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桃色の花弁  作者: 遥前 備
9/16

恋に落ちる(7)

1ヶ月後の放課後。その日は全校部休で、私はまた教室で本を読んでいた。

「あ、いた」

声がした方を見ると、彼が教室の入口に立っていた。

「私?」

千紘ではないことを不思議に思いつつも、私は彼に教室の中へ入ってもらう。

「うん。感想言いたかったんだ」

「感想?」

私が聞き返すと、彼は頷いた。

「前に教えてくれた本、読んだんだ」

「そうなんだ」

まさか本当に読んでいるとは思っていなかったため、少し驚いた。それと同時に嬉しい気持ちもあった。

「どうだった?」

私が聞くと、彼はリュックの中から1枚のプリント用紙を取り出した。

「主人公なんだけど、無口で無表情でどんな時でも淡々と謎を解くのがかっこいいと思った」

「クールだよね」

私は頷く。

「でも相棒と出会って、だんだん感情が表に出るようになって言ったのが良かった。特に相棒が行方不明になった時取り出しながら相棒を探す場面が好きで、何度も読み返した」

「激アツだよね」

私は頷きながら、ちらりと彼の持っていたプリントを見る。

「ごめん。気になってたんだけど、その紙何?」

私が聞くと、彼はバツが悪そうに答える。

「メモ」

「メモ?」

私が聞き返すと、彼は恥ずかしそうに言った。

「俺、小さい時から読書とかあまりしなくて、感想とかメモしないとすぐ話せないと思ったから」

「いや、真面目か」

彼の行動に、思わずつっこんでしまう。

「ダサいな」

彼の顔が少し赤くなっている。

「でも嬉しいよ」

自分の好きな本を知ろうと、努力してくれた事が嬉しかった。

「ありがとう」

私が言うと、彼は少し笑った。

「あのさ、もし良ければlime交換しない?」

彼がスマホを取り出す。

「いいよ」

私もスマホを取り出し、画面を開いた。

交換した後、2人で玄関まで歩いた。

「んじゃ、私家こっちだから」

私が彼と反対方向の道を指さす。

「ん、気をつけて」

彼に手を振り、背を向ける。

1人の帰り道、スマホのメッセージ通知が鳴った。

「あ、進君っていうんだ」


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