもあるんですよ」


 へー……


「実家の手伝いとかしないのか? 木材の錬成とかなら手伝えるだろ」


 しかも、早い。


「あー……その辺はグレーというか、触れないというか、タブーというか……実家でも絶対に話題に上がらないことですね。理由は……えーっと……」


 エーリカが言いづらそうにしている。


「仲悪いもんな」

「まあ……」


 エーリカが苦笑いだ。


「ジークくーん」

「ジークさん」

「ジーク様ぁ……」


 いや、そんな顔をするなよ。


「いいんですよ。事実ですから。皆さんもわかっていることでしょうけど、錬金術師って職人さんからものすごく嫌われているんです。もちろん、別にウチの家の家族仲が悪いわけではないですよ? 私が魔法学校に入る際も応援してくれましたし、協会に入った時も10級の資格を取った時も喜んでくれましたし」


 まあ、それとこれとは別だからな。

 娘が良いところに入り、頑張っているなら応援するだろう。


「それでも仕事はやっぱりダメなわけか」

「ええ。父にも兄にもプライドがありますからね。錬金術師と職人はちゃんと住みわけができているわけですし、そこに立ち入ることはしません。別にウチは父も兄も元気ですし、困っているわけではないですしね」


 船もそうだし、鍛冶関係も住みわけはある。

 俺達は魔導船しか作らないし、フライパンなんかの日用品を作ることなんてない。

 作っても個人用だ。


「今度、見せてよー。ちょっと見てみたい」

「いいですよ。遊びに来てください」


 レオノーラはさっきの話を聞いて、よく行く気になるな……


「いいの?」


 気にしいのアデーレが確認する。


「もちろんですよー。ぜひぜひ」

「そ、そう? じゃあ……」


 アデーレ、こっちを見るな。

 俺は行かないぞ。


「いや、一緒に来てよ」


 心を読まれた……


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

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よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
正しく愛だ!
アルミとマグネシウムでジェラルミンだかって合金ができるんでしたっけ?某南国少年より
ジーク検定とか有ったら、母親とか兄弟弟子差し置いてヘレンと共に満点叩き出しそうなアデーレさん
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