表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第8話 天使の糸

「そうだわ、折角ならあの子達にも、戦ってもらいましょう…!」


何かを閃いたのか、リアンは、自分自身の手を何回か叩く。

リアンが自身の手を叩いた瞬間、背中から細い糸が出ている人々が、ゾンビのようにぞろぞろと、現れてきた。

人々の目は、白目になっていて、小さい子から老人まで、老若男女問わず、糸が出ていて、全員の糸は、1つの太い糸となって、リアンの右手と繋がっていた。


「私の傀儡人形よ…!…皆、あそこに居る子達も、仲間にしてあげたいから、捕まえて頂戴ね〜」


「…」


恐らく、天使(エンジェル)であるリアンの能力で、傀儡人形となっている人々は、無言で何度も頷きながら、俺らに襲いかかってきた。


「取り敢えず、背中から出ている糸を切れば、開放できるんじゃないか?」


薙刀を振り、傀儡人形となっている人々を寄せ付けていない、零が糸を斬るのを提案してきた。


「それが良いな……貰った!」


瞬時に、俺のことを襲ってきていた、男性の後ろへ回り、糸を刀で斬ろうと試みたが、何か違和感を感じ、斬るを止めて、男性と距離を取る。


「なんで、斬らないんだ?」


唯一武器がまだないケイトが、人々を避けながら聞いてきた。


「…糸を斬ったら、あの人らは、傀儡人形ではなくなる…そうなると、向こうの戦力が減る…だから、普通なら援護か何かをするのに、余裕な顔をしているのに、疑問を持ったんだ…」


「確かに…普通なら何かをしても居はずだ…」


余裕そうな顔で、こちらを傍観しているリアンに、疑問を抱いたので、斬らなかったことを伝えると、他のメンバーも疑問に思ったようだ。


「ふふっ…気づきましたか…折角なので、教えてあげますよ…」


微笑みながらも、上から目線でリアンは、糸の秘密を教えてきた。


「私の能力は、見ての通り、糸…普通なら弱いと思われがちですが、私の糸は特殊でしてね…私自身と人の魂に結びつけることが出来るんですよ、そうすれば…人を自由自在に操れる…と言うわけです…」


「…もし、糸を斬ったらどうなるんだ…?」


「勿論…!死にますよ…?」


真剣に聞いている俺たちに対して、リアンは、ヘラヘラとしながら、説明してきた。


「何かしらの方法で、魂との繋がりを斬ると、魂自体にダメージが入ります…魂自体に少しでもダメージが入ると、魂が存在を維持することができなくなり、現世…いや、この世界(・・・・)自体から消えて無くなりますよ…」


笑顔で言い張るリアンに、少し恐怖心を懐きながらも、この糸を斬っては、いけないことを俺達は、理解した。


「哀れな人を助けたかったら、私を倒してみなさい…?…でも、私の所まで、行き着けるかしら…?」


操られている人々が、リアンの肉壁のようになるよう、集められる。


「クソ天使(エンジェル)が…!」


操られている人々を傷つけることは出来ないため、何も出来ず、スキができるまで構えて待っていると、人々の間から糸が現れ、俺らに襲いかかってきた。


「なんだ、これ?!」


糸が腕に絡みついた零が、声を上げつつ、糸を切ることで、糸を振り払った。

それでも糸は、容赦なく、俺らに襲いかかってき、それぞれで糸の対応をしていたら、走って糸から逃げている、ケイトが推測を言ってきた。


「恐らく…人を操ることを出来る、糸だろうな…!…糸に巻き付かれても、直ぐには傀儡人形には、ならない…だから、僅かな間なら、糸に絡みつかれても大丈夫ってことだな…!」


今にも追いつかれそうだったので、俺に襲いかかってきていた、糸を切り刻み、ケイトの糸も切り刻んだ。


「ありがとさん」


「大したことねぇよ…」


礼を言われるも、糸の処理に集中したいため、返事をさっさと済ませ、糸の処理を再開した。

糸は、斬っても斬っても、襲いかかってきて、切りが無い。

一回、撤退することも考えたが、ここで俺らが逃げると、さらに被害が出る。


「…」


「グッ!」


操られている女性が、いきなり蹴りを入れてきたため、防御する時間がなく、腹に蹴りが入ってしまい、一瞬だけ怯み、糸が足に絡みついてきたが、直ぐに糸を斬ったため、難を逃れた。

無限に出てくる糸で、苦戦してるのに…操られている人まで来たら、流石に対処しきれない…数名を俺達に向かわせたので、リアンを守る人は、少なくなっているが…倒す方法が中々思いつかない…

俺が悩んでいると、自身の速さを使って、上手いこと逃げている俊が、俺の元に来て、


「作戦がある…………だから、時間を稼いでくれ…」


と、小さな声で、作戦の内容を伝え、実行するために、行ってしまった。

俊は、他のメンバーにも伝えたのだろうか、全員ができるだけ時間を稼ぐ為に、自分の力で上手いこと逃げている。

俺達は、俊を信じて、時間をできるだけ稼ぐことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ