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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第6章

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第239話 レッチェルト


 楽器店をあとにすると、ちょっと早いが、ホテルに戻るために歩いていく。

 すると、前方から歩いてきたおじさんが立ち止まり、俺達を見てきた。

 いや、見ているのはアデーレだ。

 しかも、アデーレも足を止め、目を見開いている。


「アデーレちゃんかい?」


 おじさんがアデーレに聞く。


「え、ええ。お久しぶりです。こんなところで会うなんて奇遇ですね」

「そうだね……アデーレちゃんは美人になったね」


 いや、誰?


「ありがとうございます。あ、こちら、リート支部のジークヴァルトさんです。ジークさん、レオノーラのお父さん」


 え? レオノーラの親父さん?


「はじめまして。錬金術師協会リート支部に所属しておりますジークヴァルト・アレクサンダーです。こちらのアデーレ、そして、娘さんとは同僚になります」


 ちゃんと挨拶をする。


「私はレオノーラの父のエドガー・フォン・レッチェルトだ。君の噂はよく聞いているよ。とても優秀なんだってね。それと娘がいつもお世話になっている」


 親父さんが手を伸ばしてきたので握手した。


「いえ、娘さんもとても優秀な錬金術師ですし、色々と助けてもらっています」

「確かに弟子なんだよね?」


 支部長が連絡したって言ってたし、かなり詳しいだろうな。


「そうなりますね。リート支部は人が少なく、指導者がいない状況だったので経験のある私が教えております」

「ありがとう」


 いやー、なんか気まずい。

 アデーレの爺さんの時よりもずっと気まずい。


「おじさま、なんで王都にいらっしゃるんですか?」


 アデーレは空気を読んだのか、親父さんに聞く。


「ちょっと人と会う用があってね。それと陛下に挨拶をする予定だよ」

「そうですか……あの、レオノーラには?」

「レオノーラもいるのか……いや、君達がいるならそうか。レオノーラとは会わないと思うよ」


 会わないんだ……


「そうですか……」


 まーた気まずくなったな。


「あー、すまない。ちょっと色々とあってね。私達としては娘が幸せに生きているならそれでいいんだ」


 幸せか……

 あいつはいつも楽しそうだし、幸せそうだな。


「人に会うってクヌートですか?」


 多分、そうだろ。


「え? あ……そうか。君はクヌート君の弟弟子さんなんだったね」


 否定しないか……


「ジークさん、クヌートさんって……」


 アデーレが聞いてきたが、手で制し、途中で止めた。


「クヌートやレオノーラから聞いたわけじゃないですが、事情は知っています」

「そう……そうだね。クヌート君に会ったし、また会う予定だよ」

「まだあの話って生きているんですか?」


 もちろん、結婚の話。


「死んでないけど、死んでないだけで生きてるかどうかは微妙だね。その辺の話もあるし、あそこの家は懇意にしている家だからそういう意味でも挨拶がてら会うんだよ。別にイェーリス家だけじゃない。私も貴族の当主だし、色んな繋がりがあるから定期的にそういう家に顔出す必要があるんだよ。今日も色んなところに顔を出した」


 忙しいんだな。


「大変ですね」

「そんなことないよ。君達の方がずっとすごい。あ、引き止めてしまって悪かったね」

「いえ……娘さんを預かっている身としてはお会いできて良かったです」


 こういうのって親御さんとかに挨拶するものなのだろうか?

 マルティナは特殊だったし、俺自身は孤児だったからよくわからない。


「娘をよろしく頼む。アデーレちゃんも頑張ってね」

「はい。久しぶりにおじさまに会えて良かったです」


 アデーレがそう言うと、親父さんはにっこりと笑い、去っていった。


「感じの良さそうな人だったな」


 親父さんの後ろ姿を眺めながらつぶやく。


「実際、優しい人よ。おばさまもそうだし、あそこの家は皆、明るくて優しいわ」


 レオノーラもそんな感じだ。


「ふーん……」


 何も言えんな。


「ジークさん、クヌートさんって?」

「結婚が嫌で家を出たって言ってただろ。その相手がクヌートなんだと。もっとも、お互いに面識はないっぽいけどな」

「あー……そういうこと。なんか気まずくない? あなたの弟子と兄弟子でしょ」

「別に。親父さんはああ言っていたが、立ち消えた話だろ。レオノーラにその意思がないんだから」


 関係ない。


「まあ、レオノーラはリートから出ないか」

「そうしてほしいね。ちなみにだけど、お前はそういう話とかないよな?」


 せっかく引き抜いたのに結婚するから辞めるっていうのは厳しい。


「ないわね。親に言えば軍人さんを紹介してくれると思うけど、怖いし、その意思がないわ。私もレオノーラと一緒で一生、錬金術師でありたい」


 そのために勉強して、努力しているわけだからな。


「ご結婚の意思はないんですか?」


 これまでずっと空気と化していたヘレンがアデーレに聞く。


「別にそういうことじゃないけど、今のところはないってだけ。するとしても自分で選ぶわ」

「私、超が付くほどの優良物件を知ってますよ。なんと仕事も辞めなくていいです」


 ヘレンは諦めないな。


「はいはい。その人は奥さんがいるでしょ」

「アデーレさんの奥さんでもありますよ」

「エーリカさんもね」


 レオノーラハーレムかな?


「アデーレ、この件はレオノーラには言わないでくれ」


 もちろん、ハーレムのことじゃないぞ。


「いいけど……どうするの?」

「夕食を食べたらちょっとクヌートの家に行ってくるわ。話をしてみる」


 クヌートの意思を確認したい。


「そう。ついていった方が良い?」

「いや、俺1人でいい。話をするだけだしな」


 別にケンカをしにいくわけではない。


「ふーん……じゃあ、任せるわ」


 アデーレが頷いたのでホテルに戻ることにした。


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― 新着の感想 ―
ヘレンちゃんもついてくるんだよー。超・超優良物件だね!
つまり喧嘩をしにいくんだな!!!!
いや本当に弟子(嫁)と居ると人間性が80点に近くなってきてる気がする。レオノーラの親父さんとのやりとりもその後のクヌートと話に行こうとするのも
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