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第114話 誘い


 テレーゼのアトリエに戻ってからは魔剣を作り続けた。

 そして、翌日も同じように3人娘と共にテレーゼのアトリエに来て、魔剣を作り続ける。


「ジーク君、どんな感じー?」


 レオノーラがやってきて覗いてきた。


「順調だな。多分、明日にはできると思う」


 良い感じの魔剣ができそうな手応えがある。


「ほうほう。じゃあ、それから2日はフリー?」

「まあ、そうだな」

「デートしようよー」


 デートねー……


「どこ行くんだ?」

「お土産買いに行こうよ」


 あー……


「支部長にいるかね? 王都出身らしいけど」

「一応、買っておいた方がいいんじゃない? あと、微妙に迷惑をかけているルーベルトさんとルッツ君」


 確かになー……

 俺達のせいでもないが、向こうも大変だろう。


「行くかー」

「うん、行こう。エーリカとアデーレもいい?」


 レオノーラが2人に確認する。


「いいですよー。私も家族の分を買わないといけませんし」

「せっかくだし、皆で出かけたいわよね」


 俺達は予定を決めていると、ノックの音が部屋に響いた。


「どうぞー」


 そう答えると、扉が開かれ、何故か本部長が部屋に入ってきた。


「よう、ジークとその女共」


 他に気の利いた挨拶ができんのか?


「あ、本部長。ご無沙汰してます」


 アデーレが立ち上がって一礼する。


「え? 本部長さん?」

「あ、そうなんだ……」


 エーリカとレオノーラも立ち上がった。


「リート支部のエーリカ・リントナーです」

「同じくレオノーラ・フォン・レッチェルトです」


 2人が自己紹介をし、一礼する。


「ああ……私がクラウディア・ツェッテルだ」


 本部長が頷いた。


「本部長、用件は何ですか?」

「せっかちな奴だな」


 あんただけには言われたくねーよ。


「呼ばれれば行きますって」

「まあ、仕事の件で来たわけじゃない。お前ら、今夜は空いているか?」


 今夜?


「今夜はホテルで食べるつもりですけど?」

「夜は私が奢ってやるからついてこい」

「ハァ? なんでです?」

「なんで……え? なんでって言った、お前?」


 言ったが?


「変なこと言いました?」

「師であり、後見人である私と食事に行くことに疑問を抱くところだ」

「そうは言いますけど、一度たりとも本部長と外食に行ったことないですし……」


 住まわせてもらっていたから当然、家で御馳走になっていた。

 だが、どこかに連れていってもらったことは一度もない。


「あれ? そういえば、お前と食事に行った記憶がないな」

「本部長さん、ジーク様が2、3回ほど拒否したからです」


 ヘレンが答えた。


「あー、そうだ、そうだ。入学祝いに連れていってやるって言ったのに拒否したんだったな、お前」


 そうだっけ?

 誘われた記憶すらないぞ。


「うーん……そもそも祝われることですか?」

「ああ、そう言って拒否したな、お前」


 本当に記憶がないんだが……


「えー、じゃあ、行きましょうか……あれ? さっきお前らって言いました?」

「言ったな」

「まさか3人娘もです?」

「お前の弟子だろ。食事を誘うことがおかしいことか? ましてや遠い地から来てくれたのに」


 そう言われると……


「本部長、ちょっと耳を塞いでくださいね……お前ら、どうする? 拒否したいなら拒否してもいいぞ」


 本部長が耳を両手で塞いでくれたので3人に確認する。


「やっぱり一門なんですから挨拶はいりますよー」

「そうだね。しかも、自分達の組織のトップじゃないか」

「拒否する理由がないわ」


 ないのか……


「上司と食事なんて最悪じゃないか? この人は支部長のように優しくないぞ」

「お前が私の優しさをことごとく無視するだけだろ」


 聞いてんじゃねーよ。


「ウチはパワハラ禁止令を出しているんだ」

「そんなことせんわ。お前は私を何だと思っているんだ」


 弟子をリートに左遷した師匠。


「じゃあ、行きますか……奢ってくださいよ?」

「当たり前だ。どこに行きたい?」


 どこ……


「どうする? この人、金を持っているから高いところも行けるぞ」


 またもや3人と相談する。


「うーん……ドレスコードはなー……最初はジークさんとサイドホテルって決めてますし」

「王都の高いところはジーク君が連れていってくれるしなー」

「普通のところでいいんじゃない?」


 タダ飯だというのに……

 いや、こいつらはどっちみち、タダ飯か……


「本部長、高くない適当なところで」

「じゃあ、南のバイキングにでも行くか。そういうのが一番手っ取り早い」


 わかる、わかる。

 各々が好きなものを選べばいいからな。


「それでいいか?」


 3人に確認する。


「バイキングか……」

「またもや危険なネーミングだね」

「明日の朝もあるし、気を付けないといけないわよ」


 こいつら、王都に来てから食ってばっかりだな。


「本部長、そこで」

「わかった。終業時間に迎えに来るから行こう。車は出してやる」


 車はありがたいな。


「お願いします」

「ありがとうございます」

「御馳走になりまーす」

「私まですみません」


 3人がお礼を言う。


「ああ。では、仕事を頑張ってくれ」


 本部長はそう言うと、部屋を出ていった。


「ホテルの料理がバイキングになったな」

「バイキングも楽しみですよ」

「まあねー……あ、ホテルに電話してキャンセルしないと」

「でも、ちょっと緊張するわね」


 拒否してほしかったなー。

 あの人、昔から知っている人だから余計なことをしゃべりそうなんだよな……


お読み頂き、ありがとうございます。


これが今年最後の更新となります。

来年も更新していきますので引き続きよろしくお願いいたします。


良いお年を(@^^)/~~~

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― 新着の感想 ―
もしかしてヘレンに限らず使い魔って役割上、記憶力が良くなるものなのだろうか。
姑が嫁候補を見定めに来たのかな?
バイキングって最近聞かなくなってきたな 元々ビュッフェ形式を持ち込んだ会社が 昭和のイケイケ感性で脈絡なくつけたものらしいから 仕方ないけど、少し寂しい。
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