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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第4章

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第131話 にゃ?


 しばらくすると、エーリカが帰ってきたので仕事を始める。

 エーリカもレオノーラも薬品と石とにらめっこしながら頑張っていた。

 すると、風を感じたのでソファーの方を見てみる。


「涼しいぞー」


 髪がめちゃくちゃになっているアデーレが首を傾げていた。


「思ったより、風が強いわね……」


 アデーレは手櫛で髪を整える。


「それを使って船を動かすんだよ。ドライヤーは威力を抑えているんだ」

「水曜石より難しい……」


 まあ、頑張ってくれ。


「お前らは大丈夫か?」


 エーリカとレオノーラにも確認する。


「いやー、難しいです」

「難易度が格段に違うね」


 キュアポーションとステンレス鋼はなー……


「確かにそうだが、エンチャントもできるようになっただろ。ひたすらやりまくれ。それしかない」


 7級までは練習あるのみなのだ。


「頑張りまーす」

「よーし、やるかー」


 2人は気合を入れて、やっていく。

 その後もたまに風を感じながら自分の仕事をしていき、夕方となった。

 そして、解散となったので一度部屋に戻る。


「ハァ……3回も同じところに行くのか」


 3人娘にはとても聞かせられない愚痴がこぼれた。


「お嫌ですか?」

「4人で飲み食いしながら話した方が良いだろ」

「たまには自分だけを見てほしい時もありますよ」


 そんなもんかねー?


「でもまあ、あの3人なら大丈夫か。そもそも会話に詰まったらどうしようとも思わんし」


 話すことがなくなり、無言になっても気まずくならない関係というのは良いもんだ。

 これまではヘレン以外でその域に達するまで人と仲良くなったことがない。

 まあ、違う意味で無視しても声をかけられなくても気にしない関係だったがな。


「ジーク様はなんだかんだで付き合ってあげますね。昨日のアデーレさんなんか絶対に家にあげませんでしたし、たとえ、あげてもすぐに帰れって言ってますよ」


 言うだろうな。


「めんどいなと思うが、楽しいじゃないか。それに慕ってくれてるのもわかるし、期待には応えたいと思う」

「そうですか。良いことだと思います。では、エーリカさんのところに行きましょうか」

「そうだな」


 俺達は部屋を出ると、向かいの部屋をノックし、扉を開けた。

 返事を待っていないが、エーリカから勝手に入っていいと言われているのだ。


「あ、ジークさん、まだ御二人は来てませんが、座って待っていてください」


 キッチンにいるエーリカが笑顔で勧めてくる。


「あいつらは30分後だ」

「あれ? 何か用事ですかね?」

「雰囲気」

「はい?」


 まあ、そんな反応になるわな。


「エーリカ、明後日の夜だけど、空いてるか?」

「明後日……空いてますね。最近は全然外に出ません」


 いつも食事を作ってもらって悪いな……


「サイドホテルのレストランを取ったからお祝いに行こう」

「おー……ついにか。行きます! 行きます!」


 エーリカは嬉しそうだ。


「あのドレスか?」

「もちろんですよ! そのために買ったと言っても過言ではありません!」


 10万エル以上……

 お祝いなのにエーリカの方が払っているというね。


「2人で行くより4人の方が良くないか?」

「そりゃ4人の方が楽しいですよ。でも、たまには2人で出かけたいじゃないですか」


 やっぱりそうなのか。


「そっか。まあ、今回は祝いだけど、別にいつでも付き合ってやるよ」

「ホントですー? じゃあ、今度、2人で飲みましょうよー」


 んー?


「飲むのか?」


 弱いくせに。


「うすーいやつです」

「ふーん……いや、それはいつでもできるし、今日だってできるぞ」

「サイドホテルが終わってからですよー」


 いつでもいいんだが……


「いいぞ。薄いやつを作ってやる」

「ありがとうございます」


 まあ、喜んでいるならいいか。


「やっほー」

「さっきぶり」


 遅れてレオノーラとアデーレがやってきた。


「あ、どうぞー。テーブルで待っててください」

「お邪魔ー」


 レオノーラがすぐにテーブルに向かったので俺もテーブルにつく。


「あ、手伝おうか?」


 できない女ができる女に近づいた。


「今日はパスタなんで大丈夫ですよ」

「そう? いつも悪いわね」


 アデーレはすぐに諦めてこちらにやってくると、隣に座った。


「アデーレ、まだ諦めてないの?」


 完全に諦めた女がアデーレに聞く。


「包丁は怖いけど、炒め物くらいならできる気がするのよ」


 包丁すら怖いんか……


「炒め物も火傷するよ?」

「ジークさん、包丁と火を使わない料理を知らない?」


 外食もしくは、大人しくここで待つ。


「ハサミで切れば? 火も煮込み料理なら大丈夫だろ」

「なるほど……地元の煮込み料理にするかな……」


 それ、俺らが食べるんだろうか?

 煮込み料理って一人分は難しいような……


「アデーレ、それは良いことだと思うけど、無理せずにエーリカに手伝ってもらいなよ」

「煮込み料理は難しいぞ」


 一人でやるのはやめとけ。


「そうねー……今度の休みにでも教えてもらおうかしら?」

「いいですよー。アデーレさんの故郷の料理というのも気になりますし、作るのは楽しいですから」


 キッチンにいるエーリカが笑顔で答えた。


「悪いわねー」

「いいですよー。あ、そうだ。今日の夜、相談に乗ってくれません?」

「相談? あー……そうね。わかったわ」


 アデーレがチラッと俺を見て、頷く。


「私はー?」

「あなたはジークさんの接待をしてあげなさい」

「わかったー。ジーク君、トランプでもする?」


 トランプ……


「ヘレンも入れて3人でやるか」

「うわー。イカサマする気満々」


 何故、わかった?


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ジーク。 せっかく、人間的に成長したんですから、三人とも手を付けようなんて外道なまねしちゃ駄目ですよ。 女性側が全員OKとかラノベ男子の妄想でしかない、現実からみるとかなり気持ちの悪い展開になっちゃい…
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