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ひとごと

作者: おとうふ

虹が出ていた。腹が立った。

1月の中旬、普段から死ぬ方法ばかり考えている私だが、その日は特別ついていなかった。電車の時間までに準備を終わらせるはずが、朝から母が私に小言を言い、その上父の援護射撃までついてきたのだ。

自己嫌悪がすごい私だが、注意されるとさらに酷い。

朝からそんなことがあったので当然親との会話の中で電車を1本見送る決意をした。と言っても次の電車は30分後、うかうかはしていられない。

親達の"注意”がようやく終わり予定時間ギリギリで家を出た。

私は自転車で駅まで行っている。…これは宿命なのか、はたまた私の勘違いなのかどちらかは分からないが何故こうも急いでいる時に限って向かい風なのか…。こればかりはどうにかして欲しい。

風を割って自転車を漕ぎ続け、駅に到着したのは電車が出発する1分前だった。自転車を捨てる勢いで駐輪場に置き、走ってホームまで行こうとした。が、出発のアナウンスが聞こえ走るのを辞めた。


結局もう30分待ち、電車に乗った。座席に座り移り変わっていく景色を眺めていると、小さな虹が出ていた。

普通の人なら喜ぶだろう。喜ぶまではいかなくともラッキーぐらいに思う人が大半じゃないだろうか。

私は違った。少なくともその日の私は。まるで神様が「虹を見せてやるから苦しいのは我慢しなさい」と言っているように感じた。


虹を見てもまともに喜べもしない自分に、腹が立った。



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