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空を飛んでしまった少年

やれやれ、またか


勘弁してくれよ……


またギリギリじゃあないか


蝙蝠の羽根を出して

全速でここまで飛んで来たんだぞ


間に合ってくれよ……


今度は間に合わなかったら

蘇生術どころじゃなさそうだからね



匂いの元は近いな……


学校? 高校生なのか?


屋上に居るあの少年だな


いや、待て待て


なに、屋上の柵

乗り越えようとしてんの?


そんなことしたら

危ないじゃあないですか



いや、ちょっと待って

早い! 早いって!


もうちょっと躊躇ためらおうよ


もうちょっと躊躇ちゅうちょするでしょ!?

普通は


コワイでしょ?

普通に恐怖感じるでしょ!?


飛び降りようか? 止めようか?

もうちょっと迷ってもいいんじゃないの!?


もう、飛び降りる気満々じゃない


やる気溢れる自殺とかやめてー


あっ……



…………。


ふぅ、間に合ったか


いや、間に合ってないんだけどね


お陰で余計な能力を使う羽目に

なったじゃあないか


校舎の屋上からダイブした少年は

ふわふわと宙を浮いている。


重力制御能力を使って無重力にしたからね。


問題なのは、彼以外の生徒達も

宙に浮いているってことだ。


そんなピンポイントで使える

能力じゃないんだって。



「な、なんだっ!?

どうなってんだ、これ!?」


目当ての少年は空に浮かびながら

慌てふためいている。


今の今まで死ぬ気だったくせに。


死にそうになるより

慌てることなんてあるのかい?


とりあえず、とっとと彼を回収しないとね。



「やあっ」


「な、なんだ、お前はっ!?」


空中で逆さまになっている少年に

僕は挨拶した。


「まぁ、見ての通りの悪魔だよ、

背中に蝙蝠の羽根が生えてるでしょ?」


「あ、悪魔ぁ!?」


目を見開いて驚く少年。


生きていればいろんな驚きがあるもんだよ、

まだ君、死んでないんだしさ。


「まぁ、でも、よかったよ、

あのまま君が大地と熱いキスをしてしまったら、

さすがの僕でも、

人間としては蘇生させられないからね」


さすがに、一度魂が肉体から離脱した人間を

蘇生させることは僕にも無理だ。


魂が無いゾンビとしてなら、

蘇らせることも出来るんだけどね。



周囲には、学校の生徒達が何人も

やはり同じように宙を浮いている。


悲鳴や叫び声が飛び交っていて、

まぁ、軽い地獄絵図、ライトなヘルだ。


「ご覧よ、

君が飛び降り自殺なんかするものだから、

こんなに被害が出てしまったじゃあないか」


自分がしでかしたのに

他人のせいにするのは悪魔の定石。

悪魔にはよくあることだ。



「まぁさぁ、

ここでこうやって立ち話もなんだから、

どこかに場所を移そうじゃあないか?」


まぁ、宙に浮いているから

本当は浮いた話しになるのかもしれないけど。


「えっ!?」


驚いている少年の手を取り、

僕は空高くへと飛び上がる。


蝙蝠の羽根を左右に大きく羽ばたかせて。


「えっ!? えぇっ!?」


「なんだい? 君は

さっきは自分から空にダイブしたのに、

今度はコワイのかい?」


ついでたがら彼の恐怖もいただいておこうか。


「まぁ、でも、君はすごいよ」


「羽根も無いのに空を飛んでしまうなんて」


「そんなこと、悪魔だってやらないよ?」



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