第6話 そうだ、関西に行こう
竜を倒した次の日の早朝3時、トランクスを持って、マンションの前で待ってくれていた、俊が運転するミニバンのトランクに荷物を置いて、乗り込み、助手席に座る。
車の中には、運転する俊以外に、良太、鉄狼、零の3人が、一番後ろの席に、ケイトが2列目の運転席側の席に、それぞれ座っていた。
何故、俺らがこんな朝早くから、どこかへ行こうとしている理由は、昨日のテレビのニュースが関係している。
昨日のテレビニュースは、竜を民間人が倒したという、ニュースで持ちきりだった。
そのため、レヴォルトやテレビ局やらが、必死に俺達のことを探しているから、ケイトの提案で、ほとぼりが冷めるまで、俺の祖母の家がある、奈良へ泊まりに行くことになった。
ついでに、旅行にも行くことにもなっている。
「あれ?迅は?」
迅だけが、居ないのに気づき、皆に尋ねると
「……寝坊だよ…琉希が来る前に、電話をかけたら、寝坊したーーーって言ってんだよ…とにかく、向かうぞ」
俊が答えてくれて、迅の家に車を向かわせた。
◇◇◇◇◇
迅の家である一軒家の前の道路に、車を止めて、迅が来るのを待った。
しばらくして、服装が乱れている状態で、迅が慌てながら、家から出てきて、車に乗り込んできた。
「なんで、車に行くんだよ〜…新幹線の方が早いし、こんなに朝早くから、起きなくて済むじゃん…」
乗り込んできて、そうそうに文句を言ってくる迅。
「昨日、言っただろ…公共交通機関を使ったら、レヴォルトに見つかる可能性があるから、車で行った方が、見つかりにくいってな…」
呆れ顔でケイトが、迅に説明する。
「あ〜…取り敢えず、時間が勿体ないから、行くぞ…」
俊は、車を発進させ、奈良へ向かった。
「あっ、来る前に、サンドイッチを作ったから、お腹が空いたら、それぞれで食べてね〜」
良太が持っていた風呂敷を広げ、皆にサンドイッチを渡してくれた。
「いただきま〜す!」
迅は、貰った瞬間、食べ始めている。
そんなことしていたら、足りなくなるぞ…と思いながら、奈良の祖母の家へと向かった。
◇◇◇◇◇
何事もなく、約6時間掛け、奈良についた俺達は、荷物を下ろすために最初に、俺の祖母の家へと向かった。
奈良についた際、俺、俊、良太、鉄狼以外は、ぐっすりと寝ていた。
「って、ばあちゃん居ないじゃん…畑かな?」
家に向かうと、二台分の車が止められる車庫には、車がなかった。
「取り敢えず、車を止めて荷物を下ろすぞ…」
車を大雑把に車庫に入れた後、俺が玄関の鍵を開け、トランクの中にある荷物を家の中に全て運んだ後、起きたケイトが、俊と運転を変わり、迅達に加えて、俊が寝始めている中、観光のために京都へ向かった。
「……もしかしたら、俺達のことバレてるかもな…」
暇だったのか、鉄狼と良太も寝始め、車内で俺とケイトしか起きていな時に、ふと、ケイトが呟いてきた。
「どういう意味だ?」
運転しているケイトの方を見て、尋ねるとケイトは、落ち着いた様子で、答えてくれた。
「そのままの意味だ…レヴォルトに俺達に事をバレている可能性が高い……理由は、良太だ」
信号に引っかかり、車が止まっている中、ケイトは、親指で、良太を指さした。
「なんで、良太が…」
不思議に思いながら、ケイトに尋ねる。
「…良太が竜に刺した大剣は、どうした?」
「あっ!刺したままだ!…てことは、それをレヴォルトが回収したのか?」
「そういうことだ…あの大剣や、お前らの武器は、俺が会社に頼み込んで、貰ったやつだからな…調べれば直ぐに分かる…だから、昨日から関西に行っていることにして、アリバイ工作しようとしてるのだが…」
チラッと、バックミラーを見たケイトは、いきなり方向を変えて、住宅街に入っていく。
「いきなり、どうしt「後ろを見てみろ…」
奈良特有の入り組んだ住宅街に入って行く中、ケイトに、後ろ見るように言われて、サイドミラーで、後ろを見てみると、明らか怪しい、車が着いてきていた。
「…恐らく、レヴォルトの車だ…俺達が関西に行っていることにしたから、怪しい動きがないか、尾行してきたんだろうな……まっ、奈良でカーチェイスするなら、俺達の方が有利だからな!」
ケイトは、どんどんレヴォルトの車を、入り組んだ道を巧みに使い、差を広げていき、もう見えなくなったしまった。
「それじゃあ、京都に向かうか…」
「だな…」
追ってから、逃げれた俺達は、京都へ観光に向かった。
◇◇◇◇◇
【レヴォルト 日本 本部】
『す、すみません…見失ってしまいました…』
昨日の、一般人が竜を倒した事件の主犯と思われる少年達に尾行させていた、部下から電話が入り、見失ったと連絡が来た。
「分かった…人工衛星から探してみる…場所が分かったら、位置を知らせる…それまで、待機しといてくれ…」
『了解です!…それでは、失礼します!』
部下からの電話が切れ、レヴォルトが所有している人工衛星から、少年達を探すために第5が居る、研究室に向かう。
研究室に、カードを使って扉を開け、中へ入って行く。
中は、無造作に伸びたケーブルの束や、資料、ゴミなどで散らかっていた。
それらを避けながら歩き進めると、奥の方で、男が椅子にもたれながら、モニターを見ている。
「…お前が探しているやつは、奈良から京都へ向かう高速道路で移動中だ…」
先程の部下との会話を聞いていたのか、頼もうとしていた要件をさっさと済ませてくれた。
「あ〜…それと、京都に天使の反応があった……なんの能力かは、不明だが、反応的に相当な強者の可能性が高い…くれぐれも気おつけな…」
「…了解した…」
モニターばかりを見ている第5に背を向けて、研究室を出ていった。